第50話 メキラ再登場! シン・【神格化】のとき!

 マージョリーたんが、技を発動しようとした。


『待ってマージョリーたん。カリス!』


「はっ!」


 私に呼ばれて、カリスが飛んでくる。


「なんなりと」


『マキビシで、マージョリーたんとイーデンちゃんを攻撃して』


「……正気であるか? ダテ殿?」


『ここで【神格化】の本当の使い方を、レクチャーするよ』


 そのために、カリスの全体攻撃が必要なんだ。


「承知した。いざとなったら、頼ってくだされよ! マキビシ!」


 カリスが跳躍して、マージョリーたんとイーデンちゃんにマキビシを浴びせる。


 私とゼットさんは、防御しない。マキビシを、まともに浴びせる。


「ダテ殿、本当に大丈夫か?」


「やべえぞ。もう体力が残り少ないぜ!」


 心配をするゴドウィンとビリーに、私は『大丈夫』と告げた。


『問題ないし。マージョリーたん、今こそ!』


「はい、ダテさん。【ウイング・ブラスター】!」


 マージョリーたんの【ウイング・ブラスター】が、火を吹いた。盾から翼を発し、グライダーのように敵陣へと突っ込んでいく。


 戦場を覆い尽くすほど、翼が広がった。


 翼の間にいた敵が、内部を構成している魔石を破壊されて蒸発していく。


 だが、一人だけ溶けない相手が現れた。


「フン。随分なあいさつじゃないか。シャクだねえ」


 ウイング・ブラスターを、その人物……メキラは片手で押さえ込んでいる。全身を、黒い金属のヨロイで覆っていた。禍々しいその姿は、甲殻類を思わせる。


「こっちなら、【アルカナ・フラッシュ】!」


 ゼットさんを構えて、イーデンちゃんがドーム状に魔力を全開放した。

 しかし、メキラは聖なる波動さえ、もう片方の手で押さえつける。


「ぬん!」


 数々のザコを蹴散らしてきたマップ兵器を、メキラは意に介さない。


「以前戦ったときより、強いですわ!」


『これが、レベルマックスの相手かーっ!』


 正直、ここまでとは思わなかった。再生怪人って、弱いのが定説じゃん!


「アタシを、そこらのザコと一緒にするんじゃないよ! そこで狙撃を構えているやつもだよ!」


 メキラは、遠方で【ケラウノス・ランチャー】を構えているヴィル王女にも、警告した。


『こっちは大丈夫だから、ヴィル王女! 味方にバフを撒きまくって!』


「わかったわ。【激励】! それそれ~」


 ヴィル王女はこちらの指示どおり、ランチャーを王笏代わりにして仲間に号令をかける。


 それだけで、味方の命中率や回避率が上昇していく。


「エース級の仲間ではなく、瀕死の奴らをこちらによこすってか。シャクだねえ。討伐経験があるとはいえ、アタシもナメられたもんだ」


「いいえ。あなたの相手は我々が適任です」


「言ってくれるじゃないか! その自信ごと、叩き切ってやるよ!」


 メキラの剣を、マージョリーたんは受け止める。


 光の剣が、点滅を始めた。


 勝機とばかりに、メキラが大剣でマージョリーたんの光線剣を弾く。


 ガラスが割れるように、マージョリーたんの剣が消滅した。


「あはは! もうパワー切れじゃないか! 残り少ない魔力で、アタシに勝とうってのかい?」


「まだ終わっていません! 【ショート・マギ・ランチャー】!」


 背後にいたイーデンちゃんが、小型の魔導砲マギ・ランチャーを放つ。


「ショボい魔力でも、感知はできるんだよ! そら!」


 後ろ足で、メキラはイーデンちゃんの砲撃を蹴り上げる。レベルマックス超えのマギ・ランチャーを、ああもあっさりと。


「やっぱりだ。威力が落ちているじゃないか。最初に大技をぶっ放すからだよ!」


「いえ、これでいいのです」


「んだと……な!?」


 メキラが、信じられないモノを見たような顔に。


 そりゃあそうだろう。さっきまで死にかけていた相手に、みるみる生気が戻ってきていいるのだから。


 これが、真の【神格化】の恐ろしさである。


 その効果は、

「体力20%以下、魔力30%以下になった途端、完全回復」

 するというものだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る