第1話




 ー闘技場ダンジョン5戦目ー


 鉄格子が上に上がり、出てきた敵は剣持ちホブゴブリン1体。


 このダンジョンはパーティーメンバーの人数によってボス部屋の敵の数が変わる。


 俺の場合はソロなので1体だ。


「グギャギャ!」


 気持ち悪い声を上げながらホブゴブリンが向かってくる。


 俺は身体強化と魔力剣で迎え撃つ。


 ホブゴブリンは剣を振りあげ、俺に向かって振り下ろす。


 それに対して俺は振り下ろしを左に避けながら魔力剣を振り抜く。


 特に抵抗もなく切り裂き、ホブゴブリンを真っ二つにし、魔石と剣を残して消える。


 ドロップ品を残して消えた後には宝箱が現れる。


 中身はハズレのポーション。


 宝箱の中身は多くはポーションなどの消耗品。


 鉱石などの素材。


 後は、マジックバックなどの魔道具やスキルスクロールがあるんだが、俺は属性宝珠を探している。


 このダンジョンは例外だが、ボス部屋じゃなくても上位モンスターやレアモンスターからもドロップしたりするが確率はかなり低い。


 ボス部屋は確定で宝箱が出てくるのでこれを目的としたパーティーが周回したりするが待ちが多いので効率は悪い。


 他にも初回討伐はスキルスクロールや属性宝珠が出現しやすかったりするみたいだ。


 唯一の例外が、ランダムボックスがあるがコレは運でしかない。


 一応言われている内容比率はスキル25%、アイテム50%、属性宝珠25%だそう。


 後は初回ダンジョンクリアは報酬を貰える物が選べるみたいだ。


 なので、滅多にないが新たにダンジョンが生まれた際は冒険者で取り合いになる。




 それで俺が属性宝珠を探してる訳なんだが、俺のスキルに関係している。


 俺のステータスがこれだ。


 護崎 瑛二 18歳


 ースキルー

 魔力纏

 物質化


 物質化はさっき使っていた魔力剣の元なんだが、物質化した魔力を剣にしていただけだ。

 他にも槍にしたりナイフにしたりと色々できるんだけど問題は魔力纏の方だ。


 これは魔力を纏うスキルなんだが、所有者は俺だけなので恐らくユニークスキルになる。(協会調べ)


 だけど、俺には魔法属性がない。


 膨大な魔力が有ろうとも無属性魔力しか使えない。


 ユニークスキルでも無属性なら身体強化と変わらない。


 そんなやつとパーティーを組むくらいなら他に有用なスキル持ちとパーティーを組むだろう。


 これがソロでダンジョンにいる理由でもある。


 ちなみに普通はソロでのダンジョンは危険なので推奨されてない。



 さてと、気を取り直して次の戦いに進もうと思うがこのダンジョンはボス戦のみが基本なのだが、他のダンジョンでは5階層刻みでボスが登場する。



 ー闘技場ダンジョン6戦目ー


 鉄格子が上がり、入ってきた相手はハイオークだ。


 2m程の猪が2足歩行で手足が人の人型魔物だ。


 普通のオークと違う点は装備を身につけ、体格が少し大きい所だ。


 オークも棍棒などの武器は持ってはいるが、ハイオークは鎧を身に纏い、ハルバードを持っている。


 そんなハイオークだが、鉄格子をくぐり、闘技場に入って、俺との距離が10m程離れた位置で止まり、攻撃を仕掛けて来ずに構えたままコチラを見据えている。


「来ないならこっちから行くぞ?」


 そう一言声を掛け、身体強化をかけ、物質化で武器を作る。


 今回は大太刀を物質化し、両手で持ち、左下に刃先を向けた形で構え、一歩踏み出す。


 その時、足に魔力を一時的に多く流す。


 魔力を多めに流した事で強化された足で得たパワーでハイオークまで一気に近寄る。


 大太刀の間合いまで入った時、構えのまま勢いそのまま右に回転を加え、ハイオークの胴体目掛け、踏み込んで大太刀を横一閃に振り抜こうとする。


 しかし、ハイオークにはこの攻撃が見えていたようで両手で持って構えていたハルバードを右下から斬り上げ、大太刀と打ち合い、大太刀を砕かれ、パワーの差で上に打ち上げられる。


「っんな!」


 だが、ハイオークもノーダメージでは無かったようでハルバードは刃が欠け、両手が痺れたのかハルバードを下に落としている。


 それを上に打ち上げられながらも確認した俺は空中で体勢を整え、物質化で魔力を固めて足場を作り、着地する。


「まじかー。

 止められるだけならまだしも砕かれて打ち上げれるとは思わなかったわ。」


 そう言いつつも、次で決めるつもりで準備を始める。


 物質化で槍を生成し、足場の位置をハイオークに向けて作り、それを落ちない様に踏み込み、魔力でブーストし、勢いを付けながら投げつける。


 ハイオークはそれを見ながらも痺れた右手を握り締め、投げられた槍に向けて右拳で殴りつける。


 槍と拳がぶつかり、轟音を響かせながらも、

 ハイオークは殴りつけた拳を貫通し、胴体に穴をあけ、魔石とハルバードを残し消えていった。


 消えた後には、宝箱がドロップしている。


「初撃で決めにいったのに合わせられたのは流石にちょっと焦ったな。」


 オークに比べて上位種は知能が高いと言われていたが攻撃に合わせてくるとは思っていなかった。


「油断してた訳じゃないけど、止められた後の事はこれからはもっと考えないと死ぬな。」


 今回はアドリブで何とかなったけど次からは気をつけよう。


「さて!反省もした所でお楽しみの宝箱開封だな。」


 属性宝珠が欲しいが出ないだろうなー。







 はい。出ませんでしたー。

 出たのは鉱石10kgとマジックバックのポーチ(6畳サイズ)黒色に中級ポーション3本。


「いや、悪くないけど欲しいのは属性宝珠なんだって。」



 とりあえず、ドロップ品をマジックバックに収納して7戦目を行う。






 <補足>

 魔物の強さについて。

 SS・龍

 S・竜王など

 A・竜、幻獣種など

 B・亜竜、王種など

 C・ハイオーク、オーガ、

 D・オーク、ウルフ、ホブゴブリンなど

 E・ゴブリン、コボルト、スパイダーなど

 F・ホーンラビット、スライムなど


 ランク付けでも上位下位があります。

 

 アイテムポーチですが、手を入れると何となくサイズが分かる設定です。

 






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