第26話 存在

玲奈から、連絡だ。


【ごめん、遅くなって今からユキ、迎えに行く】


ユキ、遊園地とかは今度連れて行くね。

さきのことで付き合わせてしまって、ごめん。


それなのに、ユキは、


【涼さん、ありがとう。また遊んでね】


助けてもらって、俺何もしてあげてない。


ユキ…なんか可哀想に。はい、抱っこ。

昨日寝ちゃったから。玲奈来るまであるから、

チーズケーキ食べようね。


【涼さん、右手痛いから、はい、あーんして】


ユキ、んー、可愛い!

食べさせてくれるの?いい子、ありがとう。

膝に抱っこしながら、あたまを撫でで、


【ユキのおかげで良くなったよ、大丈夫!、あのさ、ユキは俺が汗かいたとき、臭くないの?よく匂い嗅ぐときには。俺汗かいてるときだからさ】


【なんで、臭いの?全然臭くないよ、あのね、昔にね、なんか覚えてる匂いなの。凄く安心するの】


そうやってね、膝に乗せて、抱っこして、

そこから見上げるって、なんて可愛さなんだ!

もうちょっとここにいれば?なんて思うよ。


【んー、ユキ、優しくていい子!】


それに比べて、すぐ汗臭いとか言いやがる大人達は、どうしようもないね。ピュアな感情をどっかに置いてきたのか。きっとそうだな。


おっ!視線…その大人だ。これは。


やっぱりね、るい。今頃起きてきた。


なんだ、なにか言うのか?相手は子供だぞ。


【おはよう、涼ちゃん、ユキ。私もチーズケーキ食べよっかなー】


大人になったな、るい。ユキは娘みたいな…ね。


ユキが、


【るいちゃんも一緒に食べようね】


るいが、ぼそっと、


【うん、食べようね。………………涼ちゃん、

なんかさー、昨日のこと、嘘みたいだね、世の中で何も何もなかったみたいに、平和】


【るいもユキもあの時、怖かったよね。

るい、ユキを守ってくれてありがとう】


俺の感謝の言葉に。るい、微笑んでる。


【ユキもありがとうね、右手を直してくれて】


ユキも嬉しそうに。もう天使!だ。可愛すぎる娘だ。


ガチャ!


【ごめん、遅くなって。ユキ、楽しかった~?、涼、るい、ありがとう。昨日はユキ守ってくれて】


玲奈、迎え早過ぎだよ。まだチーズケーキ食べてるからさ。


【なんか、涼ちゃん、ユキの可愛さにやられた?まぁ解らなくもないけどね】


ユキが、 


【お母さん、ユキ。涼さんの守護神!なんだって】


【守護神?ユキが?…とりあえず凄いね!】


玲奈、あまり触れないで、説明大変…


名残惜しいが、るいと俺は、


【ユキちゃん、また来てね】


【ユキ、ありがとうね、今度は遊園地とか行こう!、もうすっかり良くなったよ、ほら!】


俺は右手を動かしてみた。ユキはニコっと笑って、


【涼さーん、るいちゃん、また来るね!】


玲奈とユキは帰っていった。


【ユキって、ほんと天使だな。可愛いだけでなく、俺を右手も】


るいは、じっと手を見て、


【涼ちゃん、手洗った?】


【さすがに洗ったよ。昨日はありがとう、髪ってのは人に洗ってもらうとすっきりするねー、今度は俺が洗ってあげるよ】


るいは沈黙…暫くして、


【涼ちゃん、ほんとにユキに直してもらったと思う?偶然ってことない?】


なんだよ、直ってるじゃん。現実に。


【偶然かも知れないけどさ、ユキに手を握ってもらっていたのは事実だから。それに、なんかユキって癒されるんだよ、そういうことも影響したのかも】


【ユキって、まだ涼ちゃん、出会った頃のユキと重なる?それとも大人だったユキと重なる?】


【ならない、ならない!だって娘みたいな感じで見てるよ。もし大人だったとしてもならない】


るいは納得していない。そして、一言、


【それなら、いいんだけどさ。ユキを優しく抱っこするの見るとさ、解ってはいるんだけど、なんか、気になって。ごめん、大人げないって自分でも思ってる。それに、さきとの話も教えてくれないじゃん。そういうのが続くと…】


るい、もう、これで静かになってね…

るいのほっぺにキス。そして頭を撫でで。

そっと抱きしめた。抱きしめたのは、

………こんなことした自分に照れてる、恥ずい…

そんな表情見られたくないからね。


【涼ちゃん…、ズルいよ、こういうの…】


おっ、好反応!


【ユキのことは何も心配ない、さきのことは全て話すよ。何もかも】


【…うん、ありがとう】


それから、俺はさきの話を…ブラックホールもどきとかダークホールとかいう、時空の狭間とは異なるもの、その規模は地球🌏を飲み込んでしまう可能性あるなどなど、全てを。


るいはあまり驚かない。俺はパニクってたよ。


【じゃあさ、未来とか考えずに。今を楽しもう!】


るいの切り替えは凄いね。本心は不安なんだろうけど。


るいは、


【今日はこれからどうする?なにか予定は?】


なんかあった?何も無いよな、明日から会社だ。

嫌だなー、行きたくないなー、サボろうかな。


【今日は何もないよ。るい、何処か行きたい?】


【じゃ、映画行こう!】


【涼しいからね、いいね!】


二人で映画、食事、ゲーム…なかなかハード。

UFOキャッチャーで取れたぬいぐるみを、

るいは大事そうに持って、


【二つ取れたからさ、今度一個ユキにあげる】


おっ、優しいね、るい。


【喜ぶよ。ユキ。今度はユキ連れて遊園地に、るいも絶叫系大丈夫だったよね。俺、回転系以外は大丈夫。ゾンビ系も平気だから】


【涼ちゃん、ゾンビ系平気なの?】


るい、怖いのかな?そんな、るい、見てみたい。


【一緒なら平気でしょ、るいも】


【まぁ、ある程度は…ユキはどうだろう?】


怖がってるな、るい。ユキが怖いとか言って、他のに変えようとしてるね。


俺は、


【じゃ今度の休みに。玲奈ついて来ちゃったら、

るい嫌だよね?】


るいの許可得ないと、玲奈はさすがに無理か。


【いいよ、別に。涼ちゃん、何とも思ってないんでしょ?そういうのないならいいよ、それにさ、みんなで思い出残しておいたほうが後悔しないから】


言われてみれば、この世界がいつ終わるか。

みんなで思い出作るか!さきは…やめておこう、

念のため。


【じゃ、そのメンツで今週末にでも】


もう、楽しめるだけ嬉しんだほうがいい。


あと、ユキのこと、まだ知らない何かあるかも。


ユキが俺の手を握って、本当にヒーリングかな?

ユキの能力って、まだ解らないこと多い。


右手…嘘のように何ともない。


大人だった頃のユキ、どうだったかな?

何か俺にあったとき、ユキに救われること、

今後もありそうだ。


ユキの存在か…大きいな。

本当に娘みたいな感じなんだけど、時々、大人の

ユキと重なる。


間違っても、るいには言えない。


とりあえず玲奈に連絡しておこう。

ユキは俺が肩車…ってなるね。














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