第44話 核に匹敵


「ミウ…大丈夫か?」


「うん、どうにか…平気だよ」


魔族って奴はとんでもないな。


幸運のブレスレットでも完全回避が出来なかった。


幸運のブレスレットのおかげで騙せた。


そう思うしかないな。


死にかけた俺は…『手当』を使い、死なない程度に自分とミウを回復し続けた。


これは賭けだった。


もし、あの魔族が慎重な奴でとどめを刺しに来たら…終わっていた。


恐らく、とどめを刺さなかった。


これはもしかしたら幸運のブレスレットの効果かも知れない。


周りを見ると護衛に御者は死んでいて馬車は壊され、馬は逃げ出していた。


これで幸運?


魔族というのはとんでもない厄災なのかも知れない。


「ミウ…悪いけど服を脱がすよ」


「理人…流石に此処じゃ恥ずかしい…」


「いや違うから」


俺は『手当』を使いミウの体を治療していった。


まぁ柔らかいささやかなふくらみや、触り心地の良いお尻を触れるのは役得だな。


「凄いね」


「まぁね…はい終わり…今度は俺だ」


俺も裸になり、自分に『手当』をしていった。


暫く続け…ようやく治療が終わる。


「理人、良く考えたら魔族が侵攻して来たなら後ろに人はいないし、先にも人は居ないよね…」


「なにが…」


良く見るとミウは震えている。


死にかけていたのだから当たり前だな。


この場合は仕方ないな…


そのまま、壊れかけた馬車に行き…ミウを抱きしめた。


◆◆◆


俺は馬車の前で焚火をしている。


ミウは壊れた馬車の中で寝ている。


幸いな事に持っていた生活品はそのまま残っていた。


これからどうするのか?


王国迄戻っても、恐らくは争っている最中だ。


恐らくは門は閉ざされているに違いない。


恐らくは入れない。


逆に門が開いているか壊れていたら、中に迄侵攻。


場合によっては王城が落されて居るかも知れない。


『戻れない』


それじゃ、進んだ場合は…魔族が侵攻してきたから、通ってきた場所は全部滅んでいるだろう。


帝国は流石に滅んで無いだろうが、辿り着くまで恐らく死人だらけだ。


魔族が敵なのは解った。


ミウを守る為には強くならないとならない。


『使うか』


恐らく、これを使えば恐らくもう怖い物など無くなるかも知れない。


俺はアイテム収納から瓶を取り出した。


王国に使うか…いや、それじゃ根本解決にならない。


『敵は魔国に居る魔王を含む魔族全員…』


そう伝え瓶を開けた。


これがどれ程の威力なのか解らない。


だが…これが本物ならきっと、全てが終わる。


◆◆◆


どの位経っただろう…体が熱くなってきた。


体が変わって行くのが解る。


見た目は変らないが…力が溢れるような気がする。


思った以上の効果だ。


それが何時までも続く…体から汗がでて遂に体つきも変わった気がする。


そして…頭の中にファンファーレが鳴り響く。


『人類最高レベル999を超えました…人を越えます』


更に体が熱い…見た目こそそれ程変らないが脂肪がなくなりまるで鋼の様に強い体になった気がする。


『半神半人になりました…再びレベルアップスタート…カンストレベル999を超えました…元のジョブが上級拳士だったので拳に特化…拳神になりました』


更なる高揚感に包まれる。


『レベルがまだ上がります…四天王が全員滅びました…称号魔族キラー獲得…まだレベルが上昇します…カンストレベル999を超えました…更に上級の神…破壊神になりました…魔王ルシファ―ドが滅びました…レベル上昇が止まります…破壊神レベル43…レベルアップ進化が止まります』


まさか此処までとは…


此処まで成長した俺なら出来るだろう。


「鑑定」


理人

LV 43

HP 200垓

MP 28垓

ジョブ:破壊神

スキル:この世界のスキルは全て神レベルで使える。

エクストラスキル: 偽りの真実(極)元からあったスキルが進化。嘘を全て本物に出来る(この世界で理人のみが使えるスキル)

称号:魔族キラー 魔王討伐者 魔国を滅ぼし者 


「すごいな…これで魔王は死んで魔国も滅んだ」


『人類は全員敵だ』


あれを言わなければこうは成らなかった。


俺の敵として認定出来たから…こうなったんだ。


まさか、これまでとは…


俺は、本物になったら『核兵器』並みの武器を持っていた。


まさか此処までとは思わなかった。


『人工精霊 核シリーズ』


これでもう、安心だ。


俺は火を消して、馬車で寝ているミウの毛布に潜り込んだ。



※恐らくあと数話で完結予定です



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