第5話 光属性...偽聖女

「お嬢様!!お野菜がこんなにも育っていますよ!」


「ジョセフ、領内に畑を耕せる人を募集してくれるかしら?食の流通を通して職を持ってもらうわよ!」


「はい、エリスお嬢様!!このジョセフ、お嬢様の気まぐれと疑っていた事をお許しください」


「そうねぇ。なら小言は程々にしてもらえるかしら?」


「そんな、最近のお嬢様は学習もしっかりと行っていて小言など言っておりませんよ!」


「そうねぇ。ボクが夜中に調べ物をしていたら、早く寝なさいというのは誰かしら?」


「そ、それは」


「それに、レディの部屋を覗くなんて悪趣味よ?ねぇアーニャ」


「そうですよ!ジョセフさんは反省してください!」


「それは、夜中に針と糸を使って何かやっているので、ロウソクの火で裁縫は危険でございます!」


「大丈夫よ。」


そう!一人暮らしをして20と数年。

裁縫をやってくれる彼女なんていなかったから自分で出来るようになったんだもの!

そこらへんの男子よりは上手にできるわ!


「あっ!お嬢様!お花も咲き始めましたよ!」


「ほんと!綺麗ね」



この3ヶ月。

この世界の勉強をして、領内の改革に乗り出していた。

といっても、資金は限られてるし、まだまだ出来ることは少ないけど。

それでもボクに出来ることはやり始めた。


少し残念だけど、今までのエリスの食費と洋服代。

それに、この世界では高級な食材となっているお菓子タイムを無くした。


その分、スラム街での炊き出しを行う事でスラム街にも少しだけ活気が出てきて、薬草採取や低ランクのモンスターを狩ってくる人も現れた。


そして。


「アーニャ?ちょっと部屋まで来て貰える?」


不思議そうなアーニャを連れて部屋に向かった。


「これ、付けてもらえる?」


「なんですか?」


「ブラジャーという物よ!これで胸を抑えるの。締め付けるのではなくね!あとは、女性用のパンツも作ったわ。」


「私が付けてもいいのですか?」


「もちろんよ。アーニャへの日頃の感謝ですもの。」


「ありがとう...ございます...」



感謝のあまり泣き出してしまった……


もちろん感謝の気持ちは本当。

でもね、全員から憎悪の目を向けられていた処刑台だったもの。反対する人がいてくれたら処刑ルートから抜け出せるかも知れない!

その為にも周りから固めていかなきゃね。


「え、すごい!お嬢様...いえ、エリス様!こんなに履き心地の良い下着は初めてです!」



ふふっ。アーニャの好感度が上がったね。



「このパンツは動いてもズレません!!」


「よかったわ!畑仕事の出来ない非力な女性には下着や服を作ってもらいましょう!お父様が帰ってきたら商業ギルドで取引して頂けるようにお願いしましょ!」


「エリス様……素敵です!!」



そして、その夜。


ボクは再び夢を見た。



…………


「偽聖女、飯だ食え!」



そこは薄暗く冷たい石で出来た牢獄?


固くなったパンを半切れ牢の中に投げ入れられた。

これが...ボクのご飯?


「早く食え!」


「.....」


言葉が出ない……


「死なすなって命令なんでな。食ってくれなきゃ困るんだよ!」


牢に入ってきた看守に無理やりパンを口に入れられた。



「固いか?」


頷くと看守は自分の口に放り込み、バリバリと噛み砕いた。


ニヤッと笑った看守はボクの髪の毛を掴み。

口付けをした……

噛み砕いたパンを口付けでボクの口に移してくる。



40年と数ヶ月。


看守によってボクのファーストキスの記憶を植え付けられた。



「オエッ!!」


「エリス様!どうかさないました?」


「え?アーニャ??」


「はい、うなされていた様なので様子を見に来ました。」


「夢……うん。大丈夫」

「涙が出ていますよ?」


アーニャは顔を近づけて、指で頬を拭ってくれた。

アーニャでファーストキスを体感して...あの記憶を打ち消したい!


でも、流石に無理だよね。


「眠るまでお側にいますから。安心して眠って下さい」

「アーニャ...一緒に寝て?」

「よろしいんですか?」

「うん...お願い」



処刑前の牢獄なのか?

牢獄ルートに変わったのか。


それでも悲惨な運命になる事に変わりは無い。

人から恨まれないようにしなきゃ……


それに...嫌な夢だけど。

前世ならこんなに人肌が恋しく、寂しくなることなんてなかったのに。

年相応のエリスの心がボクの中で侵食してきているのかも知れない。


きっかけは先月だと思う。

この世界が早いのか……

個人差なのか。


男の頃は経験しなかったアレが始まった。

アーニャにおめでとうございます。などと言われてたけど、下腹部がジーンとした痛みが起こって辛い思いをした。


まっ、光魔法で痛みを和らげたんだけど。


ヒールは無属性らしいんだけど、普通のヒールと違ってボクのヒールは効果がたかく、魔法を唱える腕が光る。

ようするに光属性を持っているということ。


光属性を使える人は希少で、その人達は決まって勇者や聖女となる事が多い。

世界を探しても光属性持ちは5人程度。


まぁ、勇者が数人存在するって事で、聖女は女の子の属性持ちの中でも優れた人がなる。


夢の中の偽聖女……

やっぱりボクの事で確定だね……


そんな事より、生理を経験した事でボクの心の変化が現れ始めた。




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