第7回 頭に「き」のつく映画といえば?

 外見的特徴や行動のクセなどで、常連のお客さんにこっそりとヘンなあだ名を付けるのは、コンビニのバイトあるあるですが(バイト経験者)、外見的特徴などから由来するものではなく、本名が変化したニックネームって、面倒くさいのがありませんか?


 ワタナベさんだったら「ナベちゃん」とか、シゲムラさんなら「シゲさん」、サカモトさんなら「さかもっちゃん」→「もっちゃん」とかなら良いんですけど、問題は英語圏の話。


 エリザベスという女の子のニックネームが「エリー」や「ベス」ならともかく、「リズ」とか。ああ、エリザベスの「リザ」の部分が変化したのかな、とか納得できないわけじゃないですけど。

 ジョアンナという女の子のニックネームが「ジョー」とか。ジョーって男じゃないのかよ。

 日本には「あしたのジョー」がありますからね。登場人物でジョーっていうと、眼帯に出っ歯のオヤジにボクシングでしごかれた挙げ句、最後は真っ白に燃え尽きそうな、そんな不良少年のイメージが……まあ、勝手な偏見なんですけど。


 キャサリンという女性が「キャット」と呼ばれるのも、なんだかなあ……と思うんですよね。自分で「キャットって呼んで」っていうならともかく。


 そんな流れで、頭に「き」がつく映画、今回紹介するのは「キャット・バルー」です。


 1965年のアメリカ映画。監督はエリオット・シルバースタイン、出演はジェーン・フォンダ、リー・マーヴィン、マイケル・カラン、ナット・キング・コールほか。


 あらすじはこちら。


 舞台はアメリカ、1894年のワイオミング州。

 教師の資格を取ったキャサリンは、久しぶりに故郷の街、ウルフ・シティーに帰ってきました。


 実家の牧場へ戻ってみると、キャサリンの父で牧場主のフランキーと、町の顔役・パーシバルが土地の権利を巡り対立していました。


 二人の口論はこじれ、一度はパーシバルは引き上げたものの、パーシバルが仕向けた殺し屋・ストローンがフランキーの周りをうろつき始めます。


 不安に思ったキャサリンは、父の付き人だったジャクソンや、故郷に帰ってくる途中の汽車で知り合ったクレイ、ジェドたちに助けを求めますが、誰も実際に銃を撃ったことがなく、心細さもあって、さらに殺し屋キッドを雇います。ですが、キッドはべろんべろんに酔ってばかりで当てになりません。


 そんな中、殺し屋ストローンの放った銃弾にフランキーは倒れ、キャサリンの目の前で絶命してしまいます。


 父を殺されたキャサリンは、保安官に訴えますが、保安官もパーシバルと繋がっていて、相手にしてくれません。どうにもこうにも八方塞がり。

 なんとしても復讐を果たしたいキャサリンは、クレイ、ジェド、ジャクソン、キッドを焚きつけ、計画を練って、荒くれどもを率いた無法者集団の女親分「キャット・バルー」となったのです!


 親を殺された仇を討つ復讐劇とはいえ、暗く陰湿なトーンは一切なく、コミカルな西部劇です。


 キャサリンを演じるジェーン・フォンダは、くるくる変わる表情がキュートで、ボス相手にはセクシーな色仕掛けもしたり、こんな女ガンマンだったら一緒に仇討ちしたくなります。

 

 劇中の合間には軽快な歌に乗せて、キャラクターや粗筋を歌詞で紹介してくれる、ミュージカルテイストも入っています。

 覚えやすいメロディで、作品を見終えたあとは「♪キャットバルー~キャットバルゥ~ウ~ウ~」と思わず口ずさむことでしょう。


 冒頭の歌で「キャット・バルーは男を殺したから絞首刑」と歌われ、画面には絞首台の準備が進んでいますが、果たしてどうなることか!?

 ……なーんて言っても、この映画の底抜けに明るい雰囲気から、多分ラストは用意に想像できますよね?


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