第21話 三人で

【じゃ、私の言う通りにして】


さきに従う、たぶん最も把握してる人だから。


【涼さん、ユキを抱っこして】


お安い御用!嬉しい御用!


【解った。ユキごめんね、触れるよ】


両手に広げて微笑んでくれて、


【涼さん、どうぞ遠慮なく】


俺はユキを抱っこして、というよりも、お姫様

抱っこだね。ここでは大人だから。


【涼さ~ん。やっぱりいい匂い!クンクン】


るいが、怒った!


【ユキ、それ関係なくない!?匂い嗅ぐのってさ!】


【だって、安心するんだもん!涼た~ん】


【何子供の振りしてるの?ムカつく!ほんと、

ムカつく!涼ちゃんも何ニヤニヤしてんの!】


俺に八つ当たりだ。るい…荒れてる。


【仕方ないだろ、同じ状態にならないとさ】


さきが、


【るい、ここは我慢すること!、ユキもふざけない

こと。時空の狭間が出たらすぐ行動すること】


るいは怒ってる😡これはやな予感…


仕方ないけど、ちょっと嬉しいかも。ユキが

俺にしがみついてる。汗の匂い嗅がれるのは抵抗あるけど、こんな匂いなんで好きなの?


ユキ、こんなの好きだったかな?

そう言えば、付き合ってるとき、やたら後ろに

くっついてきたな。背中なんか凄い汗かく場所。


そういうことだったのかー。知らなかった。

服とかの匂い、嗅いでるの何回か見たことある。

懐かしいね、でも、趣味に問題あるけど。


俺はさきに、


【なんか、いろいろありがとう。もしこれで時空の狭間が現れたらお別れだけどさ、向こうでさきに伝えることある?】


【そうしたら、さきにっていうか私にパラレルワールドは存在していない、時間の繋がりを調べてと伝えて】


【解った、伝える】


これは、俺の方向性も考え直さないとな。

ただ闇雲にるい、ユキ、玲奈を困らせるだけだ。


何れにせよ、さきの判断を優先にしたほうがいい。

この知識、分析、経験は俺たちにはない。

さすがだ、リーダー。


【涼ちゃん、ユキおろしていいんじゃない?現れないよ、本当にこれで戻れるの?】


まぁ。とりあえずもう少し。俺はユキに、


【こっちの時間に未練ないの?ユキ】


【涼さんと来たんでしょ、私。だとしたら、ここにいたら、本来ここにいるユキに迷惑でしょ、クンクン、クンクン】


【ちょっとさ、ユキ、昔からこんな趣味あった?】


ユキはニコニコして、


【涼さん、あなたのこと好きになったみたい、

たぶん大好きなことに気がついた!】


まぁ、最初に戻ったときに付き合ってたからね。

でも、さっきとえらく変わったな。


【ユキ、さっきはまったくそんな様子なく…】


【匂いって大事だね、涼さん、もっと汗かいてよ】


ここで、ついに、るいが大噴火!


【もう、二人して、許さん!】


るいが飛び蹴りを…ヤバい逃げろ!


さきが、大声で!


【出た!ほら予定通りに行動して、涼さん、

飛び込んで!】


解った!、るい、お前ちょっと待て!後から、


さきも、


【るい、早過ぎっ!少し待って!】


るい、怒って聞いてない、マズい!


【るい、頼む。言うこと聞いて!】


【うるさーい、もうムカつく!ぶっ飛ばす!】


るいに何も届かない…やばいな、怒りMax!


【うわっ、なんだ、同時に…】


さきが、


【馬鹿!るい何やってるの!】


こうして三人共同時に時空の狭間に…


俺はるいにぶっ飛ばされ、少し気を失って…

るい、手加減出来ないのかよ、ほんと…


【んっ、どうした?まだ暗闇か…】


るいが、


【目覚めた!涼ちゃん。少し反省した?】


【悪かったけど、加減しろよな、ユキは?】


【大丈夫、涼さんにくっついてまーす】


るいは、


【あのね、ユキ、勘違いしてない?涼ちゃんは私の旦那さん、あなたとは別れてるの。覚えてない?】


ストレートだな。るい。ユキが可哀想…


【るい、その言い方、それは可哀想だよ…】


ユキが泣き始めて…


【私だって…こんなに、こんなに、…………………いい匂いなのに…嗅ぐことくらいいいじゃん!】


なんだよ、匂いなんだな、ユキは。


【なぁ、ユキ。匂い嗅ぐのはいいからさ、るいのこと解ってくれる?本当にるいと結婚してたんだ】


【匂い嗅ぐのいいの?それなら、解った。クンクン、クンクン、クンクン🐕】


【涼ちゃん、いい気分しないけどさ、私も大人げないなって、私もちょっと嗅いでいい?クンクン、クンクン、臭っ!無理!】


るい、それが普通だ。俺も臭いもん。でもさ、

ちょっと言い方キツイぞ、俺なりに傷つくよ…


早く着替えたい…走りまくって汗だく。

ユキが異常何だよ。


それにしても長いな。この暗闇、こんな中ではこの二人は凄い精神力だ!


とりあえず、ユキを抱っこした状態で座ることに。

あれ、ユキ寝てる。なんか可愛いな。

疲れてるんだろうな。


るい、るいも寝てるの?

俺に寄りかかって…両手に花🌷、いい気分。

俺も眠くなってきた💤


ユキの少し長い髪があたる。なんかいい匂い。

汗臭い俺と全然違うな。


るいは…おい!いびき!どれだけ強いんだ。お前。

可愛い顔してるのに、怒るともの凄く怖い。


【ん、まだ着かないの?】


ユキが目を覚ました。


【まだだね、かなりの長いね、今回は特に】


ユキと見つめ合って、ユキが両手を首にまわして、

おい。これは!おい、ちょっとちょっと!


チュ!😚


ユキ、るいが寝てるにしても、何、この展開。

さっき会ったときとは違いすぎるぞ。


【あのね、涼さん、どんどん好きになって、

どうしよう…】


【冗談でしょ、ユキ】


【本気!ほんとうに好き!】


るい、起きてないよな?嬉しいけど、今の俺は、

るいのことが。


【結婚してるんだもんね、無理だね】


本気なのか?ユキ


性格まで変わったような気がするね、ユキ。

それに、少し幼くなってきたような、

もしかして子供に戻るのか?


もし戻ったら、こんな気持ちでいるユキを放ってはおけないな。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る