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荒れた道路の凹凸により、ピコピコ車両が跳ねるものの、わたしは気にせず走らせる。40分程走ると、荒れていた景色がだんだんと整っていくのがよく分かる。
「あ、見えてきた」
道路の少し先には、高さ15メートル程のフェンスで囲われた街が見えてくる。このフェンスは、セキュリティ設備の一種であり、触れると電流が流れる。そのため街に入るためには、各所に設けられたゲートを通るようになっているのだ。
〈ブロロロォン……プシュ──〉
街の出入口になっている、ゲートのすぐ横にある駐車スペースにトラックを停車させると、運転席から降りた。
ゲートの横に設置してある、ディスプレイへ向かって歩いていく。ある程度近づくと、頭に捻りハチマキをしたスキンヘッドの男性が映る。男性は図太い声であたしに話しかけてきた。
「おぅ!あのトラック見て思ったが、やっぱり錬ちゃんだったなぁ!」
「岩さん久しぶり〜、相変わらず元気そうね」
「ガッハッハッ、んな事はあたり前だろぉ?今日はどういった用事だぁ?」
「それはもちろん仕事よ〜」
「ガッハッハッ、仕事たぁ珍しいじゃねぇか!」
図太い声にいかつい見た目、画面から飛び出てきそうなくらい大きな声である。この人の名前は【
「それじゃあ街に入りたいから、通行許可よろしく〜」
「おうよわかった!じゃあ端末ごと画面にタッチしてくれおぅ!」
「は〜い」
あたしは左腕にしてある時計を画面前にかざす。
〈ピピっ、ライセンスヲ確認。ツウコウヲ許可シマス〉
機械音声が喋り終わると、ゲート部のフェンスが一部消え、通行できるようになる。
「おう錬ちゃん!なんかぁ最近管理センターのお偉いさんがピリピリしてっからよぉ、きーつけていってこいよぉなぁ!」
「ゲッ!マジか!」
「マジだよマジ!!理由はわかんねぇけどなぁ、おうマジだぜ!!」
「そっか〜、岩さんありがとう!気をつけていくね〜」
岩山さんにバイバイしたあと、フェンスが消えた部分を通って街へと入る。敷地内に入ると、左手の時計から〈ピー〉と音が鳴り、通信エラーの文字が消える。
あたしは都市の中心部にある管理センターを目指して歩きはじめた。
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