第27話 お祭り③

中心部まで馬車で行き、そこからは、歩いて街の中を通る。



まだ明るいが、ランタンがたくさん用意されており、いつもよりたくさんの妖精たちが飛んでいるのがわかる。




ジャスミンは、横で笑いながら、くるくると回りながら飛んだり、手を叩いたり、楽しそうだ。




「たくさんお店が出ていますね!とても楽しいです。」




「まだまだだよ。これから夜になればもっと綺麗だよ。」




にっこり微笑むサイラスを見て、私は、俯いた、サイラスの笑顔がなぜか最近照れくさい。





「楽しみですわ。」




「マリア!私友達のところに行ってくるから!」


「わかったわ。すぐ戻ってきてね。」





ジャスミンはそう言いながら、手を振って離れていった。




サイラスと2人きりだ…。緊張する。


私は唾を飲んだ。




彼がふと私の手を握った。



私は驚いてサイラスの顔を見上げた。



すると彼はにこりと笑って、




「人が多くなってきたから、逸れないようにね。」



気づけば周りは人がたくさんになっていた。サイラスのではとても暖かく優しい手だ。



ドキドキ…。

私の心臓は鳴り止まない。


ルーク以外の男性と手を繋ぐなんて…。きっとなれてないからこんなに心臓が高鳴っているのかしら…。




「もうすぐ中心だ。」



そう言われて顔を上げると、大広場の噴水の周りで男女や女性同士男性同士でダンスをしているのが見える。



軽やかなリズムが流れ、妖精たちもその周りを踊っている。



夕日も落ちかけて青色とオレンジ色が混ざり合っている、とても幻想的な風景だ。





「綺麗だわ。」



私はポツリと呟いた。



「さぁ、マリア一緒に踊ろう。」



彼に引っ張られて、ダンスの中に入った。




彼と初めて踊るので緊張するが、彼はとても上手で、リードも完璧だった。



「舞踏会じゃないから、そんなに緊張する必要はないよ。」



彼は私を見て優しく微笑んだ。




「サイラス様はとてもダンスが上手いのね。」




「そんなことないさ。君と踊れてとても楽しいからだよ。」



優しく私の手を握りダンスを踊る。こんなに楽しいダンスは初めてだわ。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る