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「えっ、うちのお菓子知ってるんですか?」
「実は大好きで……いつも食べ過ぎてしまうんです」
ウソ……嬉しい。
「本当ですか!」
私は顔をぱっと明るくさせた。
「赤坂は私の実家の和菓子なんです」
「ええ、お嬢様の!?」
「はい!良かったら貰ってください」
「よ、よろしいのですか?執事としてあるまじき行為では……」
「全然です。きっと両親が喜びます」
今日、誰にももらってもらえなかった和菓子。
寂しくて、一生懸命作ってくれたお母さんとお父さんになんて言おうってずっと考えてた。
「では失礼します」
紫苑くんは遠慮がちに一つだけ大福をとった。
「あの……良かったら、これもどうぞ」
新作の和菓子も紫苑くんに差し出すと、彼は目をキラキラさせながら受け取ってくれた。
そして少し恥ずかしそうに顔を赤らめて姿勢を正す。
「ではお嬢様、また午後の授業でお待ちしております」
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