「死にたくない」と強く思え。渾身の力で思え

 死にたくない!ぜったい死にたくない!と強く思える人ってどれくらいいるのだろう。これはけっこう難しいことだと思う。なぜならば人はいずれ死ぬからで、この世の一切合切は、主観的には目の前のスクリーンに上映される映画と同じ。終わりが必ず来るからだ。


 とはいえ、この辺のバランス感覚というのは難しいもので、「死は鴻毛よりも軽く~」と世の中がなってしまうと社会はめちゃくちゃ、家族もめちゃくちゃ、人生めちゃくちゃになってしまう。


 まずは「死にたくないなあ」という本能(といって良いのかわかんないけど普遍的な感情)はある。そしてまた「死にてえなあ」という本能(といって良いのかわかんないけど普遍的な感情)もある。そこを両方とも大事にしつつ、それでもなお、「死にたくないなあ」を優先して生きてゆくべきなんだろう。


 これは何というか多分、お約束みたいなもんだ。それを大事にしよう。


 俺の場合、死にたくてたまらず自殺未遂を繰り返す叔父というものが幼少期からおり、母親も「弟は弱い!私はああはならねえ!50で死ぬぜ!」みたいな人だったので、この辺の感覚がどうやらズレている。すげえズレている。


 「死にたい」と思う気持ちは暖かく、心地よいものだ。「生きたい」という気持ちは恐怖に裏打ちされていて冷たく、神経を逆立てなくてはいけなくなる。それでもなお、「生きたい」が大事だし、人生家族友人社会というものを大事にするために必要だ。


「死にたくない」とひとりつぶやき、人とも話せ。

心の中で「死にたくない」と叫べ。渾身の力で叫べ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る