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《管理センター 情報管理室》
私が今いる部屋の正面には、巨大なディスプレイがあり、無数の電子コンピューターが各職員の人数分配置されていて、多数の職員が目の前のモニターを監視している。
この場所は都市中心部の建物地下にあり、この都市のセキュリティをはじめ、様々な情報について管理している場所である。
モニターを監視していた職員が、私に報告をしてくる。
「神谷所長、先ほど都市内を巡回していた警備隊からの報告です。どうやら都市エリア外から街に入ってきた者がいるそうですが、その者の記録を所長に転送いたしますか?」
「……必要ない、今朝警備隊長の岩山から報告を受けている。引き続き警戒にあたってくれ」
「かしこまりました」
「イベントの開催まであと5日……さて、どうしたものか」
私は目の前に映る地図を確認したあと、画面を消して席を立つ。
「私は打ち合わせに行ってくるから、あとは任せる。何かあれば連絡してくれ」
「かしこまりました」
職員一同にそう伝えると、情報管理室の入口横に立っていたアンドロイドに声をかける。
「マークⅡ、行くぞ」
「承知しました」
2人で情報管理室を出ると、エレベーターに向かって歩きはじめ、エントランスを目指す。
「神谷様、外出時の車両を1階ターミナルに用意しておりますが、他に同行させる方はいかがなさいますか?」
「……私とマークⅡの2人でいく、君が居れば問題ない」
「承知しました」
この子の名前はマークⅡ、正式な個体名は【護衛特化型アンドロイド 型式Mark-Ⅱ】である。
人工知能を搭載したロボットの中でも数少ない上位モデルで、感情表現機能を搭載した人型のアンドロイドである。この子には基本的に、私の付き人として行動してもらっている。
「例の女職人への対応はどうなっている?」
「はい、ティアナが対応する手筈になってます」
「そうか、予定通りよろしく頼む」
エレベーターから降りると、エントランスの裏側を通ってターミナルへと向かう。
マークⅡが準備してある箱型の車両へと向かい乗りこむ。私が助手席に座ると、運転席にはマークⅡが座り、エンジンを始動させる。
「音声認識システム起動、登録固体名Mark-Ⅱ」
〈ピピッ登録ライセンスヲ確認。エンジンヲ始動サセマス〉
「オートドライブ起動、目的地はーー」
〈ピピッ目的地ヲ検索完了、コレヨリ自動走行ヘト移リマス〉
マークⅡが音声で指示を出すと、車両はゆっくりと浮き上がり、目的地へと走り始めた。地上にある街の建物が小さくなったところで、私はポケットから端末をとりあえず。
〈ブンッー〉と音が鳴り、資料をホログラムで出すと、私はそれに目を通す。
【
機関名【パピラス】中国支部に所属する歌姫であり、委託契約先は岡山中央都市。
2年前に歌姫としてデビューし、上級国民のライセンスを取得する。
一般国民からの人気は高く、昨年開かれた[中国地区エリアーアイドルコンテスト大会]で2位となる。歌姫となる以前、桜家の娘として生まれた彼女はーー
〈ーピ〉私は資料の途中まで読むと、ホログラムを消し、ため息をつく。その様子を見たマークⅡが声をかけてくる。
「神谷様、表情が少し暗いようですが、どうかなさいましたか?」
「……どうしてかな、まあ必要な情報は理解しているし、何も心配ない」
「そうですか、もし必要がありましたら、なんでも御申し付けください」
「ああ、ありがとう」
私はそう答えたあと、端末を手に持ったまま、外の景色に目を向けた。
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