第3章 決断

第8話 貴方の色 1/3

「疲れた……」


 漸く帰宅。


「もう夜じゃん」


 取り敢えず手を洗い、ソファに身を横たえる。


 夕食を準備する元気がない。


 帰って来る途中になにか買ってこれば良かった。


 見学したら――後半から参加させられたけど、即帰るつもりだったのに。


 ユミさんたちに引き留められてしまった。


「どうするよ」


 お行儀悪くソファに足を上げ、天上を見つめる。


「説得されちゃったよ……」


 どうして私を誘ったのか。


 どうして私が必要なのか。


 帰ろとした私の腕を掴んで、ユミさんに壁際に座らされた。


 4人に囲まれた私の気持ちを考えてほしい。


 圧が凄かったのよ。


 みんな真剣な表情だったし。


 味方であるはずのマネは、円の外側から見守っているだけだった。


 まぁ、真剣になるよね。


「グループを生まれ変わらせるためには、貴女が必要なの」


 広美さんの言葉も理解できる。


 うちの事務所に所属している他のアイドルたちは、1位を獲得できなくたってトップ10には必ずランクインしている。


 でも、HANA-AKARIは違う。


 1~2年、10位以内に入れていない。


 正直言って崖っぷち。


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