4🏡ナオ危機一髪💓

オカン🐷

ナオの危機!

 この作品を書き始めたとき、ちょうどあの事件があって。

 もうお蔵入りにしようかと思っていたのですが、被害に遭われた方々のご冥福を祈る意味を込めて、公開することにしました。


全3話


🏡―――――――― ――――― ―――― ―――――💓




「あっ、リョウちゃんのマグマグ忘れて来た。ナオさん先に行っといて」

「うん、わかった」

「リョウちゃんはレイちゃんと一緒に行こうね」


 レイはベビーサークルに乗った遼平を部屋に押し戻した。


 ナオが部屋から出て、大きなお腹を抱え、ゆっくりと歩を進めているときだった。

 

 衝撃音がした。


「ナオさん!」

「大丈夫やから出てこんといて、リョウをお願い」


 ナオは躰を屈め、一平の両親の部屋に這うように近付いた。


「ナオさん!」

「お義母様、出て来たらあかん」

「大丈夫、犯人はもう逃げたわ」


 義母のルリ子はナオの手の傷の様子を見ると、部屋でスマホを持つ義父哲之介に大声で報告した。


「出血は酷くないけど、妊婦が破水している。向かいの中学校の屋上から狙撃。犯人は2名。上が白、下が黒。おそらく制服と思われる」


 しまさんが手にタオルを巻いてくれた。


「しまさん、腰に巻くバスタオルが欲しい」

「はい、すぐにお持ちします」

「ナオさん、救急車はすぐに来ると思うけど、一度部屋に入らない?」

「いえ、ボトボトやから、ここで待ちます」


 レイから連絡を受けた一平が、救急車より先に掛け上がって来た。


「ナオさん、大丈夫か?」

「うん」


 一平はナオをバスタオルごと抱きかかえると、下で待機していた救急車に乗り込んだ。


「どうしたナオさん? 心許ない感じだな」

「あのね、一平さん……」


  小さな声で囁いた。

一平が顔を近づけると、


「・・して」

「ずいぶんと弱気だな」


一平はナオに口づけした。

 すると一平の口に何かが入った。


「ハハハッ、そういうことか。心配したよ」


 一平は飴を口にしながらモゴモゴと言った。


「ナオさん、2個は欲張り」

「だってイチゴミルクになって美味しいんやもん」

「じゃあ、ナオさん、犯人検挙に行って来ます。おふくろ、あとは頼んだ」

「気をつけて」


 ルリ子は笑いを噛み殺しながら応えた。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る