異世界での出会い

いつもの仕事帰りに俺はマンホールから落下して、見知らぬ景色を見て異世界転移というのに至ったのには理由がある。


 最近俺がリハビリを担当していた患者に男子高校生がいたが、そういう感じの小説を読んだ事があると話していたからだ。


 今の俺の状況はまさにその小説に近いシチュエーションだが、彼と話したのはそのくらいで、ここからどうすればいいかは分からん。


 幸い、森に迷い込んだわけではなさそうだし、どっちかの方向に進めば人がいる所にいけるかもしれない。とりあえずまずは人と会う事だ、こんなところにずっといたら数日で野垂れ死ぬかもしれないしな。


 とりあえず辺りを見渡して人がいそうな所に進んでいくか、何となくの勘だがこっちかな、道が広そうだし。


 今俺は仕事帰り用に着替えた私服とバッグを持っており、食料はさっき買ったコンビニ弁当と普段から糖分補給用に所持している飴、それからペットボトルのお茶500mlだ。落下の影響か転移の影響下は知らないが酔いもさめた。


 お、そうだ念の為スマホを確認してみよう、うん思った通り圏外だな。ここじゃスマホもただの鉄の塊か……まあ元の世界に戻れれば使えるかもしれないし、大事にはしよう。


 そんな事を考えながら、歩いていくと、人影が見えたので思わず駆け寄り声をかける。


「あ、すいません!ちょっとお尋ねしたいことがあるんですが」

「はい?」


 俺が声をかけた人は女の子だった。見た感じ、可愛らしい顔立ちをしているが日本人とは違う顔立ちだな当たり前だが。俺より年下に見えるし、もしかしたら成人していないかもしれない。


 おっと、今は可愛い女の子に見とれてる場合じゃない、この子から少しでも情報を得なければ。


「実はちょっと道に迷いましてね近くの街か村までの道を教えてもらえないでしょうか?」

「近くの街ですか?私はこれからキッコの街に向かう途中なんですが、その前にあなたのお名前とどこから来たか教えていただけませんか?」


 可愛い顔して警戒心が強いな、まあ女の子が1人旅をしているんだ、いきなり素性の不明な男が声をかけてきたら無理もないな。しかし、今俺がこの世界の事を少しでも知るチャンスだし、信じてもらえるか分からないが教えるしかない。


「俺の名前は宮下祐一、ユーイチ・ミヤシタと言ってもいい、どこから来たかといえば、空から降ってきた」

「ユーイチ・ミヤシタ様ですか、珍しいお名前ですね。それに空から降ってきた?神様の使いとおっしゃりたいんでしょうけど失礼ですがそのようには見えませんが」


 相変わらず疑いの眼差しで俺を見るなあこの子。俺が信じてもらえる方法はないのか?

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