【本編完結】婚約破棄をしたい私は残念王子と手を組むことにした

桃元ナナ

第1部 婚約者編

プロローグ

ずっと信じてた。

愛し合い、信頼しうる関係になるものだと。

だけど、現実であり得ない。

政略結婚が貴族の責務と呼ばれているこの世界で。

希少というべき愛し合える人と出会うことが。


だから致し方ないと思ってた。

あの人が誰を見ていようが、関係ないと。


契約に縛られたこの結婚で、信頼し合える仲になればよいと。

私の一生の片想いになると思っていても。

それでもいいと思っていたのに。


だけど気づいてしまった。

彼の視線の先に、彼女がいる――。

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