「手、繋ぎたい。恋人とて手を繋いで行くの憧れだったから」

「鉄也ー朝だよー」

「んっ……」

 朝が弱い俺のところに紅羽がいつも通り起こし体を揺すってきた。

「朝だよ。起きて」

「んんっ……」

 そのまま体を丸めて寝ていると布団を剥ぎ取られた。

「ほら朝だよ。学校に近くするから制服に着替えなよ………ふむ」

 紅羽がそのまま寝ている俺のところに近づきそのまま俺の体を触ってきた。

「起きろー朝だよ」

 腕とか足とか胸とか顔まで全て触ってきた。

「……んっ」

 そしてわかっていたけど目を開けたら紅羽がいた。

「おはよ」

「おはよ……。ところでなんで触ってるんだ?」

「え? 初めて出来た彼氏の体でも触っておこうと思って」

「……おぉ、彼氏か」

 彼氏と言われてめちゃくちゃ嬉しかった。

「……なぁ彼女」

「おぉ、彼女! 彼女だよー! えへへ…………鉄也の彼女だね」

 紅羽がニコッと笑っていた。

「……じゃあ、彼女さま離れてくれませんか? 着替えられないから」

「ごめんごめん。……小さい頃みたいに着替えとか手伝ってあげようか?」

「もう、高校生だしいらぬでござる」

「残念でございます。およよ……」

「漫画読んでていいから読んで待っててくれてござる」

「りょー」

 紅羽からの拘束を解いて俺は着替えをし始め紅羽は俺の本棚から適当に本を読んでいた。

「……ねぇ、鉄也」

「ん? なに」

「放課後。ハンバーガー食べたいから付き合って欲しいなー」

「いいよ」

「やった! 鉄也ありがとう」

 紅羽が笑っていた。

 そのまま制服に着替え鞄を持って紅羽の方に近づいた。

「終わったら行くか」

「……うん」

 紅羽は本を置いて一緒に玄関に向かった。

「じゃあ行こう〜」

「行くか……」

 そっと手を紅羽の方に近づけた。

「……ん?」

「手、繋ぎたい。恋人とて手を繋いで行くの憧れだったから」

「いいよ」

 紅羽のそっと手を握った。

「……えへへ。彼氏から手を繋ぐなんて嬉しい」

「初めての彼氏が鉄也なんて嬉しいね」

「っ! ……俺も紅羽が彼女で嬉しい」

「えへへ嬉しい」

 そのままずっと手を繋いで登校した。

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