第三話

「出番というと、軍議ですか?」

「そうだ。それも三人のな。」

「三人…私と信長様と月花さんですか。」

「あ、さん付けじゃなくて『月花』で大丈夫。」

「じゃあ、私も『風』で」

月花と仲良くなれるかも。そんなことを思っていると、信長様がパン、と手を叩いて言った。

「こんな話してる場合じゃないぞ。」

「「すみません!信長様。」」

「息ぴったりだな、貴様ら。家臣たちにはもう休めと伝えてある。そんなことよりも地図を見ろ。半刻前に今川軍が出陣した。月花、今どこら辺か分かるか?」

「恐らくこのあたりだと。」

と地図を指した。

「風、ここから清州城につくまでどれくらいかかる。」

ここまでつくには、四つの砦を突破しないといけないだから、

「早ければ恐らく、三刻(六時間)くらいです。そして今出陣すれば決戦場は桶狭間になると思います。」

「よし、出陣だ!武具を持て!」

「ははっ了解しました。」

「風、女子用の鎧が何故かひとつあった。それを着てこい。あと、馬は乗れるか?」

「はい、馬は幼いころ乗ったことがあるので恐らく乗れます。でも甲冑、どうやって着るんですか?」

「勘で着ろ。」

「僕、わかるよ。」

「月花、じゃあ、手伝ってくれる?」

「うん。」

「ありがとう。」

恐らく、このあと私は仕込み刀で人を切るだろう。人を切る覚悟はある。でも戦場は怖い。女子が戦場に出ても大丈夫。そう考えながら戦支度をしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る