19話
「で、ジャイアントオークの買取についてなんだが」
「それについては私からご説明します」
そういうとレイチェは一歩前へ出て何処からともなく紙を数枚取り出した
「じゃあ、その辺のことはウチの娘に任せるとして僕は自分の職務に戻るよ。これ以上ここにいると補佐官ちゃんが怒っちゃうからね」
そう言いギルマスは会議室から出て行った
「それではジャイアントオークの買取についてなのですが、まずこちらジャイアントオークの討伐金が金貨8枚です。素材もこちらで買い取らせて頂くことも可能ですが...」
「素材は何がある?」
「そうですね....ジャイアントオークから取れる素材は主に肉、睾丸。あとは魔石です。すべて買い取った場合金貨4枚と銀貨70枚になます。ジャイアントオークの肉は上位種になるほど高価になります。睾丸は精力剤として貴族の方がよくお求めになります。魔石はその大きさと内包する魔力量によって価値がかわります」
肉は非常時取っておくとして魔石は....
まぁ、何かに使えるだろう
「そうか、なら睾丸だけ買い取ってくれ。俺には使い道がない」
ぶっちゃけ使う相手がいないし
ってなんか思ってて虚しいけど......
「わかりました。ではジャイアントオークの睾丸の買取金金貨3枚です」
「ありがとう」
これで俺の目的も終わったし帰るか.....
「じゃあ、他に用もないし帰る」
「え!?何かクエストを受けられないのですか?」
「え?別に今は金に困ってるわけじゃないし必要ないからない」
それにあの獣人の子のことも心配だしな
「じゃあ、数日後にまた来るから」
♦♢♦♢パーティーハウス♦♢♦♢
ハウスに戻るとクリスターズの面々は道具の調達が終わっていないようでまだ帰ってきていなかった
一人リビングでくつろぐのも忍びないし部屋に戻るか....
「帰ってきたのでしたらまずは『ただいま』というべきでは?」
「ひぎゃぁ!.....」
あまりの唐突さに我ながら情けない声をあげ前のめりにすっころぶ
「あら...お可愛い声を上げるのですね?意外です」
そう言いながらウフフフと愉快そうに笑う声の主はこのハウスの管理人ユリエラさん
「ま、まぁ.....」
「ま?」
「前も言ったが気配を消して近づくな!いちいち心臓に悪いんだよ!!」
あーマジで心臓止まるかと思った
俺そのうちこの化け物に殺されるかも.....
「まぁまぁ、そんなに声を荒げないでください」
「これで声を荒げないやつのほうがどうかしてると思うが..」
「そんなことよりも亜人の女の子起きましたよ」
「よかった....思っていたより早く起きたな」
「えぇ、なので温かいスープとパンを用意しようとしていたところです」
「助かる、俺に何かできることはあるか?」
何かできることがあるならそれをしたいし....
「そうですね....そういえばマコトさん?という方の名前をずっと寝言で呟いていました。いったい誰のことなのでしょうか....」
「ッ!」
やっぱりあの時の声は聞き間違いじゃなかったのか.....
あの子に直接話を聞くしかないか
「あの子に聞きたいことがあるのだがいいだろうか?」
「.....今は止めておいたほうがいいと思います。起きてすぐですしまずは何か口にしないと」
くそ!....
やっぱり無理か...
「そこを何とか!だから少しでいいから」
「......何故そこまで?」
「あの子の言うまことという人物に心当たりがあるんだ。それを確認したい」
「.....しかし...」
ユリエラさんが言葉に詰まる気持ちも十分わかるあの子を思うなら今は安静にしていることが一番なのだ
「ほんの少しでいい」
ユリエラは少し考えた末に渋々といった顔で
「わかりました、しかし私がスープとパンを持っていくまでの間です。それ以上は止めておいたほうがいいでしょう」
「ありがとう!じゃあ行ってくる!!」
〇●〇●ユリエラ視点〇●〇●
「ありがとう!じゃあ行ってくる!!」
そう言い駆け足で部屋へ向かう誠を見送ったユリエラは一抹の不安を抱えていた
「アムールさん....その勢いで行くと絶対に怯えられて話すらできなくなってしまいますよ....さて、私もスープとパンの用意をしますか」
ユリエラはそんな不安を頭の隅に置きスープとパンを用意しにキッチンへと足を運んだのであった
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