第14話 壁持ち強襲女

 メキ…メキメキメキメキ……

少女漫画に憧れた恋する少女の夢は、崩れ落ちた。

そう、物理的にも。


 平凡で地味な私がイケメンで人気者な彼を射止めるには、正攻法では到底無理。

そこで、起死回生の一手に出た。

逆壁ドンを仕掛けたのだ。


 目の前にはトゥンク…と頬を紅く染めたイケメンフェイス……はなかった。

平時の麗しい顔面が思い出せぬほど、恐怖に歪んだ顔。

それもそのはず。

手をついた周囲20センチだけを残し、壁自体が崩れ落ちてしまったのだから。

力加減を調節したはずなのに……ほ、ほら、多少の勢いは必要だと思ったから……。

彼は逃げ去り、私には「壁持ち強襲女」という不名誉なあだ名がついた。


 獣耳、獣人、人外……日本はケモノに寛大で、性癖のデパートだと聞いて来た。

巨乳・貧乳各々好みはあれど、所詮好きなのはおっぱい。

胸筋じゃないよね。


 ゴリラ星の住人である私は、姿格好は女子高生に擬態することができたけど、パワーと胸筋だけはどうにもできなかったのよ。

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