第30話 決断

このホテルに全員勢ぞろい!

さきも来てたとはね。


玲奈、なんなんだよ、さっきの。

気になって仕方ない。るいがいなかったらセーフ!


るい、お皿一杯で戻ってきた。

よく食べるね。さっきほんとにヤバかったのに。

もう詰まらすなよな!


【涼ちゃん、ただいま!あれ、さき。何でいるの?】


【ここの経営者だもん】


【あー、そんな…モグモグ…こと…モグモグ…言ってた…モグモグ…ね…モグモグ、ゲボ…モグモグ】


るい、反省しろよ。また喉に詰まらすぞ。

俺はたまらず、


【るい、喋るか食べるかどっちかにして】


るい、黙って食べて、そっちを選んだね。

ほんとこんなに食べるとは、一緒に暮らしていて、

ほんと知らなかったよ。


【ユキもー!】


玲奈、ニヤリと。


そもそも発端は玲奈だそ!


るい、モグモグ。気にしてない。


さきが、


【涼さん、美女、美少女勢ぞろい!嬉しいでしょ?】


【嬉しいよ。もちろん。さきも含めてね】


【もう〜、お世辞上手い!素直に喜んじゃうよ!

涼さんも素敵チュ😚】


さき、酔ってる?

るいは、モグモグ。良かった見てない!


【ユキもー!ユキもー!】


るいがハッとして、


【ユキちゃん、さっきから、ユキもーって?】


ユキ、余計なこと言わないで。頼むから!


【ユキ、アイス取りに行こう!】


俺はユキを連れて、デザートコーナーへ。

そして、ユキを抱っこして、説明を。


【あのね、玲奈やさきはふざけてしてるからね、

ユキは見習っては駄目だよ。いい子だからね】


【解った。涼さん。なんでふざけてチュ😚なの?】


んー、るいにバレそうだ。ユキをどう説得するかな?


【お母さんやお父さんが小さい子供にチュ😚ってする時はね、大事だよ、いい子だねって意味だから、ユキも大人になれば解るよ】


【じゃ。涼さん、チュ😚】


んー、可愛い!


【ありがと、ユキ】


これで、ユキもーは言わないかな?


【涼さん、お子さん連れて、いいお父さんっすね】


また来たよ、こいつ。


【俺の子供なくて、玲奈の】


【あー、あの美脚さん…美人さんの】


【何かとうるさいよ、お前は】


【すみません、俺、美脚好きなんで】


お前は見境なく女ならいいんだろ!

早く戻れよ。


【涼さん、さっき気になったんすけどね、空が部分的に暗いっていうか、真っ暗な場所あるんすよ】


【そりゃ、夜だから暗いよ】


青年はしゃがんで、


【…ん、そうっすね。美少女さん、じゃあね】


ユキは、


【お兄ちゃん、チュ😚】


バカ、こんなやつに!ユキ。お前変な癖ついたな。


【おおっ、感激っす。こんな美少女さんに】


【いいから彼女のとこ行け】


ユキが、


【かっこいいお兄ちゃんだね、涼さんの次に】


【俺を褒めてくれるは嬉しいけど、大きくなって、あんなのと付き合っちゃ駄目だよ。あと、やたらチュ😚は駄目。玲奈とかるいとかにだけね】


【じゃ、涼さんは?】


【嬉しいけど、やたら男の人にしないほうが…】


【解った、るいちゃんにしてくるね!】


ユキ、アイス落とすなよ!走るなよ。


【るいちゃんーーーーー!】


るいが走ってるよユキに気がつき、


【ユキちゃん、危ないから走らないで】


ユキは、るいにくっついて、チュ😚


【ユキちゃん、ありがとうね、私もチュ😚】


【涼さんがね、お母さんやるいちゃんだけにって、涼ちゃんにはもうしちゃ駄目だって言われたから】


るい???


さきが、


【あー、さっき私が涼さんにしたからか】


ついに、気がついた。るい😡


【さき。何だよ、さっきって!】


【るい、ここで見てたじゃん】


【見てたらギタギタにしてるよ、いつだよ!】


【お前が食い散らかしてるときな、ハイエナ!】


るい😡😡😡!!!


【さき、テメー喧嘩売ってんのかよ!】


ストッーーーーープ!間に合うか!


【二人共やめろ。ユキが怖がる!】


【…解った。さきの性格なら…】


【さきもふざけるのはもう禁止!いいな!】


【はーい。ゲブ、涼さーん、気をつけまーす】


やっぱ酒を。あー、面倒な人。

離れてもらうか。


【さき、るいに告った青年あっちにいたよ】


【あっ、そう?じゃ、挨拶を…ゲブ、してくる】


ふぅー、助かった。青年。頼むぞ。


るい、何度目だおかわりに?あの体にどれだけはいるんだ?


【玲奈、ユキ変な癖ついたからさ。ああいうのは、ちょっとやめたほうがいい】


【…そうだね。ごめん】


何だこの空気?…玲奈?


【ちょっと。外行ってくるね】


【解った。俺とるいはここにいるから】


体調悪いのかな?玲奈。


ガッシャーン!何だ、凄い音。


【うわ、さきさん、勘弁っすよ】


向こうでさき、なんかやらかしたな。

さては🤮?どうしようもないな、酒癖悪すぎ!


【涼ちゃん、食べてる?パンナコッタめちゃくちゃ美味しいよ】


スイーツ別腹なんたね。るい。


るい、モグモグ。

なんか子供みたい、るい。ほっぺに付いてるよ。

可愛いけどね。こんなに必死に食べるなんて。


【るいー、ちょっと来て。問題発生!】


【んだよ。うるさいな。さき】


モグモグ…さきを無視していいのか?るい。


【るい、ほんと大事なこと。ブュッフェ無料でいいから来て!】


おい、るい、無料だって!すぐ行け。今すぐ!


【るい、さき、大事な話みたい!急いで】


【涼ちゃん、無料に反応して…食べてるのに】


【いいから、行って来い!後で食べれるから!】


【解ったよ、もう、何なんだよ、さき!】


渋々、るいは向かった。無料だぞ!これほど大きいメリットはない。助かるよ、これは助かる。

ちょっと、玲奈が心配だな。見に行こうかな?


外って言ってたけど、こんな暗いのに。

ユキも連れて大丈夫かな?


あっ、いた。何度も見て入るが…言われる通り、

確かに素敵な女性だ。青年が気にするのも解る。

あの青年、今度名前聞いておこう。軽いが悪い人間ではないかも…たぶん。女好きだけだ…たぶん。


【玲奈~!】


【涼、シー!】


???あっ、ユキ寝てるのか。

ベンチでぐっすり。玲奈がユキの髪撫でで、


【涼、ありがとうね。ユキのこと】


【何を?】


【ユキにとって、涼は恋人なんだよ】


【父親くらいに思ってるんだろ?恋人なんて】


【遊園地に来る前にね、このホテルに泊まったのも少しでも涼に会いたいからなんだって、ユキ】


ユキー、もう可愛過ぎる。実際に可愛いけど、

その性格がとにかくもう、可愛過ぎる!


【かわいいなー、ユキ。懐かれるってこんなに嬉しいことなんだね、父親気分味あわせてもらって感謝するよ。ありがとう、ユキ】


【涼…ほんとに父親になってくれたら…】


玲奈?


【本当は今頃、こうやって…家族で…】


玲奈?


【るいとのこと解ってる。涼、どれほどるいを好きなのかも。でも、ユキのことも考えると…】


【そうだね。ほんと。俺は自分勝手…】


【ユキのことだけじゃない、私だって…】


玲奈?


【まだ好きなんだって!そう簡単に割り切れない…】


【玲奈、でも俺にはるいが、ごめん】


【解ってる。もう困らせたりしない。ごめんね。ちょっと弱い私見せたね。あー、もう嫌だ!】


玲奈…俺は、どうすれば?


【涼…さ…ん。むにゃ…チュ…むにゃ…】


ユキ、夢見てるね。


愛情って、言葉。

愛と情って漢字から成り立ってる。

どっちを選ぶんだ?


わわっ!玲奈、ちょっと


【ごめん、涼、今だけだから】


玲奈が抱きついてきた。普通、男なら喜ぶだろう。

ショートカットのこんな素敵な女性に。


【玲奈、俺汗かいてるよ】


【むしろ、涼らしくて安心する…いい匂いかも】


玲奈、弱ってるね。疲れているんだ。

本気だとしても答えられない。俺にはるいが。

もし玲奈を包み込んでしまったら…


何が待ってるのか?何を得て、何を失うのか?


答えが出ない。結局、誰かが傷つく。


答えが出ない…空を見上げるしかない。

ごめん、玲奈。


玲奈とユキ、こんな家族なら幸せだったろうな。


今思うとね、最初の人生、何が不満だったんだ?

玲奈と何も問題なく幸せに暮らしていたはず。


馬鹿だったな、俺。自分勝手に誰かを好きになり、そのために誰が傷つく。


今、俺にしがみつき、泣いている玲奈。

泣いているんじゃない。涙をこらえて震えている。


もう、嫌になる自分が。

こんな玲奈を見たいんじゃない!


俺はついに、玲奈を…


【玲奈、これは情なのかも知れない…】


玲奈をそっと包み込む。暖かい夏の風が、

俺達を包み込む。



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