第5話 鬼のステータス

名前 しんたろう


職業 戦士


性格 善


レベル Lv22


HP 398     MP 0


攻撃力 1250     防御力 85


知力 12     体力 1280


魔法攻撃力 0     魔法防御力 8


すばやさ 28     うんのよさ 2


特殊能力 なし


うーん、あいかわらずの数値だなあ。


「いやちょっと待てお前」


 ロリータファッション少女のご先祖様が俺のステータスを見て驚きの表情を浮かべる。


「お前、攻撃力1250ってこれなに? 桁まちがってない?」

「そうなんですよ、戦士なのに攻撃力125しかないんです」

「いや、1250って……」

「バグですよ、俺は最初のステータスオープンのときから攻撃力600とかの数値になってましたから、先生もバグだろうって……」


 まあ、攻撃力なんてほぼ最高レベルのLv100の戦士で500くらいだからな。

 その二倍以上あるわけがないよ。


「いやお前、でも……トロールゾンビってラスボス、つまりあたしのひとつ前の中ボスだぞ。それをやっつけたってことは……ちょっと待て、お前、ほい、こい」


 ご先祖様が両手をパーにして俺に向けた。

 ん?

 なんだろう、ハイタッチかな?

 手のひらと手のひらをご先祖様と合わせて……。

 そのままきゅっと握り合って……。

 ええと、ちゅー?


「いやなにやっとんじゃい! なんでアニメのオープニングみたいなことをお前としないとあかんのや」

「じゃあなんですか? あとそのエセ関西弁もなんですか」

「パンチしてみろっていってんの!」


 あ、そういうことね。


「ミットとかなくて大丈夫ですか?」

「だいじょぶじゃい! あたしはこのダンジョンのラスボスやぞ」

「あーそうでしたね。見た目がロリータファッションロリだったんで。じゃ、いきますよ、せーの」


 ご先祖様の手のひらに向かって思いっきりパンチをかますと。

 ご先祖様はそのまま壁にぶっとんでいった。

 ぶつかられた壁は破壊されて崩れていく。

 ドラゴンボールとかでこういうシーンあるよな。

 あ、やべ、殺しちゃったかもしれん。

 尊属殺重罰規定がなくなっててよかったなあ。

 まてよ、ひいひいひいひいひいひいばあちゃんとかでもいちおう尊属なのかな?

 とか考えていると。

 おお、立ち上がった。

 さすがラスボスのアンデッドキング。

 せっかくのロリータファッションがぼろぼろになってもうこれ半裸だ。

 ずんずんとおれのほうへと歩いてくるご先祖様。


「あ、それはまずいですよ、ロリの裸は今厳しいですよ、あと今ふと思ったんですけど、女性ならアンデッドクイーンですよね」

「乳首でてないからセーフや。あとキングの方が響きがすきなんや。っていうかあんた、すげえ力もっているじゃない。戦士じゃなくて格闘家でもいけるよ、ちょっと人間離れしてる」


 え、まじなのか、あの数値ってバグじゃなかったのか?


「この力……まさに鬼……」


 そう呟いて、はっと顔をあげたご先祖様。


「あんた、どっかに鬼の血をひいてたりしない?」

「いや、そんなの知らないですよ」

「せやないとこの力の説明がつかんのや……。きっとあんたの先祖のどこかに鬼がいるでこれ」


 ふーん、俺って鬼の子孫だったかもしれんのか……。

 そんな話、全然聞いたことないけどなあ。


「鬼ってそんなに強いんですか?」

「ああ、今はほとんど絶滅しちゃったけどさ、モンスターの中では一番の力持ちで、しかも気は優しくて。かくいうあたしがこんなに強いのも、あたしの父親が鬼だったからなんや」

「ん?」

「で、鬼のこどもということでいじめられて最後には水害を治めるための人柱にさせられた」

「あ、俺、今知ったんですけど、鬼のご先祖様いたみたいです」

「おお、やっぱりか! そうじゃないかと思ったんだよこの力」


 俺のご先祖様の親が鬼なら俺も鬼の子孫にきまってるわ。

 ほのかさんが小首をかしげて、


「あれ? アンデッドキング様って実はアホ?」


 といった。

 俺はそれにこたえて、


「『実は』じゃなくて一見してアホだってわかろうよ」


 ほらほら、破けちゃった服がはだけて乳首見えちゃってるよ……。





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