ネコとキスをした

にゃんころもち

第1話 ネコとキスをした

ネコとキスをした。

お魚の匂いがした。

ぶちネコのゴマは嫌だったのか逃げてしまい、残された私はただ、なんとなく余韻に浸っていた。

今日は学校のテストで初めての0点を取り、どこに隠そうかと必死に隠す場所を探している。

穴場はあるのだが…それよりも見つかった時の恐怖が勝って全身が小刻みに震えている。

ゴマに勇気をもらおうとしたんだけど、ゴマまで私を見放しているように感じる。


『…どうしよう』


初めての0点のテストの用紙を手にして両親が仕事に行っている間にあたふたと隠す場所を探している。


『やっぱり、あそこだよね』


私は勉強机の脇にある小さな箱の中の一番下にそっと隠した。


(たぶん、これで大丈夫)


内心ドキドキしながら、自分で冷やし中華を作り始めた。冷やし中華といっても、麺を茹でるだけ。


小学四年生の私にはこれが精一杯だった。


グツグツと煮える麺を見ながら、茹で上がったら、お湯を捨てて水で冷やす。


鍵っ子の私はこうして両親がいない間過ごしていた。

ゴマは相変わらずマイペースだ。

ネコのように自由きままに生きたい、けど…


そんな想いが私の中にぐるぐる回っていた。

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