ep23 会長と俺

氷が内側からヒビが入り、粉々に砕け散る。 その中からガハハハハと笑う嵐山先輩がでてきた。


「ガハハハハ!! 」


「嵐山先輩、そこを避けてください。 じゃないと吹き飛びますよ 」


 俺は手の平に風域を作る。 嵐山先輩は構えることすらせずに腰に手を当ててガハハハハと笑っている。

 あのままバカにされたままではいられない。 せめてあの壁は吹き飛ばす。


「藍斗やめなさい! その先輩は……! 」


「思い切りやれ!! ウィンドボーイ!!」


 咲夜が何かを言う前に遮るように嵐山先輩が叫ぶ。 その手のひらを前に突き出して能力を発動する。

 その瞬間暴風が吹き荒れ、廊下に置いてあったものや天井の照明がチカチカと揺れる。 だが、嵐山先輩とあの女はニヤリとしただけで微動だにしなかった。


 嘘だろ、あれは俺のほぼ本気だったのに……?!


「素質はあるが、腕は無いな。 小林の言っていた通りだ 」


「実に面白いやつだ!! 気に入った!! 」


 ガハハハハ!!という声がまた空に響いていた。


「藍斗、あんたバカじゃないの?! あの人たちは生徒会よ!! 」


「んなわけないだろ、あんな変な人たちが…… 」


 いや、思えば小林先輩も変な人だったし、柳原会長も普通の人ではなかった。 生徒会自体変人の集まりという訳では無いだろう。


「言い忘れてたがオレ様は行政会長だ! 」


「あたしは柳原やなぎはら 鐘歌しょうか、法務会長をやってる 」


 俺は今日死ぬかもしれない。 法務会長、それに行政会長まで。 法務会はいわゆる裁判を担う人たちの集まり、行政会長は会社や外部の地域との交流を進める会。 噂では法務会長は退学にする権利を持っているんだとか…… それに行政会は進学や就職も担当しているため、将来必ずと言ってもいいほどお世話になるところだ。


「も、申し訳ありませんでした!! 」


「楽しかったから許すぞ! オレ様は心が広いからな! ガハハハハ!! 」


「あたしも、兄が言ってた謎が解決したからそれでいい。 でも一つだけ言うと、今のあんたの能力じゃあたしの氷は破壊はできなかった 」


 鐘歌先輩が指をパチリと鳴らすとその瞬間に部屋が元通りになる。 一体どう言う仕組みだ……?


「早くついてこないと全員失格にするぞ 」


 俺たちは急いで鐘歌先輩の後をついて行った。

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