第25話

かぶと虫


おはよう


愛犬の散歩を済ませて夫が何やら支度をしている。


妻……?、



夫は肩にリュックを掛けて、無言で家を出て行った。


そんな日もあるかと特に気にもならなかった。


ご機嫌な愛犬とすり寄る愛猫のご飯を済ませ、仕事の支度をして


いざ、出勤!


1日の始まり……。



何事もなくいつも通り仕事を終えて、帰宅。


いつもの定位置に夫

いつものハイボール


夫 お帰り、今日のご飯何?


妻 ....…


本当に鬱陶しい、疲れているのにご飯の話。


朝、夫が出かけた事などすっかり忘れていた


次の朝もまた早朝に愛犬の散歩を済ませた夫は

リュックを肩にかけ無言で出かけた


なんか怪しい……


様子を見ておこう。とその程度でそこまで気にはならなかった。


だか次の日も、また次の日もリュックを肩にかけ、無言で出て行く夫。


やはり、なにか怪しい.....


夫が出かけたのを確認して夫の寝室に忍び込む。


部屋を何となく見渡しても変わった様子はない。


ふと部屋の隅に目が行く。

やけに綺麗に畳まれて積み重なった久々に見る作業着。しかも着た形跡がある。


何だこれは。一体何をしてるんだろう?


今日帰ったら、あとで絶対に聞こう。


帰宅後、やはり既に夫は定位置のソファーでお酒を呑んでいる。


妻 ねーこの服何?毎日毎日朝出かけて

  一体、何してるの?


夫 あー、友達の仕事が人手不足で

  応援に来てと頼まれたんだ。


妻 へー、言ってくれたら良かったのに。

  洗濯も溜まってるし、急にどんな仕事?


夫 建築関係


元々夫は手先が器用で愛猫のキャットウォークや

玄関に脱走防止の格子扉を自ら材料屋さんに行って揃えて全て手作りしてくれた。


とても見事な出来栄えだった!


夫 家計の足しになると思って.....


妻 ありがとう、怪我せず頑張ってね。


夫 ああ……



含みある返事。夫は何となく何か言いたげだったが、それほど気にもならなかった。


まぁこれなら老後も安心ね。


本当にありがとう、感謝しなくちゃね。


そう思っていた。


夫の企みなど全く知りもせず.......













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