第22話 その勇者、やらかす
「人として生まれたからには、太平洋のように、でっかい夢を持つべきだ!」
目の前に広がるでっかい九十九里浜の海に向かって、俺は胸を張り堂々と叫んだ。
「誰?それ」
ちんまい背丈に胸だけはでっかい夢を詰め込んだフタバが突っ込む。
「坂本 龍馬」
「元祖シスコン」
まてまて〜、フタバさん。多方面からの非難がね・・・
そんな事してると、細くしなやかな腕が、俺の腕に絡みついてきた。
「我が背の君。『わたつみの
日本号から何故か人化出来るようになった霧姫様が、その美しい瞳をうるませながら、そっと歌をよんだ。
「ユキトには伝わらない」
「霧姫様。旦那様にはハッキリ簡潔に言わないと伝わりませんわ。こんばん渚で月見デートしましょうと。」
霧姫様のお世話役としてサクラ先輩も一緒にいる。
「おーい、天霧くーん!ハーレムメンバー連れて、こっち来て!合宿所に入るよー!」
・
・
・
「さてと、今回も
「ちょっと待てい!あれは会長があんな性格の悪い結界に俺を閉じ込めたから、脱出するために仕方なくだな・・・」
「僕は
ジャージになってもオールバックの髪を櫛で撫で付けている。会長、ブレないな!
「2人のおかげで、御三家のご当主様達がカンカンに怒ってたけどね。」
シランガナ・・・
絶対に面白がっているよこの
「そこで、交流戦が延期になったので、この九十九里浜で合宿を行います!」
高らかに宣言する、
「先生!また代表戦に関係の無い部外者がいるのだが、何故だ?」
また
「
「ちっ!また天霧かよ!節操のないヤツめ!」
「違う。よい男にはよい女が集まる。これ自然の摂理」
良いことを言ったと言わんげに満足そうに胸を張るフタバ。素晴らしい胸部装甲が・・・以下略。
「はーい!そんな訳で、今日の午後はこの九十九里浜海岸を走って貰います!徹底的に!闘武場を壊した罰ですね!」
「「それって俺達には関係ない!」」
「おやあ、もっと身体能力鍛えないと、天霧君にはずっと勝てないよ、君たち。」
「「クソっ!」」
「それじゃ、だいたい10キロ毎に先回りした八千草君と霧姫様がドリンク渡すから、各自適度に水分補給してね!じゃあ、日没まで頑張って走って!」
そう言い終わると、皇先生は女性の海水浴客をナンパしに行ってしまった・・・マジか!
◇◇◇
シーズンが始まったばかりの海水浴場に、場違いな黒服姿の男女が3人。靴に砂が入るのを気にしながら波打ち際まで近づいていく。
「現場はここですか?」
「はい、この辺りを中心に幅5キロ圏内で発生しています。
「被害者の特徴は?」
「10代後半から20代なかばまでの女性で、時間帯は日中から夜間までまちまちですが、特徴は同伴者に気付かれずに失踪している事です。」
「失踪した女性8人に共通点はありません。職業も住所も一致する所はありませんでした。」
「分かりました。ちょっと探ってみましょう。」
「妖魔の気配を探って。」
召喚されたハツカネズミの式神は、阿蘇の手の上でクンクン海の匂いを嗅ぎだしたが、すぐに怯えて阿蘇の懐の中に逃げ込んだ。
「不味いわね。相当強力な神霊がかかわっているようだわ・・・」
黒服の阿蘇達公安対魔室のメンバーを、海辺から離れて密かに監視する人影があった。
◇◇◇
「なあ、九十九里浜って何キロあるんだ?」
「確か70キロはなかったと思うよ。なぜ?」
「飽きたから」
くっ、なぜフタバには俺の心が読めるんだ!これがニュ〇タイプの実力だと言うのか!
「若い男女が、キャッキャウフフと楽しんでるのを横目に、こんなに汗だくになりながら走らなければならないとは!理不尽だ!」
「お前が言うな!天霧!」
「それになぜ会長と
「それは、ほら。お目付け役がいないと、天霧君、君走るのサボらない?」
「そうだ!天霧なら、やりかねん!」
「いや、だったら
「若い二人に気を配れる。さすが会長。それに引替え、旦那様・・・ヨヨヨ」
「ほら、
「あのぉ、何かの部活ですか?」
「よかったら、休憩して私たちとお話ししませんか?」
ビキニなお姉さんたちが声を掛けてきた。逆ナンか!逆ナンなのか!!
「会長と
フタバが俺の腕を掴んで引っ張っていく。
「えーっ!いっちゃうのぉー!」
「でも、こっちの子もかっこいいかも!」
くっ!フタバめ!この恨み・・・
「やあ!天霧君じゃないか。奇遇ですね。」
真っ白なビキニを着た
うっ!思わず前かがみになってしまう。
「あれ、阿蘇さん。先日ぶりです。お休みですか?」
「いや、これでも仕事中でね。いつもの制服だと目立つことに気付いて、こんな格好に着替えた次第さ。」
「いや、似合いすぎて、別の意味で目立ってますけど・・・」
「んっ!」
いって!フタバの肘鉄が・・・
「ふふふ、君がタケシさんの娘さんのフタバさんね。初めまして。
「初めまして。父がお世話になってます。」
「それで、休暇中でも無い阿蘇さんが、こんな所で何やってるんですか?」
好奇心は猫をも殺すの意味を実感するとは思いもしなかったよ。
・
・
・
天の河が流れる満天の星を眺めながら、右手に霧姫。左手にフタバの手を握りながら、俺は九十九里浜の渚を歩いている。後ろには3歩控えてサクラ先輩が着いて来ている・・・
それだけだったらよかったのだが、阿蘇さんと皇先生に他の代表メンバーまでゾロゾロ着いて来るとはな!
ジャマすんなよな!
日中、阿蘇さんからこの九十九里浜で起きている女性の連続失踪事件の話を聞いた。そして神霊が関わっている可能性もあることを。
そうなると伏魔師として放っておけないと、みんなゾロゾロ付いてきた。
「どうやらこの辺りから気配がするね。まだ夜も早い時間だし、人よけの結界を張っておこう。」
珍しく皇先生が役にたっている。昼に学生を放りだしてナンパしてた事を、阿蘇さんからこっぴどく怒られてたからな。ざまぁww
「背の君。とても嫌な気配が・・・」
突然霧姫が頭を抑えて、耐えきれなくなったのか霊槍日本号に戻ってしまった。
「マサモリ。探れるか?」
「やってみます。御曹子。四つ喰らいて
準決勝で俺を
「「いた!」」
すると4〜500メートル沖で大きな水柱がたった。
「ヤバいのが来るぞ!」
うなじがピリピリする!
さすが選抜メンバー。みな気を引き締めて構えている。
「来るぞ!」
『
玄武がみんなの前面にバリアを張った!
ガァァァ――!
水柱からビームのような火線が9本も飛んで着た!
『
玄武のバリアの前に、俺たち全員を守る幅広のシールドを展開した!
ドガッガガガッドガッ!
メガ・ビーム砲がシールドに命中した!
「なんと、
「いいえ、あれは堕天して暗黒龍となっています!みな、気をつけて!」
「神が
地元の神社で見た、あの
「みんな!それぞれ援護してくれ!」
『
俺は日本号を手に九頭龍に向かって飛んだ。
ドババババババン!
グギャ―――!
ジュッ!
キギャャァァアア!
フタバのゲート・オブ・バビロンが命中し、九頭龍が頭を持ち上げると、マイクロブラックホールが2本の龍の首を飲み込んだ!
誰の技だよ!物騒すぎる!
「ダメだ、首が再生して行くぞ!」
『アルティメット・マジック【ミラー】』
久世が魔法を使って九頭龍のメガ・ビーム砲をぶっぱなした!術をコピー出来るのか?久世!
「首が吹き飛びましたが、やはり再生しますね」
「くそ!やつのビームで焼けば、首の再生を防げるとおもったが、だめか!」
「俺がヤル!究極の術で焼くから、みんなは固まって防御しててくれ!」
『神級魔法【プロミネンス バースト】』
一瞬でプロミネンスの帯が九頭龍を巻き取り、地球上に太陽の火球を生み出した!刹那!海水が蒸気爆発を起こして、巨大なキノコ雲を生み出した!
『背の君!九頭龍の神核宝珠があれに!』
水蒸気のキノコ雲の根元に隠れている宝珠が見えた!
『日本号!』
俺は渾身の力で日本号を投擲した!
音速を超えた日本号はソニックブームを発生しながら、九頭龍の神核宝珠を両断し、消滅させた。
・
・
・
プロミネンス バーストの影響で発生した津波は、九十九里浜全域の海の家を破壊する程度で被害は収まった・・・はず。
俺を援護してくれた仲間は、
◇◇◇
ユキトが放ったプロミネンス バーストの爆発は、突如発生したその膨大なエネルギー故、米国とC国の低軌道軍事偵察衛星に捉えられ、その情報は瞬時に当直の分析官に送られた。
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