第21話 油断

「次で500階層目か?」


「そうなるな」


 俺の予想通り、1000階層目から100階層ごとにレベル上限が1000ずつ上がっていき、階層を重ねるごとに攻略が難しくなっていった。その分、俺達も大分強くなってきた。今の俺のステータスはこれだ。



 ===================

 種族名:異世界人

 レベル:5672

 スキル一覧

 ユニークスキル:『鑑定lv.7』『宝玉生成』

 常時発動スキル:『暗視』『身体強化Ⅴ』『状態異常無効』『魔法強化Ⅴ』『魔法防御Ⅴ』『物理防御Ⅴ』

 魔法スキル:『全属性魔法lv.10』『闇魔法lv.10』『毒魔法lv.10』『爆発魔法lv.10』『雷魔法lv.10』

 特殊スキル:『パーフェクトヒール』『貫通』『収納』『変装』『投擲』『剛力』『かまいたち』『擬態』『感知』

 ===================



 アリスのステータスはこれだ。



 ===================

 名前:アリスフォード

 種族名:魔族 魔王候補

 レベル:4491

 スキル一覧

 ユニークスキル:『暗黒魔法』『鬼神』『融合』

 常時発動スキル:『暗視』『身体強化Ⅴ』『魔法強化Ⅴ』『魔法無効』『物理防御Ⅴ』『状態異常無効』

 魔法スキル:『全属性魔法lv.EX』『闇魔法lv.EX』『毒魔法lv.10』『爆発魔法lv.EX』『雷魔法lv.EX』

 特殊スキル:『パーフェクトヒール』『貫通』『収納』『変装』『投擲』『剛力』『かまいたち』『超音波』『熱光線』

 ===================



 見てわかるように二人とも大分成長してきた。特筆すべきはアリスの魔法防御Ⅴが魔法無効へと進化したことと毒魔法以外の全てのレベルがEXになったことであろう。正直、スキル欄を見れば俺なんかよりよっぽど強い。ちなみにアリスの特殊スキルの欄にある『超音波』は800階層、『熱光線』は700階層のボスから作り出した。


 俺の方にある『感知』は600階層のボスの宝玉から作り出した。いわゆる見切りのようなもので死角から攻撃が飛んできても気づくことができるというものだ。お陰で被弾率が下がったことでパーフェクトヒールを使う回数が減った。


 なんだかんだ未だにヘル・フェンリルの宝玉から手に入れたパーフェクトヒールが役に立っている。あの時点でゲットできたのは不幸中の幸いだったな。


 ただどちらにしろ即死攻撃を受ければ効果はないためこのダンジョンでは要注意である。ただでさえ雑魚ですらレベルが高いため、休憩しているときに不意打ちとかされたら死ぬだろう。だからこそ『感知』が役立つ。


「さて、軽くボスを屠って早いとこ魔王の試練をクリアしてやるか」


「ああそうだな」


 いつも通り自信満々にボス部屋の扉を開けるアリスに追従して俺も部屋の中へと入る。身構えていたボスたちも案外軽く倒せてきていたから俺達は少し油断していたのかもしれない。


「危ない!」


 入った瞬間にゾゾッと背中を悪寒が走り、何かが迫ってくるのを感知した俺はアリスの服を掴んで無理やりその場から逃がそうとしたが、間に合わずにそのままアリスの身体は何者かによって弾き飛ばされる。


「アリス!」


 俺は弾き飛ばされたアリスのもとへと走り寄る。よかった、息はしてるみたいだ。だがこのまま放っておけば死んでしまう。


「パーフェクトヒール」


 急いでパーフェクトヒールをかけるとアリスの怪我はみるみるうちに塞がっていく。ただ、これはあくまで外傷を治すスキルであり、アリスの意識を戻すことはできない。


 気絶したアリスを抱えると時点で襲い来る攻撃を感知し、そのまま避けて部屋の端の方へと移動する。


「すまん。少しここで待っていてくれ」


 そう言ってアリスをその場に寝かせると敵の方を睨みつける。中央では金色に光り輝く旋風が吹き荒れており、その中に巨大な魔物の影が見え隠れする。やがて旋風が収まり、アリスの意識を一瞬で刈り取った元凶である金色に輝く一体の巨大な龍が現れるのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る