当たり前

指先がそっと触れる

貴女の顔をなぞる

絹のようになめらかな肌

いつ燃えてしまうかわからぬ身体

その魂が私のそばにいて

あたかも当たり前になっているが

それは当たり前ではないのだ

貴女と身体を重ねるたび

貴女の温かさに気づく

貴女の輪郭をはっきりと思い出す

そこでしか感じることのできない

当たり前ではない感覚

これを忘れてしまったら

そんなことを考えるたび

恐怖を覚える

いつかいなくなってしまうのではないか

私の隣からいきなり消えてしまうのではないか

いつか「記憶」から

貴女の体温それに輪郭

そして存在すら消えてしまうのではないか

いつか消えるともわからぬ貴女を

私は見つめていたいのです

当たり前が日常になった現代で

私は貴女を見つめています

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る