第9話

やはりスライムはそこまで遠くまでは行っておらず森の中の少し開けた広場のようなところでうずくまっていた。


スライムは俺のことにはまだ気がついていない様子だった。

それは俺にとっては好都合でできる限り素早くスライムの方へ近づいていった。


スライムは寝てしまったかのように俺の存在に気付かなかったため俺はそのままスライムに問いかけた。


「どうしたの?急にどこかに行くからビックリしたよ~。」


(………………)


スライムは俺が話しかけてきたことにびっくりしたのだろう、体を一瞬ビクッと震わせた。


(びっくりしたー。ご主人様かー。僕ちょっと今一人で居たいから少し放っておいてくれない?)


そういや名前を教えてなかったからご主人様って呼び始めたのか~、なんて思っていたが、それよりもスライムが一人にしてほしいようなことがあったことに驚きだ。


こういう時に心が読めたらな~って思う。

パッとスライムを見ると何かがあったことは容易に想像できる、けれど……。


ジーっとスライムを見つめてみる。

すると突然スライムの前にステータス情報が出てきた。


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種族:スライム

状態:不安(詳しく診ますか?)


ほかの情報はLv.が上がるごとに解放されます。


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よくわからないがスライムのステータスの一部が見えている、らしい。

スライムの状態は不安?これは詳しく見ることができるのか。でも表記は診る、なのか。混乱しそうになる思考を抑えて俺はスライムの「不安」について診ることにした。


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不 安:自らの存在の否定。

(同族を殺してしまった自分への嫌悪、そしてご主人様に嫌われてしまうのではないかという不安)


解決策:相手の気持ちに寄り添う。

※Lv.が上がるごとに詳しい解決策が表示される


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なるほど、これは【カウンセラー】の派生スキルなのだろう。

それだったら診るという表示も納得できる。


俺の最初の患者はスライムになるようだ。そして、解決策が全く役に立たないことに俺が不安を感じている。


スライムは俺の大事な仲間だ。

この件が終わったら名前も付けてあげようと思うし、俺のことももっと知ってもらいたい。


俺は気の利いた声のかけ方なんてわからない。けれど俺の気持ちが伝わってもらえることを祈る。


「お前がほかのスライムを食べる原因になったのは俺だ。俺はお前が助けてくれなかったら死んでいたんだ。だから俺にも原因があるんだ。だからさ、ほかのスライムに許してもらえなくてもその罪を一緒に背負って生きていこうよ。」

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