第31話 記録

記録


人はいかにして自分の生を残していくのか?

残し方にもいろんな方法があるのだろうが特に残りやすいのは偉業や悪行、そういったものも誰かの口や文字によって伝承されていくであろう。

しかし、俺は何もできていない。何も成せていないのだ。

だったら、俺はきっと忘れ去られてしまう。

怖い。誰からも必要とされず忘れ去られてしまうのは。

怖い。今までやってきたことが全部無駄になってしまうと思うと。

怖い。これからもこんな風に生きていくのだと考えてしまうと。


・・・・・・だから俺は残す。

同じ轍を踏まないようにするために。誰かに俺を覚えていてもらえるために。

どうか・・・・・・誰か気づいてくれ。

だけど、悟らないでくれ。同情しないでくれ。悲しまないでくれ。

これ以上俺に負担をかけないでくれ。背負うものを増やさないでくれ。

人の死を見るのはもうキツイのだ。もうやめてしまいたいけどやめられない。

そのたびに俺はもう一度・・・・・・いや、もう一度もないんだっけか。


俺の寿命が残り5年程とわかって数日が経過したが俺の体自体には今のところ異変は見られなかった。

そんな中、世間は新年のムードに移りつつある。

町を明るく照らしていた色彩豊かなイルミネーションはクリスマスの終わりと共に撤去され、門松などが置かれ始めている。

ショッピングモールの中も、ケーキやチキンは徐々に姿を消し、餅や御節料理用の材料が大量に店頭に並んでいる。


今日は12月30日である。明日は大晦日だ。

今年は20年生きてきた人生の中で一番怒涛な時間の過ごし方だった。

UFOの襲来から始まり、抑止力との邂逅、組織への参加に、紫色の力。龍玉、古代文明に獣。獣たちを操るティリア人、レアスの光。神託にヤマタノオロチ。

謎が謎を呼ぶ、というよりは隠されてきたものや明らかにならな過ぎた問題が一気にここにきてあふれ出てきているような感じがする。


そんなことを振り返りながら、俺はちょうど年末用の買い出しをするためにショッピングモールに来ていた。

年末となると仕事が休みになるおかげか、町がかなりにぎわう。

紫陽花病という世間的には正体不明の人を殺す病気のせいで地元に帰る脚が重くなり、自分たちが住む場所にとどまる傾向が強くなった今年はより一層人が多く感じる。

報道では、紫陽花病について様々なフェイクニュースが流されている。

花に近づいてはならない、粉物を食べてはいけない。マスクは効果的だ。

挙句の果てには感染者の映像さえも流し始めた。

感染者の末路を知る俺たちにとっては、映像を一目見ただけでフェイクだとわかった。

感染した人は、紫陽花のような鱗が皮膚に発現し、そこで亡くなる場合もあるがかなり少数だ。

実際はジェル状になったり、俺たちが戦ってきた化物のようになるのが通説だ。


だが、ニュースでは全身が紫色になり、ゾンビのような姿になった人が病院の一室でなくなっている映像が流されている。

世間は当初は震え上がったが、周りに感染した人がいないということで警戒心を緩めつつあるが、俺たちは知っている。

紫陽花病、紫の力に侵された人たちの町はほとんどの人が残らず壊滅する。

そう言ったこともあり、今のところ情報が出回っていない。


しかし、じきに親族や友人と連絡が取れないといったことから問題に発展し、町から人が消えたなんていう情報が出回るだろう旦那は行っていた。

結局、紫陽花病については五代率いる龍女部隊が動きだし、世間では『神に選ばれた調査団』といった報道を流され、英雄視されている。

だが実際にやっていることは報道されない。紫陽花病の起源に迫り対処法を探すなんて言われているが、対処法なんてありはしない。

彼女たちが行っているのは、感染者たちの始末なのだ。

おまけに龍女だって紫の力に対抗はできるものの、それに打ち勝てる保障なんてない。

五代なら多分大丈夫だと思うが、残りの人たちはどうだろうか。

報道で知ったが、旦那と婚姻の予定がある蓮沼さんも調査団の一人らしい。

旦那から体氣を教わっていれば大丈夫だと思うが、他の人は・・・・・・

政府は勿論、そんなこと百も承知である。むしろそれが狙いなのだ。


彼女たち龍女を滅ぼし、紫の力に抵抗できなくなった人類を一気に滅ぼすというのが龍之国政府を乗っ取った世界政府のティリヤ人たちの狙いのようだ。

あの人間大好きマンのリードでさえ、抑止の力を持つ俺や龍女部隊の人たちを計画の障壁のように扱っていたからな。

彼らティリヤ人にとっては邪魔以外の何物でもないのだろう。

そういえば、なんで紫の力を浴びて化物になる人とジェル状になってしまう人で二分化されるのだろうか。

飛月なら何か知っているかもしれない。後で話を聞きに行こう。

俺は御節料理の材料とお雑煮用の材料を買い終わり、寮へ帰宅しようとするが・・・・・・


「うっ・・・・・・」

結構重たいな、これ。流石に買い過ぎたかだろうか。人生も残り少ないし、暗くなる時間がもったいないと思い、張り切って料理をして、チヨをはじめ世話になってる組織の人たちにも差し入れとして持っていこうと思ったのだが・・・・・・

でも、抑止の力と一体化し始めてる俺でも、普通の人のように荷物を重たいと感じとれることに少し感動した。

だけど同時にこんな些細なところに人間らしさを見出してしまうほど、人間らしくなくなったのかとも思い少ししょげてしまった。


「まあ、いいか。帰ろ」

俺は重たい荷物のせいで袋が破れないか心配しつつ、ショッピングモールを出たのだった。


「なんだ、この反応は!?」

本部内がざわつく。

かつてないほどの紫の反応を機械が示している。


「こ、これが・・・・・・リードの言っていたヤマタノオロチなのか!?」

俺は冷や汗が全身から噴き出てきていた。

この先、まだ獣との戦いは少なくとも3回は残している。撤退や相手が逃げたことを想定するとそれ以上だ。

8000年前の個体よりも圧倒的に強くなったというリードの言葉の真相は定かかどうかわからないが、それらを倒したうえでヤマタノオロチと戦うのか・・・・・・!


「このままでは・・・・・・」

アルトがもたない!

俺に何ができる?この呪いさえなければ!


「ふーっ、重かった。ただいまただいまと」

俺は寮へ戻り、玄関に荷物を下ろした。


「流石におもかったなあ。だれかに来てもらえばよかったぜ」

チヨには多分重すぎるので、それ以外となるが。

だけど、チヨの力が最近異様に強くなったように思える。

隠れて筋トレでもしているのだろうか。


「さて、運ぶか・・・・・・」

床に一度買ってきた材料が入った荷物を置こうとした。


「・・・・・・!」

刹那、いやな感じがした。

まるで全身を蛇に舐められたような嫌な感じ。

それは、獣たちと戦っている時の感じに酷似していた。だけど、気持ち悪さがそれの数十倍は感じる。

どこだ!?どこから伝わってきている!?俺は荷物を玄関に置いたまま、外に走っていった。


「アルトさん!お帰りなさい!お疲れ様で・・・・・・あれ?」

荷物だけおいてある?何かあったのだろうか。


「とりあえず、冷蔵庫に入れる者だけは入れておかないと」

私はそう思って、大きく膨らんだ袋を持ち上げる。


「・・・・・・あれ?思ったよりも軽い?」

どうしたんだろうか?

最近、すごく力がついたように思える。

きっと気のせいではない。思い当たる節が多すぎるのだ。


「・・・・・・入れますか」

特に生活に不便があるわけでもなく、むしろ力がついたことで便利な事が増えたので私は放っておくことにした。


「シュラバァァァァァァァァ!!!!!!!!」


俺は寮を出て、すぐに体を変化させて空を飛ぶ。

目的地は嫌な気配の発生源だ。そこは意外と近く、ある建物の屋上だった。

そこには、何もなかった。人どころか、紫の粉塵さえも。

「気のせいか?」

だが、あの悪い感じは間違いなく紫の力のものだった。

近くにいるかもと気配を探ってみるが、ここ以外は何も感じなかった。

そして、その嫌な感じも次第になくなっていった。


「一体何だったんだ?」

俺は変化を解くと同時にスマホにちょうど旦那から連絡が来た。


『アルト!?いまどこにいる!?』

スマホ越しに聞こえてくる焦った声。

きっと本部内の機会も紫の力の反応を示したのだろう。


「いやな予感がした場所。だけど、誰もいないし次第に気配は消えていってる」


『そうか、アルトも気づいていたのか』


「便利な体になったもんだよ。危機察知能力ってところですかな?」


『危機を察知するか。まるで昆虫みたいだな』

昆虫って・・・・・・


『反応は獣が襲来したときのおよそ数十倍。恐らくヤマタノオロチだろう』


「やっぱりか。リードの言っていたことは嘘ではなかったと」


『だろうな。だが、気配が消えたのなら恐らく今は戦う時ではないのだろう。休日なのにすまない。今日は寮へ帰ってチヨ君とくつろいでいてくれ』


「あいよ。旦那たちも根を詰め過ぎないようにな」

俺は年末まで働く旦那たちへ労いの言葉をかけて電話を辞めた。

・・・・・・う~ん。


「さて、どう帰ろうかな・・・・・・」

あんまり金の力は使いたくないな・・・・・・体力使うし。


「まあ、でも帰ってから少し寝ればいいか」

俺はもう一度身体を変化させて寮の屋上まで戻っていった。


・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その影は顕現する。

力の一部だけを見せ、自分の存在を将来戦うであろう人物たちにさらけ出して。

彼は不敵に笑う。その笑みは純粋な子どものような屈託もないものだ。

だが、彼の心にあるものは『退屈』であった。

自分と同じぐらいの力を持ったものがいないと嘆いている。

復活を遂げてから、まともに自分と戦えたものは『わずか一人』だ。

彼は邂逅を心待ちにしている。しかし、まだ早い。

彼からすれば『立花在人はまだ弱い』のだ。

もっと強くなってもらわなければ。自分とかつて真正面から戦えた人間たちと同じぐらいになってもらわねばならない。

そうしなければ、『退屈』は永久に続いてしまう。

「ラエバヨンヤリノシュラバヤ・・・・・・ハノミシザナ」


「ただいま、チヨ」


「おかえりなさい!アルトさん!」

チヨが元気よく部屋から出てきて俺を迎えてくれた。


「荷物入れておきましたよ。かなりの量でしたね」


「お、助かるよ。ありがとなチヨ」

どうやらあの大量の荷物を冷蔵庫に入れてくれたようだ。

そういったところを人任せにしないところもチヨの良いところだ。


「ごめんな、勝手に出ていって。そのうえ荷物まで置きっぱなしにしちまって。重かったろ?」

俺が持っても重いと思うほどの量だ。

受験勉強中のチヨが怪我でもしたら困ってしまう。

だが、返答は意外なものだった。


「え、重い?・・・・・・で、ですよね、うん!かなり重かったです!」


「そ、そうか。とにかくありがとな」

返答は微妙な返しだった。キョトンとした顔で、重くなかったけど大丈夫でした感を出している。


・・・・・・これはあれだ、俺が中学の頃に重たい荷物を持っていた女子にいいところを見せようとして持ってあげたのはいいけど意外と重くて、お礼の後に誤魔化すように全然重くなかった!って言ったあれだ。

あれとほとんど同じリアクションだ。

チヨは誤魔化しながら重いといった。つまり、あの荷物は重くなかったということになる。

まだ多少ではあるが、抑止の力と一体化し始めている俺でさえ重いと思ったのに、チヨは大丈夫だったのか?

まあ、これもあくまで仮説の話で本当は重かったのかもしれないが。


「さて、夕飯作るまで時間あるな。どうするかね・・・・・・」


「私は、アルトさんとのんびりと・・・・・・と言いたいところですが、本番が近づいてきているので」

チヨが少しがっかりそうな顔をしている。

本当によく頑張る子だ。

きっとこういった経験がチヨの夢である小説家になる夢に近づけてくれるかもしれないと俺は信じている。


「そういえば、アルトさん」


「ん、どうした?」


「例の古代文字?の暗号、結構解読が進みましたよ!」


「本当か!?そりゃ凄い!勉強の合間合間にありがとな、チヨ!」

えへへ、とテレるチヨ。

こういったところは本当に歳相応・・・・・・いや、さらに幼くなっているかもしれない。

だが、やはり気になるな・・・・・・


「チヨ。どうして古代文字・・・・・・それも暗号化されたものが読めたんだ?」

う~んと考えるチヨ。

以前にも聞いたがわからないようだ。


「読めるところは読めるんですけど・・・・・・どこかしら何か引っかかって解読できなかったんですよ」


「そうなのか?」


「はい、何か遮られているような感じがして・・・・・・」

何だろうか、原因は全く分からない。

読める理由がわからない以上、引っ掛かりの原因がわかるわけもないが。


「とりあえずお疲れ様。後は俺や旦那の手でチヨが解読してくれた文章に意味づけしてみるよ」


「はい!頑張ってください」


「まあそれも年明けからだけどね。今のうちに休んでおかないと身が持たねえや」


「ですね。私も本番に向けて頑張りますよ」


「おう、どうせ暇してるからわからないところがあったら聞いてくれ」


「ありがとうございます!」

チヨは部屋の方へ戻っていき、俺に手を振りながら扉を閉めた。


「さてと」

暇だな。11月もかなり長い期間休んだが、12月末が凄まじい勢いで流れていった気がする。


「俺は後どんぐらい生きてられるのやら・・・・・・」

俺はチヨに聞こえないように心のうちに浮かんできたものを吐き出す。最近はこんな事を考えることが多くなってきている。何とかチヨが自立するまでは生きないと・・・・・・!

紫の力の進行は俺の知らないところで始まっている。

もしかしたら、突発的に出てきてしまうかもしれないし、全然出てこないかもしれない。


だけど、金の力との一体化も始まっている俺の身体が紫の力にも侵されているって凄い状態だな。

結局、金の力との一体化の影響は体の傷の回復が早かったりと便利な事ばかりだけど、何か別の事もあるような気がしなくもない。金の力は俺の身体にどんな影響を及ぼすのだろうか?こればっかしは旦那と要相談だな。


「・・・・・・よし」

何もしないとやっぱり余計な事ばかり頭の中に浮かび上がってくる。

こういったものは俺の人生に不要である。出来る限りポジティブに生活した方が心も安定する。

病気になって仕事を辞めて、自然の中で生活したら次第に治ったなんて話も聞いたことがあったな。

この戦いが終わったら、しばらくそういったところで生活するのもいいな。

夏だったら、チヨと少し遠いところに長い期間旅行するのも悪くない。

だが、とりあえず今は時間を持て余している。


「飛月の部屋行って遊んでくるか」

俺はチヨに一声かけて、部屋を出ることにした。


「飛月君、遊びましょ~」

俺はいつも通り飛月の部屋の扉へいつも通りノックをして呼び出すという、昔ながらの友達の誘い方をした。

いつものように何かツッコみながら部屋を開けてくれることを期待したのだが、しばらくたっても出てこない。


「・・・・・・寝てるのかな」

俺はそう言いつつ部屋の取っ手をもって扉を開けようとする。普通なら開くはずがない。だけど普通に開いてしまった。


「不用心過ぎないか、あいつ」

ここは寮内。確かに他の家とは違って互いに面識があるから安心できる。

しかし、勝手に部屋に入られたりしたら流石に俺だっていやなので基本カギは占めている。

だけど、あの警戒心が強そうな飛月がこんなヘマをするだろうか?俺はそう思いつつも、飛月の部屋に侵入することにした。


部屋はカーテンが閉めてあり、日の光が入らず薄暗い。

前までなら明かりがなければ見渡せなかったが、今は太陽の光が少しでもさしていれば明るく見えるようになっている。

これも太陽の化身とも言われている金龍の力だろうか。またしても人間らしい要素を失いつつある。

あ、これも金の力との一体化の影響じゃん!旦那に知らせておかないと!


・・・・・・できる限り足音を立てないようにしながら普段、俺と飛月がゲームをしてあそんでいる部屋である寝室へと向かう。

扉を開けると、飛月が床で寝ていた。


・・・・・・倒れているのだろうか?とりあえずベットに飛月を寝かせる。

呼吸はしているようなので恐らく寝ているだけだろう。

「ったく、風邪でもひきたいのかコイツは」

強化人間が風邪をひくかはわからないがな。

俺は部屋を出ようとすると、飛月の机の上に何かおいてあるものが見えた。


・・・・・・いや、見えてしまったのだ。

目の良さが初めて仇になった。机の上にはノートが置いてある。

『必ず毎日見返せ』と大きな字が表紙に罹れているノート。

俺はつい気になってそれに手を伸ばしてしまった。

俺は表紙を開く。


『必ず救う 折れるな 何度でも繰り返せ 忘れるな 絶対に忘れるな!クリスマスを超えろ!2月3日を許すな!』

・・・・・・飛月のやつ、心が病んでたりするのだろうか?

いや、そんな雰囲気ではない。なんかもっと闇が深い何かを俺はこのノートから感じている。

ノートをめくると一番最初のページにデカデカとそう書いてあった。

救う・・・・・・何度でも繰り返す?クリスマス……2月3日?

一体何のことだろうか?

俺はさらにノートをめくる。

一回目 アルト死亡 抑止暴走

二回目 アルト死亡

三回目 アルト死亡 抑止暴走

四回目 桜田千世死亡 アルト死亡 抑止暴走

五回目 アルト死亡 抑止暴走

六回目 アルト死亡 抑止暴走 チップの存在明らかになる。

七回目 チップ取り外し失敗

八回目 チップ取り外し失敗

九回目 チップ取り外し失敗

十回目 チップ取り外し失敗

十一回目 チップ取り外し失敗

十二回目 チップ取り外し失敗

十三回目 チップ取り外し失敗

十四回目 チップ取り外し失敗

十五回目 チップ取り外し失敗

十六回目 チップ取り外し失敗

十七回目 チップ取り外し失敗

十八回目 チップ取り外し失敗

十九回目 チップ取り外し失敗

二十回目 チップ取り外し失敗

二十一回目 チップ取り外し失敗

二十二回目 チップ取り外し失敗

二十三回目 チップ取り外し失敗

二十四回目 チップ取り外し失敗

二十五回目 チップ取り外し失敗

二十六回目 チップ取り外し失敗

二十七回目 チップ取り外し失敗

二十八回目 チップ取り外し失敗

二十九回目 チップ取り外し失敗

三十回目 チップ取り外し失敗

三十一回目 チップ取り外し失敗

三十二回目 チップ取り外し失敗

三十三回目 チップ取り外し失敗

三十四回目 チップ取り外し失敗

三十五回目 チップ取り外し失敗

三十六回目 チップ取り外し失敗

三十七回目 チップ取り外し失敗

三十八回目 チップ取り外し失敗

三十九回目 チップ取り外し失敗

四十回目 チップ取り外し失敗

四十一回目 チップ取り外し失敗

四十二回目 チップ取り外し失敗

四十三回目 チップ取り外し失敗

四十四回目 チップ取り外し失敗

四十五回目 チップ取り外し失敗

四十六回目 チップ取り外し失敗

四十七回目 チップ取り外し失敗

四十八回目 チップ取り外し失敗

四十九回目 チップ取り外し失敗

五十回目 チップ取り外し失敗

五十一回目 チップ取り外し失敗

五十二回目 チップ取り外し失敗

五十三回目 チップ取り外し失敗

五十四回目 チップ取り外し失敗

五十五回目 チップ取り外し失敗

五十六回目 チップ取り外し失敗

五十七回目 チップ取り外し失敗

五十八回目 チップ取り外し失敗

五十九回目 チップ取り外し失敗

六十回目 チップ取り外し失敗

六十一回目 チップ取り外し失敗

六十二回目 チップ取り外し失敗

六十三回目 チップ取り外し失敗

六十四回目 チップ取り外し失敗

六十五回目 チップ取り外し失敗

六十六回目 手術により摘出に成功 その後チップ爆発

六十七回目 チップ取り外し失敗

六十八回目 チップ取り外し失敗

六十九回目 チップ取り外し失敗

七十回目 チップ取り外し失敗

七十一回目 チップ取り外し失敗

七十二回目 チップ取り外し失敗

七十三回目 チップ取り外し失敗

七十四回目 チップ取り外し失敗

七十五回目 チップ取り外し失敗

七十六回目 チップ取り外し失敗

七十七回目 チップ取り外し失敗

七十八回目 チップ取り外し失敗

七十九回目 チップ取り外し失敗

八十回目 チップ取り外し失敗

八十一回目 チップ取り外し失敗

八十二回目 チップ取り外し失敗

八十三回目 チップ取り外し失敗

八十四回目 チップ取り外し失敗

八十五回目 チップ取り外し失敗

八十六回目 チップ取り外し失敗

八十七回目 チップ取り外し失敗 しかし感覚在り 恐らく前頭葉から三センチほど

八十八回目 アルト死亡 抑止暴走 

八十九回目 園田さん死亡 キツイ。

九十回目 チップ取り外し失敗

九十一回目 チップ取り外し失敗

九十二回目 アルト死亡 抑止暴走

九十三回目 園田さん死亡

九十四回目 園田さん死亡

九十五回目 園田さん死亡

九十六回目 園田さん死亡

九十七回目 桜田千世 死亡 アルト死亡 抑止暴走

九十八回目 園田さん死亡 

九十九回目 アルト死亡 抑止暴走

百回目 もうそろそろ限界が近い。 アルト死亡 抑止暴走

百一回目 園田さん死亡

百二回目 アルト死亡 抑止暴走

百三回目 アルト死亡 抑止暴走

百四回目 園田さん死亡

百五回目 アルトさん死亡

百六回目 アルト死亡

百七回目 アルト死亡

百八回目 アルト死亡 限界近い。

百九回目 園田さん死亡

百十回目 アルト殺害 次ですべて終わる。何とかしないと


何・・・・・・これ?

なんだよこれ・・・・・・

一体、飛月は何を見てきたってのかよ・・・・・・


そのノートに書いてあったものは何かの回数と俺やチヨの、そして園田さんという人の名前。

その名前の隣には『死亡』の文字。後半からは俺の名前と『殺害』という文字。


一体何をしめしているのだろうか?

そして極めつけは『チップ取り外し失敗』とか書かれた欄。他のものと比べて圧倒的に回数が多い。

そういえば、クリスマスの日に飛月は自分の正体を明かした時、旦那とチップの話をしていた。

摘出がどうこうとも言っていた。取り外し失敗とは何なんだ?六十六回目の爆発というのも気になるところだ。

百回目を超えたあたりから見られる限界という単語が指示している事とは?

記入は百十回で終わっている。これが何を意味しているのか?

アルト殺害・・・・・・一体誰に俺は殺されたというのか?

いや、待て!書かれている回数と死亡って・・・・・・


・・・・・・

飛月は俺たちの死を見たことがあるということなのか!?

じゃあ俺たちはなんで生きているんだ?

まるで何回もやり直しているかのような・・・・・・


「あ、ああ・・・・・・」

飛月が唸っている。何か悪い夢でも見ているのだろうか。

(とりあえず飛月が起きる前に部屋から出よう。このことをどうするかは後で決めよう)

俺はノートを机の上に静かに置き、部屋を出ようとした。

だが、その机の上にある物が置いてあることに気づいてしまった。

それは紫色をした、綺麗な形の三角錐型の・・・・・・


「なんで、これがここに・・・・・・!」

それはクリスマスのプレゼントの如くリードが国に贈与しようとしていた『引き寄せの法則』その物だった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る