第24話 秘策
これまでのダンジョン攻略の中で手に入れた無数の宝玉の中で被った者達を取り出していく。どれも貴重なスキルだしもったいないとは思うが、これで助かるのなら安いもんだ。
「
そうして取り出し終えた数百個の宝玉をすべて風魔法を使って宙へと浮かす。そして俺の周辺へと散らばった宝玉の中から一つだけを手元へと移動させる。
「宝玉にこの力が使えるのかどうかは知らんが、やってみるしかない」
手元へと引き寄せた一つの宝玉へ触れた瞬間に、スキル『投擲』を発動させる。すると宝玉は俺の思い描いたように一直線で金龍の方へと飛んでいく。
「擬態」
そう呟いた瞬間、打ち出された宝玉が色を変え、景色へと溶け込む。まったく視認できなくなった宝玉を探すのを諦めたのか金龍は宝玉が打ち出されたのをお構いなしにこちらへと飛び掛かってくる。確かに自慢の鱗だし、こんな玉ごときで傷をつけられるわけがないと思うのは仕方のないことだろう。
だが俺にはこのスキルがある。
「貫通」
スキル『貫通』。相手の防御力を無視して攻撃を加える。これを打ち出された宝玉へさらにかける。これで擬態と貫通が二重掛けとなった宝玉が凄まじい速さでこちらへと飛び掛かってくる金龍へと突き刺さる。
結果は予想通り、宝玉は見事に金龍の腹を貫き、ダンジョンの壁へとめり込んで割れていた。金龍は腹を貫かれた苦しみに藻掻き暴れ、ただでさえボロボロになった体を激しく地面へと打ち付ける。
「ほらほらどんどん行くぞ!」
風魔法によって手繰り寄せられてくる宝玉たちが同じように次から次へと金龍に襲い掛かっていく。金龍もただ藻掻き苦しむだけでなくブレスを放ち、抗ってくるが、打ち出された宝玉の全てを落としきることが出来ずその金色の美しい鱗がどんどんとめくれ上がっていく。
「これで止めだ!」
最後に残った宝玉をアルムへと装着して作り出した刃に氷獄を纏わせ、飛び上がるとその落下の勢いに任せて金龍の腹を突き刺す。当然、貫通スキルを発動させたまま。
「うおおおおお!!!!」
凍てつく氷獄が金色の身体を蝕んでいく。氷獄の浸食を止める金の鱗はもう残っていない。生身の身体は徐々に浸食されていく氷に支配されていき、やがてその息の根を止めることに成功する。
「はあ、はあ。ようやくか」
体に流れ込んでくる膨大な力を感じ取り、長きにわたる戦いの終結を悟った俺は金龍のもとから離れて端の方で寝かせているアリスのもとへと向かう。
「良かった。怪我はないな」
一応気を付けて戦ってはいたがそれでもやはり飛び散った岩の欠片なんかが飛んでくれば傷つけてしまう訳で。それに気を付けるとはいっても死にかけの時はそんなことを気にしてられなかったため、戦闘の衝撃がアリスに及んでいないかが心配だったのだ。
俺が近くにきてもアリスの目は覚めそうにもない。あの世界から隔絶されるほどに強力な一撃を真正面からくらっていたから仕方のないことだ。もしもくらってたのがアリスじゃなくて俺だったら間違いなく即死だったからな。
整った呼吸の音が聞こえる。今は起こさないでおこう。そう思って羽織っていた学生服の上着を寝ているアリスの肩にかけると俺は立ち上がり、金龍の方へと歩いていく。
「鑑定」
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名前:カイザー・ウラヌス
種族名:龍王
称号:魔王
レベル:9000
スキル一覧
ユニークスキル:『王の息吹』
常時発動スキル:『身体強化Ⅴ』『魔法無効』『物理防御Ⅴ』『魔法強化Ⅴ』『状態異常無効』
魔法スキル:『光魔法lv.EX』
特殊スキル:『バリア』『超剛力』『飛翔』
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レベル9000だと!? 今まで通りならなら500階層の敵のレベルは5000レベル程度になるはず。それを一気に飛び越えてレベル9000か。道理で強かったわけだ。
それに先程の戦いで鑑定スキルのレベルが上がったのか称号という欄が追加されている。称号が魔王となっているがダンジョンに居るのに魔族の王とはこれ如何に。そして今まではなかった種族名だけではなく名前欄もある。どうやらかなり特殊な魔物だったようだ。
「とりあえず宝玉化するか」
金龍の身体へと手をかざしていつも通りスキルを放つ。そして生まれたのは今までにも見たことが無いような輝きを放った金色の宝玉。それを手に取ってさっそくアルムへと装着する。その時、やることを終えたからかどっと疲れが押し寄せてきて、その場へ倒れこむ。
「はあ、疲れた。俺も寝るか」
そうして俺はそのまま眠りへとつくのであった。
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名前:葛西ライト
種族名:異世界人
称号:魔王候補
レベル:7863
スキル一覧
ユニークスキル:『鑑定lv.10』『宝玉生成』
常時発動スキル:『暗視』『身体強化Ⅴ』『状態異常無効』『魔法強化Ⅴ』『魔法防御Ⅴ』『物理防御Ⅴ』
魔法スキル:『全属性魔法lv.10』『闇魔法lv.10』『毒魔法lv.10』『爆発魔法lv.10』『雷魔法lv.10』
特殊スキル:『パーフェクトヒール』『貫通』『収納』『変装』『投擲』『剛力』『かまいたち』『擬態』『感知』『氷獄』
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