あいつが好きなの?

「テスト終わったねー」

絵理は親友の愛花と帰宅途中だ。

「テスト終ったし、これからどっか寄りたいねー」


「絵理ー」

振り返るとパブロがいた。

「絵理、学校、終わったんだ」

「うん。パブロは?何してるの?」

「俺、今、バイト終わって」

「へー。お疲れー」

パブロは博之に仕事を紹介してもらって、アルバイトをしている。

「ね、テストって終わった?」

「うん」


絵理は愛花が黙ってポカンとしているのに気がついた。

「あ、この人、同居してる人」

「名前を言えよ…。どうもパブロです」

パブロは、にっこりした。

「あぁ!こんにちは。絵理から話は聞いてます」

「俺も聞いてるよ、愛花ちゃん」

2人で、和やかに笑った。

絵理は、パブロの態度があまりにも自分と違うので少しムッとした。


「ね、テスト終わったんでしょ?これからさこの辺案内してよ」

パブロは絵理に言った。

「えー、これから愛花とどっか行こうって言ってたのに…」

「えー」

パブロは不服そうな声を出した。


「あ、絵理行っていいよ、また今度遊ぼう」

「えぇっ?」

「じゃ、また明日ね」

「えー?」

「じゃ」

パブロにも挨拶すると、愛花は一人で帰って行った。


「……」

絵理はすねて黙っていた。

「絵理…ごめんね」

「…え」

「…何?」

「謝ったりするんだ…」

絵理があまりにも意外そうな顔をしたので、パブロはムッとして、頭をパシッと叩いた。

「痛ったーい」

「ごめんね」

「…謝ればいいって問題じゃない」



絵理はこの辺の道やら、店やらパブロに案内した一番最後に、絵理お気に入りのラーメン屋に行った。

「ここ、美味しいラーメン屋さん」

絵理がパブロに紹介した。

「へー、食べて帰ろう。奢る」

「やった、お姉ちゃんに連絡しなきゃ…」

パブロは、和美に連絡している絵理を待っていた。

「…じゃ、食べてから帰るね…」

電話が終わったので、パブロと一緒に店に入ろうとした。


「あれ?絵理じゃん」

ラーメン屋から、男子が、出て来た。

「圭太。食べに来てたんだ」

絵理は笑顔になる。

「うん」

「味噌?」

「今日は白醤油」

「へー食べた事ない」

「美味しかったよ」

「じゃ、今日それにしようかな」

2人で楽しく話してしていた時、圭太はパブロに気がついた。

「あれ、彼氏?」

「違う違う!今、訳あってうちで同居してるの」

「どうも」

パブロは挨拶をした。

「あ、どうも。絵理の幼馴染の広瀬圭太です」

「パブロ・グリーンです」

「…どこ出身…?」

「ん?すごい小さいとこ」

「へー。あ、白醤油オススメですよ」

圭太はニッコリ笑った。

「じゃね」

「うん、バイバイ」

絵理は手を振って別れた。


「じゃ、入ろっか」

「うん…」

「どうしたの?」

「別に。お腹すいたー」

「ね」



「美味しかったぁ」

「良かった」

2人で並んで歩く。

「魔法界にラーメンはあるの?」

「あるよー。こっちと全然変わらない」

「そうなんだ」

「でも、さっきのラーメンは美味かったな」「ね。さっき会った圭太が教えてくれて」

「そうなんだ」


「ねぇ、絵理はさ」

「ん?」

「圭太ってやつの事、好きなの?」

パブロは、横目で絵理を見ながら言った。

「え?!。…。あ…そう…かもね」

「…へぇ。…そうなんだ」

あまりにもすんなり認めたから、パブロはびっくりした。

「…たぶんね」

「なにそれ」

パブロは少し笑った。

「圭太ね、愛花が好きなの」

「え?!」

パブロは驚いて絵理を見た。

「ハハッ。驚きすぎ」

「…切ないね…」

「そうだね。でも、2人とも好きだし。うまくいけばいいなって思ってる」

「…いいの?」

「うん…」

「そっか」

「誰にも言わないでよ」

「言う人いないし」

「孝司とか」

「…あ…」

「ちょっと中途半端な返事しないでよ…」

絵理の顔が引きつった。

「ハハッ。言わないよ」

「ホントー?」

「…うん…」

「だからぁ!」

パブロの肩を強めに叩いた。

パブロは笑いながら逃げた。

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