REBEL-レブル-

夜野やかん

第0話 プロローグ

「死」と言うものをぼんやりと考えることが時々ある。自分はどのように死ぬのか。死ぬとどうなるのか。俺の友達や家族は悲しんでくれるのか。

そういうことを考えるたびに、俺は小学生のように目をギュッと瞑って別のことを考える。

―――普段は、だけど。

俺、安楽木やすらぎイブキは15年の短い生涯を今まさに閉じようとしていた。

助っ人外国人選手のような体格の化け物が俺の頭に手を伸ばす。皮肉なことにその動きがスローモーションに見え、俺に今までの人生を懺悔する時間を与える。

目の前の化け物はひどく擦りむいた傷口のように全身の肉を剥き出しにし、ところどころにある黒ずんだ部分やや緑色の腐敗した部分を隠そうともせずに曝け出していた。


―――死ぬなら老衰が良かったな。家族に囲まれて笑って穏やかに逝くんだ。


俺がこんなキモい化け物に殺されて死ぬのは。強くそう感じる。

目の前15cmほどに気持ち悪い手が迫って、遠くから彼女の悲鳴が聞こえた。ああ、もうだめだ。だめなんだ。短い人生だったな。

クソ。ちくしょう。

やり残したことはたくさんあるのに。

ついに化け物の拳が頭に触れ、視界が暗転する。

...ちくしょう。

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