第46話 侵食

【おはようございます】


所長、さき、みんな早いな。もしかして帰ってないのかな?


【おはよう、君も座って食べて】


【涼さん、お腹空いてるでしょ】


凄い料理、さき、ホテルから取り寄せてるのか!


【では、いただきます】


美味い!るいも連れてこれたらな。

バレないようにしてるから仕方ないけど。


所長が、


【食べながらでいいんだが、君にさきが連絡した時、どこにいた?】


【モグモグ…レストランに…モグモグ…向かって…モグモグ…最中…モグモグ…でした…モグモグ】


さきは、イライラして、


【涼さん、話すか食べるかにして!なんか忙しない】


【わっはっは、いいんだよ。ワタシが食べながらって言ったからね】


【すい…ば…モグモグ…せん…】


それにしても美味い!さきのホテル、料理でも有名になれると思う。そこに玲奈がモデルでイメージアップだ。世界が続いたら、凄いことになるだろうな。


【涼さん、るいにはバレてない?感鋭いよあの子】


所長が、


【るいか、懐かしいな。元気かな?】


所長、俺、食べてるですけど、


【はい…モグモグ…元気…です…モグモグ】


所長は気にせずに、


【るいは、TAでは飛び抜けた能力を持っていて、移動中は、失敬、時空の狭間って言うの面倒だから我々は移動と略してる。それで、移動中に消費するエネルギーが圧倒的に少ないんだ。ただ、突ぱしるとこあって、トラブルも多かったんだよ。宝の持ち腐れっていうのか、申し訳ない、るいのご主人だったね】


だから、食べてるんですって、俺。


【モグモグ…ブハッ、るい、変わってないです】


所長、とてもとてもマイペース。続けて、


【君はるいのこと、守りたいんだな。だからこんなに直前になっても協力してくれるんだな】


【はい…モグモグ…】


※アラート!!発生しました。方位…!………※


【所長、装置電源入れますよ】


【さき、頼む!私は操縦室に】


発生っで、ダークホールか!ついに、来たか!


俺はここで食べてるしか出来ないのか…情けない…

ちょっと外に出てみよう。このエレベーターで屋上に行けるのかな?


普通ならこの屋上最高なんだよきっと。

海が見えて、緑に包まれて。


問題のダークホールって見えないか。


はるか先の島の付近が真っ暗だ。

貼れてるのに、もしかしてあれかな。


ダークホール降りてきた。島の木々に触れそうだ。

望遠鏡とかないのか、双眼鏡でもなんでも。

あった。これか、どれどれ…


おー、よく見える。


暗闇が木々に触れて、消えていく。過ぎ去ったあとは何もない。破壊されるというより、何もない。


島が消えるのはあっという間だな。


望遠鏡で見てるとすぐそばにあるように見える。

手を伸ばすと届きそうな…届くわけ無いか。


変だぞ、体暑い!夏ってだけでなく、

異常に暑いぞ。何だこれ!


腕だ、左手だ、暑い。見た目はなんともない。

前に感じた感覚に近いような…


あっ、いつの間にか、島が、消えてしまった。

これが、ダークホールか。恐ろしいほどの…


俺も何か役立てれば、

しかし、暑いな左手!もう、うわっ!これなんだ!

どうしよう、どうしよう、なんだこの光。


俺の左手どうなった?ヤバいヤバいぞ!

暑いんだってば!もう。あっ、ダークホールこっちに。くそ、来るなって、コノヤロー!


その時に振り払うように、左手を。その瞬間、

青く輝く光が左手から、飛び出した!


怖っ!なにこれ、怖っ!


【さきー、来てくれ、俺おかしい!】


その光がダークホールに向かい接触、数秒くらい。

もっと僅かな時間だったかも。

ものすごい衝撃音と衝撃波。鼓膜破れるー!


【何々、何が起きたの?】


さきが来た。遅いっての、さき!


【これ、何?所長、急いで来てください!】


【どうした、さき!なんだコレ?】


俺は真っ青…すみません。屋上かなり壊れてしまいました。保険効きますか?


【すみません、俺、解らないんですけど…】


所長は、


【君は無事か?】


【はい、すみません。何かやらかしたみたいで…】


【君が無事ならいい!さき、そのカメラ確認!】


あーあ、俺がきっと何かやっちまったんだろうな。

ところでダークホールどこ行った?


さきが、大声で、


【所長、涼さん、これなに?】


二人はさきのとこに、


所長は、録画されたカメラを見て、


【何だ!どういうことだ!】


【所長、これって…】


【ライトニングブレイカーとでも名付けようか?】


おおっ、なんか、かっこいい!


さきは、


【所長。命名長すぎ!それよりも原因は?】


所長が、みんなが、俺を見て…


【すみません…やっぱり俺が…保険効きますか?、個人賠償責任保険でしたっけ?入ってますけど…】


所長が、


【君の力なのか、もう、疑う余地無しだな】


【涼さん、また、使ったの?】 


何も解らないっての!左手が勝手に。


【何してるか解ってないので、すみません】


【涼さん、検査!すぐ。こっちへきて…】


さきに連れられて、MRIへ


【さき。ごめん。保険…】


【涼さん、保険とかどうでもいいの。そんなことより、二度目だよ、ダークホールを消滅させたの!涼さん、とんでもないことだよ。これ、とにかく検査!】


検査の結果やはりなんともない。でも、

左手のこと、黙っておこう。心配かけたくない。

あと時と同じく、手が動かない…


【涼さん、ダークホールはこれで終わりでないの。最大級のものが予定通りに出現予定。あと二日、今日は帰って休んで、るいとね】


保険…支払い、大丈夫かな?所長やさきはそんなこと気にもしてない感じだけど、俺は気になるよ。


ライトニングブレイカー、所長いいセンスだ。

左手…動かないけど、これが能力の代償なのかな。


向こうで、手を振ってる人が、玲奈だ。


【涼、早いね、帰り道なの!】


玲奈達、ユキもレイジも。


【涼さん、久しぶりっす!】


っす…そういう癖は簡単には直せないか。


【涼さん、汗だく…】


ユキ、来るなよ、来るなよ…って言ってる間に、

すぐそばに。クンクン🐕


【やっぱ、いい匂い。いいなー、るい】


玲奈は、


【ユキも早く彼氏作りなさい】


【涼さんみたいな人、そうそういないもん】


とりあえず、帰ってシャワーだ、俺。


【三人でどこ行くの?】


玲奈は


【安産祈願に、レイジの提案で】


レイジいいとこあるね。


【そうか、気をつけて、そう言えば、玲奈以外は、無職…メンバー…】


【それ、いいっこなしっすよ、涼さん】


【涼さん、私もモデルやりたいんだけど、お母さんと並ぶとね、私のほうがちょっと脚太い…かな?】


【ユキ、ちょっとではないよね、差があるよね】


【それ、酷くない?お母さんが細すぎるだよ!】


【そんなことないっす…ユキは美脚っす】


【こら、レイジ!自分の娘をなんて目で見て!】


楽しそうだね、みんな。

やはりこの世界守らないとならない。


ユキ、何で近くに、何々?


【涼さん、思い詰めてる…なに考えてるのに】


感づいたか?


【別に何も、ユキも可愛いなーって】


ユキは、じーと見つめて、


【嘘…何かおかしい…左手出して!】


ドキッ、何で解ったの?さきたちにもバレてないのに、ユキはどうして解るの?


【ユキ、俺急いでるから、ごめん】


【いいから出して!】


【何でもないって!ごめん急いでる!】


ユキに力を使わせる訳にはいかない。


俺は家に戻り、あー、疲れた。

左手もう動かない…


【るい、シャワー浴びるね】


るいがじーと見て、やな予感だよ…


【涼ちゃん、おかえり。お疲れ様】


バレてないよな?とりあえず、シャワーに。

左手使えないから大変だよ。うまく洗えない…

無意識に左手使ってたんだ。


【入るよー!】


バカ、るい、いきなり!何だよお前…


【自分で洗えるよ、何、急に入ってきて…】


恥ずかしい、いきなりって…


【髪洗ってあげるから。ほら、しゃがんで】


何でこんな。恥ずかしいよ。せめてタオルを。


【涼ちゃん、隠してもバレてるからね、そういうの隠すのは無理だよ。正直に言ってくれたほうがいい。もう駄目なんて言わないから】


【るい、隠していてごめんね】


【じゃ、正直に。左手は動くの?】


【動かない…感覚もない】


【そう…ユキには見せたの?】


【見せてない、ユキも俺の左手気にしていた】


るいはため息ついて、


【ユキに会ったんだ。好きな人のことは解るんだよ。ユキも同じ、涼ちゃんのこと好きなんだね、

変わらずに】


【るいは見た瞬間解ったの?】


【解ったよ、涼ちゃん仕事に行ってないこともね】


何だとー、いつからバレてたんだ。


【さきと何かしてる?私にも言えないこと?】


【さきと、TA続けてる…ごめん、るい】


るいは、ため息ついて、


【なるほどね、さき、解散って嘘だったんだ】


【さきは、るい達に残された時間を…ヤベっ!】


バレちゃった?


【なに、残された時間って、何?涼ちゃん!話して!】


もう話すしかない…嘘は…いつかバレる…














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