第6話 人助けのお礼

 リスタの家近辺を探索することになったわたしとウサトは、町の東側にある3丁目へと向かった。

 町の雰囲気は全体で統一されているようで、3丁目も白と青を基調とした美しい建物が立ち並んでいる。

 そしてこれは町全体に言えることだが、道の両端にはふわふわした雲が溜まって揺らいでいて、道端や花壇に咲き誇る花を一層美しく見せていた。


「さっきの噴水、3丁目の花は黄色だったよね。どこかに黄色い花がまとまって生えてるのかなって思ったけど――」

「うーん、そういう場所は見当たらないね」


 町は活気にあふれていて、家屋のほかにさまざまな店も並んでいる。

 飲食店の窓からは、おいしい匂いとともにお客さんの笑い声が漏れていた。

 そういえばおなかすいたな。


 ――なんて考えていたそのとき。


「わっ――」

 ドサドサドサッ!

 ゴロゴロゴロゴロ……


 音と声がした方を振り返ると、紙袋を抱えた女性が盛大に中身をぶちまけ、おろおろしていた。

 驚いて勢いよく振り返ったことで、その女性と目が合う。


「あのっ! すみません、今腰を痛めていて……拾うのを手伝っていただけませんか? 急いでるんです」

「え、ええと……」


 わたしはウサトに「これくらいならいいよね?」と目で合図を送る。

 ウサトは少し迷っていたが、無視するのも目立つと思ったのかOKしてくれた。

 転がっていた食材を袋に詰めて女性に渡すと、ほっとした様子でお辞儀をする。


「ありがとう。よかったら、お礼にご馳走させてちょうだい。私、すぐそこを曲がったところで『海空うみぞらレストラン』って飲食店をしていて……」

「飲食店!?」

「ええ。今日は平日だし、そろそろ人も――ああごめんなさい、私行かなきゃ。いつでも待ってるわね。住所は【3丁目12番地の4】よ。本当にありがとう!」


 女性は急いでいるのを思い出したのか、一礼し、慌てた様子で去っていった。


「――ねえ聞いた? ご馳走してくれるって!」

「もう、ありすは呑気だなあ。ボクたち、カギを探してる最中なんだよ!?」

「でもわたし、おなかすいちゃった」

「うーん、じゃあ今回だけだよ? 食べたらすぐに店を出るって約束してくれる?」

「もちろんっ! それにほら、ヒントがあるかもしれないよ?」


 女性が指さした方向へ歩き、角を曲がると。

 そこにはこじんまりとした可愛らしい飲食店があった。

 店の前にはメニュー表が置いてある。


「3丁目12番地の4……ここだ! 洋食屋さんかな。オススメはオムライスだって」

「オムライスいいね、ボク大好き!」

「ふふ、わたしも!」

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