第2話 友達

 N……ただのナレーション

 朧月 御影おぼろづき みかげ……ハイテンションな元厨二病。基本うるさい

 ???……ウケるとかワロタとか草を連発するけど、表情筋は動かない。めちゃくちゃ淡々と喋る

 三治 期輝さんじ ときひか……ウケるとかワロタとか草を連発するけど、表情筋は動かない。めちゃくちゃ淡々と喋る


——————————————————

 

 N

朧月 御影おぼろづき みかげ

 19歳だったはずの彼は、7歳の頃に戻っていた」

 

 

 御影

「原因不明の何か怪奇現象的なアレで死んだっぽいのが原因か……?」

 

 

 N

「鏡をぺたぺたと触ってみたり、自分自身を抓ってみたりしながら原因を脳内で探る御影。

 見た目は当時の理想の姿をそのまま7歳にしたような物に変化しているが、周囲の建物やカレンダー、自分の名前に変化が無いことから、7歳にと思う事にしている。

 

 いくら考えても答えは出ないので、次の問題を考え始めた」

 

 

 御影

「うーん。多分ただの死に戻りじゃなくて、パラレルワープなんだよなぁ。

 俺のオリキャラだったはずの花帝守 殺生はなみかどのもり せつなとか、普通に横の家に居るもんなぁ……」

 

 

 N

花帝守 殺生はなみかどのもり せつな。御影が影武者をやっているお嬢様という設定の女だ。

 

 思い出すだけで死にたくなるような黒歴史だし、名前もどうかと思っているが、殺生せつな御影みかげにとってお気に入りのオリキャラである事は間違いない。

 リアルに最強のが居るのは、悪い気がしなかった」

 

 

 御影

「能力者も当たり前だし、敵として設定してた怪異ファントムも存在してるし。

 俺多重人格っぽいし。

 殺生せつなは最強能力の宿った左目のせいでファントムに狙われてるし……」

 

 

 N

「認めるしかないのだろう」

 

 

 御影

「これ、やっぱ俺の厨二病設定ワールドだわ。

 設定が絶妙にガバい所まで含めてマジでそれ。

 能力を宿しててどんなに隠してもファントムを寄せ付けるのにファントムから身を守るために影武者居るのおかしいだろ。

 と言うか俺も同じ能力持っててそれが世界を救う希望になるなら俺も守れよ!」

 

 

 N

「御影は鏡の前で地団駄を踏む」

 

 

 御影

「いや、待てよ……? 設定上、俺が殺生せつなの影武者になるのは8歳の時だ。

 、突然力に目覚めた俺が、自分は強いと思い込んで無謀にも巨大なファントムに1人で挑んだ俺を助けてくれた殺生せつなに惚れて、親に頼み込んで影武者にさせてもらったはず!

 つまり、俺が頼まないと影武者にはなれない!

 同じ能力持ってるはずの殺生せつなに助けられるとかいう無様も、敵に挑まなかったら晒さない!」

 

 

 N

「希望を見出し、その場で飛び跳ねる御影。

 ちなみに、前世ではどこにでも居る普通の男だったが、今世は理想の姿になっている事もあり、かなり厨二チックな見た目である。

 

 例えば目、左目は水色、右目は桃色のオッドアイ。

 そして髪、左目と同じく水色で、うっすらと右目に前髪がかかっている」

 

 

 御影

殺生せつなは目の色が逆なんだよね!

 目が見分けるポイントって! 影武者のくせに見た目に変化付けんなアホ!」

 

 

 N

「ちなみに影武者設定のために身長は167cmまでしか伸びないであろう事が確定しているので、そこは若干の絶望ポイントだ」

 

 

 御影

「いやでも、影武者にならなかったら俺何したらいいの? ただの厨二病設定世界に飛ばされた哀れな男として生きるのか? それはなんか嫌だ! てか多分大学まで友達できなくなる!

 でも嫌って言ったところで今の俺に与えられた選択肢1つしか無い! うわぁぁぁああああん!」

 

 

 N

「人格が分裂するほどでは無いが、精神年齢が若干肉体年齢に引っ張られているようで、御影は1人で悲しくなり、家から飛び出した」

 

 ——————————

 

 

 御影

「うわぁぁぁぁん! うわ! ごめんなさい!」

 

 

 N

「近所の公園に駆け込むと、入口で同い歳くらいの男の子とぶつかった。

 つい反射的に謝罪の言葉が出て、幼児モードから大学生モードに精神が切り替わる」

 

 

 ???

「こっちこそごめん」

 

 

 N

「目の前にいた男の子は、金髪青眼のイケショタだった。

 一丁前に左耳の前に細い三つ編みを作っている。

 

 見た目は全く違っているが、御影はこの出会い方に覚えがあった」

 

 

 御影

「名前聞いていい?」

 

 

 期輝

「おー、三治 期輝さんじ ときひかだよ」

 

 

 御影

「やっぱり! 俺だよ! わかる!? 朧月 御影おぼろづき みかげ!」

 

 

 期輝

「あーやっぱり? 顔見た瞬間うわ、御影が好きそーって思ったわ。ウケる」

 

 

 N

「御影と共に死んだであろう友人、期輝が、前世と変わらず口では笑いながらほぼ無表情に返事をした。

 

 人生2週目。大学生になるまでぼっちかもと思ったのに、友達の方がこっちに来ました」

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