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ゆゆしき

第1話

「ハァッ…ハァッ…」

土砂降りの中、薄暗い路地裏にへたり込む黒髪の女性学生。

首にかけているネックレスのお飾りを握り、ホッとする。

「…奴らの活動が活発になっている。まさか、近くにあるのか?」

そう呟き、ネックレスの黒い宝石を見つめる。

「世界を変える…7大呪宝の一つがーーー」


ピピピッピピピッピピ「はっ!!!!ごめんなさい!!!」

目覚まし時計に起こされた瞬間、反射的に謝罪した主人公青石拓(あおいしたく)高校一年生は呆れながらこう呟いた。

「はは…また謝ってしまった。おはよう…世界」

ベッドから起き上がり、カーテンを開ける。

まだ太陽は完全に昇りきっていない。

両親を起こさないように身支度を済ませ、家から出る。

「…行ってきます」

ぼそっと呟き、駆け足で登校する。

急ぐのには理由がある。

①人と会うのが嫌

②人が少ない始発に乗りたい

そして③、

「これを見なきゃ1日は始まらない…!」

坂道の上でつぶやいた後、朝日が町を照らし、全てがキラキラ輝きだした。

「キラキラする物ってやっぱり美しいなあ」

不細工がニヤニヤすると気持ち悪さに磨きがかかるなと思いつつしばらく眺め、その後駅まで走った。



キーン…コーン…カーン…コーン

「おはよう諸君!!!朝礼はじめるぞ!」

担任のぽんこつメガネこと清水麗子(しみずれいこ)は、いつも通り甲高い声で朝礼を進める。ぶっちゃけ目覚まし時計よりうるさい…。

「おっと忘れていた!!前後したが、転校生を紹介する!!入れ!」

転校生をずっと廊下で待たせてたのか…ほんとにポンコツメガネだな…。

颯爽と教室に入ってきた黒髪ボブ、色白、顔が整った美人に男どもは度肝を抜かれた。

「紹介する!黒崎紫音(くろさきしおん)だ!みんなよろしくな!じゃあ一言よろしく!」

「…ご紹介に与りました。黒崎紫音です。以後お見知りおきを。」

声も可愛いと来たもんだ。確実に男どもに狙われるな…

「席は自由に決めていいぞ!皆いいよな!?」

…そんな感じで決めていいのかポンコツメガネよ。

すると、黒崎紫音は僕を指差し、こう言った。

「彼の隣がいいです。」

「…え!?僕!?」

途端にクラスの男子どもから殺気が…!

勘弁してくれ…僕は静かに生きたいのに…。

隣に座った途端彼女は俺の目を見てこう言った。

「…あなたも、こっち側の人間なのね。」

「??え、どういう意味?」

「こら!私語厳禁!」

彼女の返答を遮るように、ポンコツメガネから注意を受ける。

え?今の僕が悪いの?


キーン…コーン…カーン…コーン

ようやく学校が終わり、いつものルートで帰宅していると、仙人みたいなヨボヨボのおじいちゃんみたいな店主がアクセサリーの路上販売をしていた。気になって覗いてみると、さまざまなアクセサリーが陳列されていた。

その中で、青く光るダイヤモンドがお飾りのネックレスが目に止まった。

「あの、このネックレスはいくらですか?」

「…」

睨まれた。え、こわ。

「おー!!!お目が高い!!それは譲りますよ!!」

一変して、陽気な感じで喋り出した。

「え?!いいんですか!?」

「あんたのウキウキした目が気に入ったのさ!ほらもっていきな!いいことあるかもよ?」

「ありがとうございます!!!」

お礼を言った後、ウキウキしながら帰宅した。


青石拓が去った後、商人は呟いた。

「選ばれしものよ、苦しめ…ヒヒヒ」


続く





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