11報酬

「すみません、依頼の薬草持って来ました。あとここで討伐報酬も貰えるって聞いたんですけど。」


 1階のカウンターに薬草の入った袋と冒険者カードを置く。


「確認しました。それでは報酬を持って来ますので少々お待ちください。」


 受付の女性が奥に行く。


「アリア、魔族報酬ってどのくらい貰えるんだろうな。分かる?」

「えー、少なくとも金貨が何十枚とかだと思うけどなぁ。」

「多いのか少ないのかわからん・・・」


 金貨といえばファンタジー世界でよくある金の単位だが、いまいち価値がわからん。日本円だとどのくらいなんだ。その辺の知識をくれ!


「お待たせしました。こちらをどうぞ。」


 受付の人が持って来たのトレイにはアリアが言ったように金貨が乗っていた。


「アリアさんが金貨55枚、アサヒさんが金貨2枚になります。」

「おにーさんの少なくない???」


 そんなに威圧しなくても・・・


「し、しかし、聞いた話ですと戦闘のほとんどがアリアさんがしたようですし、このくらいの金額でいいと上の方から聞いていまして・・・」

「でも!」

「アリア、いいよ。冒険者なりたてで金貨貰えただけでありがたいからな。」

「おにーさんがそう言うならいいけど・・・」


 金額の差はあるが妥当だろう。マスターとアリア以外には俺が魔族を斬ったことや魔法のこと知らないしな。それにアリアがほとんど戦ったし、俺は最後にいいとこを貰っただけだから。


「で、ではお受け取りください。」

「ありがとうございます。」

「あと、アサヒさんは特例ですがランクがFからDになりますので冒険者カードを確認してください。」

「え。わかりました。」


 おかしいな。ランクアップはいらないってマスターに言ったはずなんだがな。あ、Aにはならないって言ったからA以下に上げたのかな。うーーーん。あれにDは早すぎると思うんよなぁ。まぁいいか。いきなりAとかよりマシだと思っとこう。


「おにーさん、行こー!」

「ん?行くってどこに?」

「私の家。」

「え、、ナンデデスカ。」

「えー、一緒に頑張るんでしょー?」

「言ったけど!別に家に行く必要は・・・」


 もうなんでこんなに距離が近いんや!


「おにーさん、宿とか決めてないでしょ?この街のことも知らないのに泊まるとこ探せるかなー?私は一緒に暮らしてくれてもいいんだけどなぁ?」

「・・・いやぁでも女性の家に行くのはぁ・・・」

「・・・そんなに嫌なの?悲しいなぁ」


 悲しそうな顔をするアリア。


「ぐっ・・・わかったよわかった。お言葉に甘えさせて貰おうかな。」

「よし行こー!」


 演技の顔だとしても断れないだろ。


「あ、その前に鍛冶屋に行きたいんだが寄ってってもいいか?」

「いいよー?剣になんかあった?」

「ん。魔法のせいかわからんが形が歪んでるし少し刃こぼれしてるんだ。」


 ギルドを後にし、歩きながら話す。


「どれどれー?」


 アリアに刀を渡す。


「うわーほんとだ!なんか変に曲がってる!」

「多分さ、俺が武器の使い方がまだまだ下手なのもあるし、何より魔法の力に武器が耐えれなかったかもしれない。その辺も含めて鍛冶屋のモーガスさんに聞きたいんだ。」

「まー今まで魔法を武器に纏わせるなんてやる人も出来る人もいなかったからね。こんな感じになるんだね。」


 毎回こんな感じになってしまうなら、あの魔法を使い続けるのが難しいかもなぁ。本当にどうしようもない時は使うしかないけどな。


「もっと上手く使えるようにしないとなぁ。」

「また新しい魔法造っちゃう?」

「いやーそんなに簡単に作れるのかな?今回はアリアを助けたいって焦ってからなぁ。」

「でもおにーさんのイメージしたものが魔法としてできたんでしょ?だったらイメージして魔力でできるものなら魔法になるんじゃない?」


 スキル欄に書かれている魔法造りし者、確かに文字でも見ると魔法を造れる感じだけど、何も制限や条件もないとは考えられない。イメージだけで造れるならチート主人公になれるなぁ。風と闇しか使えないみたいだけどな!


「難しいなぁ魔法って。それに闇魔法があんまりイメージできないから魔法にできるかわかんないなぁ。」

「んー闇かぁ。おにーさん以外に使える人がいたらいいんだけどね」

「ま。今は武器のこと考えるか。」


 まずは刀だな。魔法を纏わせても大丈夫なものがあればいいがな。



続く

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