ハリボテ

ハリボテみたいな不幸に感わされて私たちは今日も歩む

レディメイドの肝臓に注ぎ込んだアルコールは自我と共に浄化されていく

人間くさい歌に酔いしれてあなた達は今日も走る

オーダーメイドに見せ掛けた時計の針が

刻み込むようにその音をたてる

あなた達がどう生きようと

わたしがどう生きようと

それは自由の蜃気楼で

実際のところは不自由で煙たい存在であった

重厚感に満ちたその声の主は貴方でも私でも神でもなかった

それは冒涜だ

何もわからない

無知であることをおそれて何も知り得なくなった私が

得るものなどたかがしれていようが

薄っぺらな情動に動かされた愛情が

今私を押しのけようとしている

そんなもの、殴ってしまえばいいのに

抱きしめる愚か者はどちらなのか

わたしである

わたしであった

私でしかなかったのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る