パブロが絵理の頬に触れた時…

ガチャ

「ただいまー。パブロ栄養ドリンク買ってきたぞー……」

勢い良く部屋に入ってきた博之…。

「……」

「……」

「……」

3人の沈黙が重なる。

「ぅえーー?!?!何?何々?!」

博之が見たのは、パブロが絵理の頬に触れた時だった。

「ちょっと!それは!え!?」

博之が騒いでいると、和美が後ろから顔を出した。

「お兄ちゃん、うるさいなぁ。なに?」

「か、和美!おかえり!あの…!」

和美は絵理とパブロの顔を見て一瞬で悟った。

「もう、お兄ちゃんうるさいよぉ。パブロ君ならいいじゃん。」

「え?何が?!」

「何がって。2人が付き合ってもいいんじゃない?って…」

「…え…?」

「…うそー!気づいてなかったのぉ?」

「え?!」

って言ったのは、絵理とパブロだった。


そこに孝司もひょっこり顔を出した。博之おの声に、さすがにびっくりしたらしい。



「あの…」

リビングのテーブルを、5人で囲んで座る。

緊張しながら、パブロが喋り出した。

「えっと…」

絵理以外の3人の視線が突き刺さる。

「…和美さんの…」

「え?!私!?」

誰もが、絵理とパブロの話をすると思っていたから、和美はびっくりした。

「あー、さっきさ。俺と絵理のこと、気づいてなかったの?って…。」

「あー…、だって見てれば…」

「いやいや、だって!告白したの今日なんだけど…」

「あ、そうなの?」

お姉ちゃんはキョトンとしてる。

「だからすごい気になっちゃって…」

「アハハッ」

絵理もパブロもキョトンとしてる。

「2人ともわかりやすいんだもん。お互い好きなんだなぁとはずっと思ってたよ。あまりにも可愛かったから黙ってたけど。」

パブロも絵理も恥ずかしくて下を向いた。

「お兄ちゃんも知ってるもんだと思ってた。孝司だって気づいてるのにねぇ」

「えぇ!?」

絵理とパブロと博之が一斉に言った。

「うん。知らないふりしてたけどね。今日だってさ、俺、地味に頑張ってたんだから。春乃のお兄ちゃんいたら、絵理とパブロ兄ちゃん喧嘩になると思って、早く帰るようにしたりさ…」


「そうなんだ…、恥ずかしすぎる…」

パブロは顔を真っ赤にして顔をそむけた。

「で、でも!」

博之が割って入る。

「同じ家に暮らしてて、これはいいのか?和美」

博之は自分じゃ分からなくて和美に聞いた。

「んー、そうだね。私はずっと一緒に暮らしてもいいと思うけど…」


パブロと絵理の顔が曇った。

「あのっ!」

皆がパブロを見た。

「俺、皆に言ってなかったんだけど…」

「ん?」

「実は…、一週間後魔法界に帰る事になってて…」

申し訳無さそうに下を向いた。

「えー?!そうなのー?!」

「何で言わなかったのー?!」

和美と博之は驚きすぎて、立ち上がった。

「ごめん…」

「…」


「パブロお兄ちゃん、一緒に住めなくなるの…?」

「…うん…」

パブロがそう答えると、

「嫌だよぉ…」

孝司は、声を出して泣いた。


「絵理…、絵理は大丈夫…?」

和美が聞いた。

「うん…。私待ってる事にした」

「え?すぐ戻れるの?」

和美の声は少し明るくなった。

「ううん、2年かかるって…」

「…」

パブロは無言だった。


「俺等も待ってていい?」

博之が言った。

「え…」

「あー…、嫌じゃなきゃ、だけど」

「全然嫌じゃない!嬉しいけど…」

「じゃ、帰っておいでよ」

「でも…」

「待ってるから」

「…うん…」

パブロはこらえ切れず、涙が出た。



皆が気を使ってにパブロと絵理を2人きりにしてくれた。


「絵理好きだよ」

「うん、私も。好き。恥ずかしいね…」

「いっぱい言っておく」

パブロは絵理を抱き寄せた。

「告白、して良かった…」

「うん」 

2人は抱きしめあった。

「さっきできなかったから…」

絵理の唇に手を触れたあと、キスをした。

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