この星には僕らだけ

舘夢ゆき

プロローグ

『――基本プログラム再起動。バックアップデータを復元。スリープモードを解除します』



「……ここは…地球?」


 信じられなかった。あれだけ空気が汚く、ビルが立ち並ぶ汚染された都市は木々に覆われ、ビルなどの建物には苔が生えてツタがびっしり生えている。

「今は西暦何年なんだ?」

『3298年です』

あの時から約300年ほどが経過している……

 木々の隙間から優しい光が差し込み、僕の金属製の体を照らした。

「っ!アンジュ!!アンジュは!?」

 僕は周りを見渡し、赤いメタリックボディの女性を探した。

 アンジュは僕の横で静かに眠っていた。

「アンジュ……!再起動は!?いつなんだ!?」

 僕に搭載されたAIに訊く。

『はい、ライトさん。……約56年後かと思われます』

「……っ!」

 僕にとって56年という歳月は信じられないほど長いものだった。

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