症状悪化と大きな支障

 慣れない土地での一人暮らし。新しい場所での人間関係の構築。勉強の遅れを取り戻さなければいけないという焦り。そして慢性的な自身の体調不良……。

 そういった要因が重なり、私は憧れていた大学をわずか二年で去る事となった。そして心身共にボロボロの状態で実家に帰り、再び院長先生の元でお世話になることとなった。

 実家に帰って来た私は、初診を受けた時よりもかなり状態が悪くなっていた。

 その頃私は、自傷や過呼吸や、パニック発作を引き起こすようになっていた。

 私の自傷は自身の頭をガンガンと殴る、というものである。自身の拳や、置き時計や、分厚い辞書などで、頭をガンガンと殴る時もあれば、壁に頭を何度も打ち付けて傷付ける時もあった。

 特に辛かったのはパニック発作と過呼吸である。実家に帰って暫くの間、この二つが毎晩起こった。

 パニック発作は「自分は本当に死んでしまうのではないか」という恐怖に苛まれる病気である。これが過呼吸と合わさって起こると、「自分は本当に狂っているんじゃないか」という大きな不安に襲われる。

 何とか発作と過呼吸を乗り越えて、眠ったとしても、見るのは悪夢ばかりで、まるで生きている心地がしなかった。

 そして初診の時と比べて変わった事がもう一つあった。それは私が、閉暗所が怖くなり、車やバスや電車といった公共交通機関の乗り物や、エレベーターに全く乗れなくなったということだった。

 病気の症状によって、私の日常生活に大きな支障が出ていることは、もう明らかだった。

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