ホラーゲームはじまるよ

ツヨシ

第1話

孤独に殺されそうだった。

高校に来ても孤独。

家に帰っても孤独。

休みの日はもっと孤独だった。

物心ついた時からずっと孤独なのだ。

――なんかいい出会いとないかな。

東雲とうやはそう思っていた。

びっくりするような出会い。

刺激的な出会い。

驚くような強烈なサプライズ。

そんなものが自分のところにやってこないかと。

二時限目の英語の授業。

とうやは先生の口がパクパク動くのを見ながら、そんなことを考えていた。

その時、突然にとうやの目の前が真っ白になった。

――えっ?

とうやは目をこすった。

しかしなにも変わりがない。

もう一度目をこすってみた。

が、やはり目の前が真っ白のままだ。

――どうしたんだ、これは。

戸惑っていると、不意に視界が開けた。

そこは体育館のようなところだった。

形状、大きさ的には体育館だが、窓がない。

左右に引く大きな引き戸が一つあるだけだ。

――なんだ、ここは?

とうやの通う高校の体育館ではない。

そしてとうやの住む町に、とうやが知る限り窓がないこんな建物はどこにもないはずだ。

どこか遠くに来てしまったようだ。

目の前が真っ白になった、たった数秒ほどの間に。

信じられない。

とうやは何度も周りを見わたした後、とりあえず引き戸に向かった。

出入りができるとしたら、ここだけだ。

――ふん!

全身の力をこれでもかと込めたが、引き戸は全く動かなかった。

とうやは背が高く、力も身体能力も人並以上なのだが。

――どうしようか?

考えたが思い浮かばない。

それにしても、どうやってここに来たのか。

教室で二時限目の英語の授業を受けていたはずなのに。

戸惑い、思わず座り込んだ。

そして建物の壁を眺める。

しばらくそうしていた。

すると突然目の前が真っ暗になった。

ここに来る直前は真っ白だったが、今は真っ暗だ。

――!

とうやは動けなかった。

わけのわからない状況の上に、目が見えないのだ。

とても動くことはできない。

それでも動揺でうまく回らない頭を、なんとか動かそうとした。

でも動かない。

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