【第九回 その2】 並行世界戦記 赧竜の撃墜王
後半です。よろしくお願いします!
【五話目】第5話 初体験
「初めて飛行機に乗った時のような、建物や人間が米粒に映り、幼い頃に憧れた空を飛ぶという例えようのない爽快感に襲われる」の部分ですが、情報過多で文の構成として違和感を持ちました。「初めて飛行機に乗った時のような、」はなくても良いのではないかと思います。また、‟襲われる”はマイナスのイメージに捉えられることが多く、前にある「爽快感」という綺麗な言葉を打ち消してしまう可能性があるため、この表現も注意が必要だと思います。
エレガーとジャギー、流石に言い過ぎじゃないですか……?
実際に声に出しているわけではないですが、「精神に遅延のある難儀な人間ではないのか」は誤解を招くかもしれません。‟この状況下にも関わらず子供っぽいところに呆れている”というような、やんわりとした表現に収めておくのが無難だと思います。この部分は好みの問題ではありますが、「可哀想だなと溜息をつく」などというように、勝に寄り添う素振りがないことも、読んでいてそれこそかわいそうだなと感じます。
仮にも国の救世主である勝に冷たい態度をとる周りの人間たちは、なぜ勝をもっと大事に扱わないのかと疑問を持ちました。勝が役に立たない人間かもしれないことに落胆する気持ちはわかるのですが、それならばなぜ勝を見捨てようとはしないのでしょうか。勝が能天気だから成り立っているところもあるのですが、キャラクターたちの距離感をもっと大切にするべきだと思います。
「精神情弱気味の勝に」とはどういう意味でしょうか……?
「これをどうやって元の世界へと持って帰り、戦地に送ろうかとの軍人らしい考えが~」の、「との」はおそらく‟という”の意味で使われているのですが、私が調べた限り使い方を間違っていると思います。
「丘の上にポツンと立つ三角形の赤い屋根の家がが見えてくる」は、「が」が衍字です。
この世界にはドラゴン用のヘリポートみたいなものがあるんですね。
ラッキースケベ、お約束の展開ですね笑
作者様はコミカルな表現が上手だと思います。
勝は勝で言い逃れできない正直なモノが悪さしてますね……彼はこの世界で男としての威厳を確立することができるのでしょうか。
「エレガーはどや顔で、~」の最後の部分、「促しているかのように勝は感ドレ」は‟感じる”の誤字ですかね……?
「30畳はあろうかという部屋の中が彼らの目には飛び込んでくる」ですが、まず、「部屋の中が」という表現がおかしいので、せめて「部屋が」にするのが適切です。もっと言うと、「30畳」のほかに、どんな部屋かの描写があるとイメージしやすくなります。また、「目には飛び込んでくる」の「は」は余計です。
「老人は指をパチンと鳴らすと、テーブルの上に椅子が三つ現れる」の、「老人は」は、‟老人が”が適切です。
「勝は、自分の話は詳しくは誰にも話してはおらず、何故自分の事が知っているのか~」は、‟何故自分の事を知っているのか”が適切です。
「君がここに来たのは予測済みだ……」は、‟君がここに来るのは~”の方が会話として自然だと思います。
ようやくこの世界のあれこれがわかりそうですね。勝がみんなに認められる日は来るのでしょうか……
【六話目】第6話 世界観
「幻魔紀元前以前」とありますが、「紀元前」であるなら、「以前」はいらない気がしますが、どうなんでしょうか。‟紀元前○○年以前”ならわかるのですが……
オーパーツ、ロマンがありますよね。太古につくられた謎の物体……これだけでワクワクします笑
「ドレは飲料を飲みあまりの旨さに感動をしている勝を見て感嘆の溜息を付く」ですが、「感動をしている」の「を」は、ない方が良いと思います。そして、「感嘆の溜息を付く」は表現として違和感があります。ドレが、まだ特に何もしていない勝に感嘆している理由がよくわからないですし、なぜここで溜息をついたのかもわかりませんでした。
「いきなり国を救ってくれと言われてどうしたらよいのか途方に暮れているのである」は、‟途方に暮れる”という言葉が‟どうしてよいかわからなくなる”という意味を持つので、「どうしたらよいのか」はなくても良いと思います。
「私達この世界の住人は全員に大なり小なり魔力は持っているのだが」は、‟全員が大なり小なり魔力を持っているのだが”が適切です。
「勝は、この世界では当たり前に~」の一文ですが、長すぎるためか難解な文になっているように感じました。
「脆くも崩れざる音」は‟崩れ去る音”の誤字、「頭の片隅には聞こえる」は、‟頭の片隅に聞こえる”が適切です。
この「頭の片隅に」聞こえるという部分ですが、‟軍人にとってかなり重要な精神論(当たり前)を否定された”というように私は捉えました。であれば、その精神論が崩れ去る音は、頭の隅っこという地味な場所ではなく、存在感の強いところで聞こえるものではないかと思います。常に行動原理として掲げていた心持ちでしょうから……
「藁にも縋る思いで」ドレを頼ろうとする勝ですが、‟藁にも縋る思い”とは、‟どんな頼りないものでも仕方なく当てにする”という意味があります。私はドレがとても頼りになる存在だと感じたため、勝は‟藁にも縋る思い”というよりも、‟頼みの綱”としてドレに尋ねているのではないかと思いました。
「聖杯は、私の頭の中の予測では」とありますが、「頭の中の」はなくても良いのではないかと思います。
「勝はカヤック王と初めて会ったときに言われた言葉が鮮明に蘇る」は文法的におかしい気がします。二つ、三つの文が混ざったような文になってしまっているので、「勝は」をなくすか、「が鮮明に蘇る」を他の表現に変えるべきだと思います。
勝は「魂が抜けて死んだ目をしていた」んですね。割とこの世界を楽しんでいる節もあったような気がしますが……
ドレとエレガーがニヤリと笑ったのが何か裏がありそうで怖いですね。誰も信用できなくなってしまっている私がいます。
「奥の方で椅子に座っている、装甲を身につけた兵士は帽子を取り、額に十字傷がある40代後半の男はニヤリと笑い、勝の元へと歩み寄る」の一文ですが、「装甲を身につけた兵士」と「額に十字傷がある40代後半の男」の二人がいるように捉えられてしまうと思います。おそらくガルツ一人についての描写ですよね?
無理に一つの文にしようとすると、意図しない伝わり方をすることがありますし、読みづらくもなってしまいます。
「体は貧弱そう」と勝を形容するガルツですが、彼の体格についての描写があると、その「雲泥の差」のイメージがしやすくなると思います。
「空の上から爆発音が聞こえて」とありますが、「空の上」とはどのような場所を表しているのでしょうか……?
「肺結核という肺への病気ではなく」は、‟肺の病気”が適切です。
また、「寿命が限界が来ているんだ」は、‟寿命に限界がきているんだ”が適切です。
ここでドレが「肺結核」という、誰の口からも発せられていない単語を喋りますが、これは勝の心を読んでいるからということですよね。勝の心の声と会話しているというおしゃれな表現だなと思いました。
再び「藁にもすがる」というワードが出てきました。今度は使い方は合ってる……と思ったのですが、よくよく考えると勝は‟救世主”ですよね。結局ドレからも信用されていないということでしょうか。悲しい……
今回のレビューは第一章が完結したここまでとします。
***
総括です! 率直に言って、ストーリーの構成やキャラクターづくりよりも、まずは文章について見直すべきです。私が気になったところをもう一度、一つずつ見ていきましょう。
最初に、一つの文が長いという点です。読点で繋ぎまくった文で、一息で読めなかったり、だらだらした文に見えるという難点があります。さらに一番懸念されるのが、情報量が多くなりすぎてごちゃごちゃしてしまうということです。二つ以上の文が合わさったようなものが多く、文の始まりと終わりで一貫性がなかったり、何が言いたいのかわかりづらくなってしまっている傾向にありました。読点を多用し、一つの文を長くすることは表現方法の一つとして間違っていることではないと思います。しかし、そのせいで支離滅裂になってしまっては元も子もありません。
次に、同じ言葉を多用しているという点です。セリフで言ったことを地の文で全く同じように繰り返したり、一度使った表現が次の文にすぐ登場するということが多くありました。特に「見やる」「溜息」が多すぎます。
せっかくキャラクターが喋ってくれたのに、それを地の文でも書いてしまうと、「それ今言ったじゃん」と私は思ってしまいます。全く同じではなくても、セリフから心情が読み取れるのに、地の文でも説明するとしつこく感じるのです。
私が同じ言葉を連発することが気になるのも、そういう理由があるからです。それに加え、語彙力の乏しさを感じさせてしまったり、ワンパターンで表現の幅が狭くなることにもつながります。
続いて、言葉や助詞などの誤用が多い点です。それぞれの言葉がどのような意味を持っているのか、わかってた気でいても間違った使い方をしてしまうことが私にもよくあります。言葉を選ぶときに、一度調べてから使うことを心がけるべきではないでしょうか。こちらも語彙力に関わることなのですが、心理描写では直球な表現が多く使われていて、狙いがあるかはわかりませんが、その語彙力の低さによって面白みが増しているところもありました。特に、勝の心理描写の子供っぽい表現に魅力を感じました。
その他、細かい点についてです。疑問符・感嘆符の後に空白を入れるかそうでないかの統一がされていないため、どちらかに揃えるべきです。
また、語尾のほとんどが現在形であるところが気になりはしましたが、これについては善し悪しに諸説あるのかなと最近考え始めたので、気づいたこととして提示しておきます。
最後に、地の文の「解説している感」が強いところが多く、副音声を聞いているような感覚になりました。
以上が気になった点です。
この作品は、キャラクターの個性が立っており、それぞれがどういう風に活躍していくのか想像しやすく、今後に期待を持てます。主人公のいじられっぷりは特筆に値し、キャラクター同士のコミカルなやりとりが面白いです。
ところどころに、読者に時代背景を認識させる作者様の気配りがあり、世界観には入っていきやすい構成ですし、良いストーリーを持っているなと思いました。
星は1つです。私の性格上、基本となる文章がしっかりしていないとストーリーそっちのけになってしまうので、そこに重きを置いた評価にしました。
構成は素晴らしいので、文章が良くなるともっと読みやすい作品に進化すると思います。
私の指摘の意味がわからなかったり、気になることがありましたらコメントでどんどん訊いてください。具体例などもご希望であればご提案いたします。
今回は以上になります! ありがとうございました!
次回は企画の総まとめをして、お開きにしようと思います。
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