バレンタインも大変なのです!

 ここはデヴィル城、大広間。ここにデヴィル城で働く悪魔が一堂に集結していた。

 デヴィル城で働く悪魔は45人。そして、デヴィル家の5人を合わせて50人の悪魔がデヴィル城にいることになる。


「えー、お忙しい中集まっていただきありがとうございます」


 丁寧にお辞儀をするのはデヴィル城にある図書館の館長を務めるフクロウの悪魔だ。


「こうやって集まるのは珍しいよな……ところで、どんな用件なんだ?」


 兎頭の手下が腕を組みながら自分たち手下が集まった理由について前に立つフクロウ館長に聞いた。


「エイエーン姫への日頃の感謝を伝えるため、我々でという行事を始めようかと思う」


 おぉおおおおおお


 悪魔達が歓喜し盛り上がったが、どこか盛り上がりに欠ける。その理由は悪魔達全員バレンタインという行事を知らないからだ。


「なぁ、そのバレン……えーっと」


「バレンタイン」


「そうそう、バレンタインってなんだ?」


 虎頭の護衛が首を傾げながらバレンタインというものについて知っているであろうフクロウ館長に尋ねた。


「地球にあったとされるこの文献のこのページに特集が載ってある。バレンタイについて説明すると……」


 フクロウ館長は女子高校生向けの雑誌を手にとり、バレンタイン特集と書かれているページを悪魔達に見せ説明し出した。

 説明を受けた悪魔達は疑問が晴れて、納得の表情となりやる気が満ち溢れた。


「好きな人にチョコレートを贈る日があったなんてな! 知らなかったぞ! でもバレンタインって2月なんだろ? 今は12月だ……2ヶ月も待てとでも言うのか? 俺は今すぐにでもやりたいぞ! エイエーン姫の喜ぶ顔が見たい! チョコレートのように俺のハートもドロドロに溶かしてほしい」


「そうだそうだ! 今すぐやりたい!」


 己の体を抱きながら熱心に語るのは鹿頭の手下だ。その言葉に全員が賛同している。バレンタインという行事があると聞かされていてもたってもいられないのだ。

 すぐにでも行いエイエーンを喜ばせたいという気持ちが全員同じ。もちろんこの企画を提案したフクロウ館長も同じなのだ。


「全員で協力してチョコレートを作ろう! そしてエイエーン姫に気に入ってもらいバレンタインという日を悪魔国家にも作ろうではないか!」


「「「おぉおおおお!!!!」」」


 翼のような手を天高く掲げたフクロウ館長はやる気に満ち溢れていた。そして悪魔達全員もそれぞれ個性がある手を天高く掲げた。


 そしてここからは作戦会議が始まった。


「ただ、チョコレートを作るだけでは面白くないな、何かアイディアはないか?」


「そうだ! エイエーン姫の形のチョコレートなんてどうだ? 確か型があったはずだ」


「いいなそれ! 絶対喜ぶぞ!」


 ライオンの頭をしたデヴィル城の料理長と牛頭の護衛が真剣にメモを取りながら話していた。

 それの話を聞いていた白い雌兎の使用人とキリンの頭の使用人が口を開く。


「でもそれだとやっぱり物足りないわよね……エイエーン姫らしい感じにしたいわ……」


「そうですね。エイエーン姫らしさ……エイエーン姫らしさ……う~ん……」


「う~ん……」


 全員が首を傾げ手に顎をのせて必死に考える。目を瞑りエイエーンのことを考えながらエイエーンらしさとは何かを必死に、必死に、今までの記憶を辿って思考する。


 そして全員が揃って口を開いた。


「「「のチョコレート!!!」」」


 打ち合わせず、タイミングを合わせようともしていないのに45人の悪魔全員が1秒のズレもなく同じことを言ったのだ。


 悪魔には寿命がない。なので可愛い可愛い悪魔ちゃんは現在4万7714歳だ。

 4万7714個のエイエーンの形をしたチョコレートを作れば喜ぶこと間違いなし。悪魔達全員の意見が一致した。


 ここからの行動は早かった。それぞれが出来ることを連携してやるだけだ。チームワークと言うのだろうか。デヴィル城の悪魔達の連携は見事なものだった。


 チョコレートの材料を買いに行ったり、エイエーンにバレないように気を引いたり、それぞれの悪魔にそれぞれの担当がある。それをしっかりと行うだけだ。


 チョコレートの調理に関してもライオンの悪魔の料理長がいる。料理未経験の悪魔達が手伝っても問題がない。読み込みが早いのか教えがいいのかは不明だが着実にエイエーンの形のチョコレートは出来上がってきている。

 始めの頃の計画では等身大サイズのチョコレートを考えていたが材料の問題上、不可能と判明し断念。なので食べやすい一口サイズの大きさを作ることになったのだ。

 あとは4万7714個作り上げるだけだ。


「いいか? 素早く丁寧に作るんだ! でも焦って適当になったり作業工程を飛ばしたりするなよ! 温度調節もしっかりな!」


「「「はい!!」」」


 順調にチョコレートを作っていたとき、嵐のような悪魔達が厨房に入ってきた。


「話は全て聞かせてもらったぞ!!! 粋なことをするじゃないか! 俺もエイエーンのために何か手伝わせてくれ!!! エイエーンのためならなんでもする!!!」


「わしも孫のためならなんでもするぞい!!! わしも作らせてくれ!!!」


 勢いよく扉を開けたのはエイエーンの兄のナガイーキと祖父のモウスーグだ。いつの間にかエイエーンチョコと名付けられていたが、そこはスルーする手下達。

 強力な助っ人の登場で手下達も喜びの表情だ。


「そ、それでは私が作業工程を教えます。こちらにどうぞ!」


 キリンの頭の使用人が二人を誘導する。そのまま調理台へと向かう途中にライオン料理長が二人にエイエーンチョコを1個ずつ渡した。


「これは試作品ですので食べてみてください。ナガイーキ様とモウスーグ様のお口に合えばきっとエイエーン様のお口にも合います」


「うむ。よかろう……食べてみようではないか」


 試作品のエイエーンチョコを受け取るモウスーグ。じっくりとエイエーンの形をした一口サイズのチョコレートを見た後にパクッと口の中に放り込んだ。


 すると、


 うまぁああああああああああいっ!!!!!!


「うまいッ!!! これは絶対、孫も大喜びじゃ!! こんなに美味く可愛いチョコは初めてじゃい! よし、やる気が出てきたわい!!!」


「あぁ、モ、モウスーグ様!! やる気を出して燃えるのは結構なんですが、その……周りのチョコを溶かすのはやめてくださーい!!!」


「お、おう、これは失礼した……すまんすまん……ガッハッハハッハ」


 燃えるほどやる気を出してしまい、完成したチョコレートを溶かしそうになってしまった。

 モウスーグは頭を掻き大笑いしながらライオン料理長に謝罪した。


「ナガイーキ様はどうですか? お口に合いましたか?」



「…………」



「ん? ナ、ナガイーキ……様……?」



 反応がなかったナガイーキを見てみると、エイエーンチョコを持ったままチョコレートのように固まっていたのだ。

 これはエイエーンチョコのエイエーンの姿が可愛すぎて気絶してしまっているのだ。なぜか固まっているナガイーキの姿を見て調理をしている悪魔達全員が嬉しそうな表情で首を何度も縦に振っている。


「ナガイーキ様が気絶するってことはそれほど完成度が高いってことだ」


「なんか自信出てきた!!」


 虎頭の護衛と兎頭の手下の二人がナガイーキの姿を見ながら話していた。

 エイエーンが関わると些細なことでも気絶してしまうナガイーキだが、これでも悪魔族最強の戦士だ。手下達の信頼も厚い。そんな最強の戦士が見ただけで気絶するのだがら文句なしの完成度だろう。


 そのまま気絶してしまい邪魔になったナガイーキを牛頭の護衛と鹿頭の手下が廊下まで運んで行った。

 その時、大事そうに掴んでいるチョコを取ろうとしたが力が強すぎて離れなかった。

 むしろチョコと合体してしまったのではないかと思うくらいガッチリくっついている。チョコのように固まってしまっているのだから本当にチョコと合体したのかもしれない。


「それでは最強の助っ人モウスーグ様が来ましたのでエイエーンチョコ作り再開しましよう!」


「「「おーう!!!!」」」


 全員で息の揃った掛け声をし、チョコレート作りが再開された。



 ★☆★☆★☆★☆



 一方その頃、エイエーンは……



「なんか甘い香りがする~何これ~??」


 よだれを垂らしながら翼と尻尾をブルンブルン機嫌良く揺らしていた。


「さ、さぁ……な、なんでしょうね、私はさっぱり、わ、わかりません……」


 チョコ作りがバレないようにエイエーンの気を引く役目を任されたのは白い雌兎の使用人だ。

 しかしエイエーンの前で嘘をついたことは一度も無かったので嘘をつく時は挙動不審になっていた。もちろんエイエーンもいつもと違う雰囲気の使用人に気付いている。


「怪しい……私に何か隠してるでしょ??」


「え、いえいえ、な、何にもっ、か、隠してなんかいませんですでした……」


 顔をじっと見られ迫ってくるエイエーンにあからさまに語尾がおかしくなってしまっている。それは嘘を隠しているのと、可愛い可愛いエイエーンの顔が迫ってきたダブルパンチで思考が停止してしまったのだった。


「甘い香りと……使用人のおかしな態度……それに部屋から出てはいけない謎の決まり……絶対に怪しい」


 小さく可愛い手に小さく可愛い顎をのせながら同じ場所を何度もあるき推理し始めるエイエーン。

 その後ろでペットのクウチャンも楽しそうにエイエーンについて行きながら遊んでいる。


 そんな時だった



「エイエーン姫……はぁ……はぁ……姫が好きそうな本を持ってきました……」


 フクロウ館長が翼のような手でエイエーンの好きそうな本を大量に持ってきた。持ってきた本の中には『黒龍の育て方』や『ペット特集』など今エイエーンが興味がある本ばかりだった。


「わぁ~ありがとう! クウチャンも一緒に読もう!!」


「クゥ?」


「クゥチャンに芸を覚えさせるのも悪くないな……うへへ」


 甘い香りについての推理を辞め黒龍の本に夢中になるエイエーン。ペットのクウチャンが可愛くて仕方がないのだ。

 そんなエイエーンの様子を見て使用人はエイエーンに聞こえないくらい小声でフクロウ館長に話しかけた。


「た、助かりました……もう少しでバレるところでしたよ……ナイスタイミングでした」


「いやいや、遅くなってしまって申し訳ない。まだバレていないのなら良かったです」


 そのままフクロウ館長は別の本を探しに図書館へと戻っていった。エイエーンが今読んでいる本に飽きてしまった時のために別のジャンルの本を持ってくるつもりだ。




 ★☆★☆★☆★☆




 そんなこんなであっという間に時間はすぎ、エイエーンチョコが4万7714個完成した。全員の協力もあってか夕飯前に終わらせることができた。

 そして、使用人と館長がなんとか粘っていたおかげでチョコ作りのことをエイエーンにバレずに済んだ。


 しかしこれで終わりではない。ここからが本番なのだ。

 この4万7714個のエイエーンチョコをエイエーン本人にバレンタインのプレゼントとして渡して食べてもらうのが目的だ。



 トントンッ


「失礼しまーす」


 扉のノックオンと共にライオン料理長がやってきた。


「エイエーン姫! 本日は特別なディナーを用意しました!こちらへどうぞ!」


 深々とお辞儀をしながら自信満々の表情と意気揚々とした声で言った。


「やっぱり! この甘い匂いの何かを食べれるってことね?? すっごい楽しみ! お腹も空いてきたし……クウチャンもおいで!」


「クゥウウ」


「何かな~? 何かな~? 甘い香りだからクッキーとか? チョコぽい感じもするなぁ~」


 クウチャンを肩に乗せてワクワクしながら食堂まで向かって行った。そのエイエーンの後ろ姿を見て使用人、料理長、館長の3人の功労者達は小さくガッツポーズを取った。



 食堂の前についたエイエーンを待っていたのはキリン頭の使用人だ。使用人は「どうぞ中へ」と言いながら、そのまま扉を開いた。

 いつもと違うおもてなしに胸を躍らせながら食堂に入った。



「え……?? 何これ……?」



 食堂の光景を見たエイエーンの第一声だ。

 食堂の長いテーブルには想像していた豪華な料理は無く茶色い小さな物体が大量に置かれていた。

 その中央には巨大なエイエーンの形をした茶色い像が3体も立っている。おそらく等身大サイズだ。



「この匂い……そしてその色……もしかしてチョコ??」


「その通りじゃ! エイエーンよ!」


 困惑するエイエーンの後ろからモウスーグが声をかけてきた。

 ちなみに中央の等身大サイズのエイエーンチョコは余ったチョコで作ったものだった。


「わしも手伝ったのじゃよ! これは手下達、悪魔のみんなからのバ、バ、なんじゃったけ?」


「バレンタインですよ」


「そうそうそれじゃ! ぜひ全部食べてくれ!」


 バレンタインという聞き慣れない名前をモウスーグは忘れていたがそばにいた兎頭の手下がすぐに訂正していた。

 そして先に席に着いていた母親のトーワが扇子を扇ぎながら口を開く。


「これはママが滅ぼした地球の文化みたいなのよ~好きな人にを贈るそうよ。だからエイエーンちゃん!たっぷり食べてちょーだい!」


 と、間違った知識のままトーワに伝わってしまった。そしてエイエーンチョコを作っていた悪魔達もバレンタインはを贈るものだと思い込みながらエイエーンチョコを作っていた。



「これは実に素晴らしい文化だ。来年からバレンタインという文化を悪魔国家、いや、暗黒界中に取り入れようと思う」


 暗黒界悪魔国家の国王でもあるエイエーンの父親のイツマデーモンが感心しながら言った。すぐに羊の悪魔の側近にメモを取らせバレンタインデーを作る計画を立てるように指示した。


「これって、今日中に食べないといけないとかある……?」


 エイエーンは節分の時の豆と同じようにズラリと置かれたチョコを見て、豆食いの記憶が鮮明に脳裏に浮かんだ。

 年齢分の豆を食べれずに全て吐いてしまった嫌な記憶だ。その記憶とどうしても重なってしまう。


「いいや、今日中じゃなくてもいいが早く食べるようにするんだぞ。毎年1回行事を行うが次は2ヶ月後の2月だ。パパもすぐにバレンタインデーという記念日を暗黒界中に広めようと思っている。なので次からは地球と同じように2月に行事を行う。2月になったらまた年齢分のチョコがもらえるぞ! 良かったなエイエーンよ!」



(つまり、つまり、つまり、毎年年齢分のチョコが増えていき、サボって食べなかった分チョコが永遠と増えてしまうってことだ……部屋がチョコで埋め尽くされてしまう……1年は365日ある。4万7714個のチョコを1年間で食べるとしたら1日約130個も食べなくちゃいけない。しかも1年経つとまた年齢分チョコが追加される……消滅するまでチョコを食べ続けなければならなくなっちゃうってことね……)



 もうこのような状況にはすっかり慣れてしまい自分の年齢と1年間の計算などは暗算でパッと出てくるようになっていた。


(せっかく作ってくれたんだ……まずは食べてみよう! 美味しくて無限に食べれちゃうかもしれない!)


 そんなことを思いながら一番近いチョコを手に取る。エイエーンはチョコを手に取ってから気付いたことがある。


(これ、私じゃん……でっかい私の像があるのは分かってたけど……この小さいのも私の形のチョコなんだ……なんか私が私を食べるみたいで変な気持ちになるけど、食べてみよう!)


「あ~ん」っと、一口で自分の形をしたチョコを可愛い可愛い小さな口の中に入れた。



 うぅぅうぅっぅぅぅううううまぁあああああ!!!!!


(今まで食べたどんなチョコよりも美味しい! なんだこの美味さは!! いくらでも食べ……いや、今までの経験上いくらでも食べれるなんてありえない……どこかでお腹いっぱいになって吐いちゃうかもしれない。でも、めちゃくちゃ美味しいから気にせず食べちゃおー!)


 バクバクと一口サイズのチョコを食べながらネガティブ思考になるエイエーン。しかしそのネガティブ思考を吹っ飛ばすほどエイエーンチョコは美味しかったのだ。


「わしらはデカいエイエーンチョコを食後に食べるとしよう!」



 どうやら他の悪魔達の今夜の食事のデザートは等身大エイエーンチョコらしい。エイエーンにだけ食事が用意されていないのも料理長が気を使ってのことだろう。チョコを食べたら夕飯が食べれなくなる。否、夕飯がチョコなのかもしれない。



「クゥウ」


 美味しそうにチョコを食べるエイエーンの姿を見て肩に乗っている黒龍のクウチャンは鼻を動かしながら鳴いていた。


(そうだ! 別に私一人で食べなくてもいいんだ。クウチャンがいるじゃないか! クウチャンと一緒に食べれば4万7714個なんてあっという間だ! これからも大食いの時はクウチャンに手伝ってもらおう!)


 クウチャンを見ながら悪巧みを考えるエイエーン。


「私がもらったチョコってクウチャンも食べていいの? というか黒龍ってチョコ食べても大丈夫?」


「えぇ、ペットなら問題ないんじゃないかしら?」


 トーワがもらったチョコをペットが食べても大丈夫と答えた。そのトーワの言葉に続いてフクロウ館長も口を開く。


「黒龍は基本なんでも食べて大丈夫ですよ。悪魔族が食べれるならなんでも食べます。好き嫌いもする黒龍もいますが、一度食べさせて見てはいかがでしょうか?」


 館長の言葉を聞き一口サイズのチョコをさらに小さく折ってクウチャンの口元まで持っていった。

 ちょうど折れたところが自分の首だったので縁起が悪いと思いながらも頭の部分を食べさせる。


 ゆっくりと鼻で匂いを嗅いでから一度飼い主のエイエーンの顔を見て安全な食べ物と確認してからパクッと食べた。


「クゥウウウウウ」


 美味しかったのだろうか叫ぶように鳴いた。そして「もっとくれ」と言わんばかりの暴れっぷりを見せる。

 そのクウチャンの姿がう嬉しくなりエイエーンはチョコを気が済むまで食べさせた。



 ★☆★☆★☆★☆



 2時間後



 そこには丸々太った黒龍と同じくお腹を膨らませたエイエーンの姿があった。黒龍のクウチャンは太りすぎてエイエーンの肩に乗れないほどだ。それでも二人は可愛い。可愛すぎる。

 この二人の可愛さに魅了されて気絶する手下達もいた。


「食い過ぎた……こんなに食べたのにまだまだある……」



 エイエーンとクウチャンの二人で約2000個ほどのエイエーンチョコを食べたのだ。だからこんなにもお腹を膨れさせて苦しそうにしている。

 それでもまだ4万個近くチョコは残ってある。



「食べ過ぎも良くないけど……作りすぎも良くないぞ……ゲフッ……」


「ク……ゥウ……ゲフッ」


 残ってしまったチョコレートはエイエーンの部屋にチョコレート専用の冷蔵庫が設置され、そこで冷蔵保存されている。

 毎日エイエーンとクウチャンが食べているが一向に減る気配はなかった。


「もう私の年齢分の食べ物を作るのは辞めてくれ~~~~」


 エイエーンはデヴィル城全体に響くくらい大声で叫んだのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る