三首【水の音 今も聞こえる 水の音 あの日落とした 井戸の底から】

ポタ。ポタ。ポタ。ポタ。ポタ。


「あーこれは配管かな?」


業者の男のが天井に取り付けられた点検口に頭を突っ込んで口にした。


「いつなおりますか…?」


「うーん。あれ? ちょっと待って下さいね…。な、なんだこれ…!?」


声から男が青ざめているのが解る。


きっとアレを見たのだ。


男は悲鳴を上げて点検口から転がり落ちる。


転がり落ちると、そのままの勢いで出口に向かって逃げ去ってしまった。


ポタ。ポタ。ポタ。ポタ。ポタ。


相変わらず天井に出来たシミからは水が滴っている。



もう来ないで。アンタは死んだんだから。


死んでからも私を苦しめないで。




水の音 今も聞こえる 水の音


あの日落とした 井戸の底から

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