マッチョ三部作

秋夕焼 マッチョの影も 細く伸び

【季語】

秋夕焼あきゆやけ……秋に見られる夕焼けは、夏よりも時間が短いことから、その短さを惜しむ、少し寂しげな印象を持った言葉です。


【筋肉解説】

 綺麗な、だけどどこか物悲しさも感じる秋の夕暮れ。そんな時間帯に道路に伸びるマッチョの影。ただそれだけをうたった俳句です。ですが、聡明な読者の皆様なら、この句の中に隠されているマッチョの心情にまで心を寄せることができるでしょう。

 注目すべきは「も」です。マッチョの影と書かれていることから、他の物の影全てが細く伸びているということがわかります。

 他の誰よりも鍛えているマッチョだからこそ、自分の影ですらもマッチョでありたいと願うものです。しかし悲しいかな現実は、マッチョの影でさえも細く伸びてしまうのです。

「どんなに鍛えて体を大きくしても、自然の前ではみな平等である」わかっていたことではあるのだけど、心のどこかで自分だけは違うと思っていたマッチョ。そんなマッチョの哀愁や悲しみといった感情を、秋夕焼という言葉が代弁し優しく包み込んでいるのです。

 秋が深まった頃、身近にいるマッチョに尋ねてみてください。

「自分の影さえも、マッチョでありたいと思うものですか?」と。

 きっとマッチョはこう答えるでしょう。

「ちょっと、何言ってるかわかんないです」


【娘の査定】

31点。才能ナシ。

娘から一言。「ちょっと、何言ってるかわかんないです」

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