第2話

俺は捨てられた。転生直後で、だ。赤ん坊の俺には体力なんてものはなく時間が経てばすぐに死んでしまうだろう。俺は助けを呼んだ。


「あーうっーあー。」


当たり前だが転生直後なので言葉が話せるわけでもなく、なすすべなく俺はここで死ぬんだと思った。




・・・・・・


「お前なんてそんなもんに決まってんだろ。何かっこつけて出てきてんだよ。馬鹿か。」


いつの日の記憶だろう。頭に思い浮かんだのは過去の記憶だった。


(馬鹿らしい。俺は死ぬのか。)




なんの記憶だろうか。微かに思い浮かぶのは黒髪の少女の姿だった。誰だ?

彼女は笑いかけてくる。どういうことだろうか?

彼女は明らかに辛そうな顔をしている。なぜそんな顔ができるのだろうか。

彼女は完璧だった。成績優秀、容姿も淡麗。非の打ち所がなかった。

彼女はよくモテた。そして、彼女は彼女の友達の彼氏に告発された。もちろん彼女は断った。

彼女は冤罪を着せられた。曰く彼女が彼女の友達の彼氏をたぶらかした、と。

彼女は虐められた。

彼女は屈さなかった。それでも彼女の心には塞ぎきれない傷がついた。

彼女は・・・

彼女は・・・




忘れかけていた記憶が思い出された。それは決して忘れてはならない記憶だった。なぜならそれは・・・





・・・・・・・・・


「なんだい、最近は多いねぇ。なぜ罪のない赤ん坊がこんなところに捨てられるのか・・・」


目が覚めると占い師?のような服装をした婆さんがこちらを向いていた。彼女は俺を拾うと路地の奥へと入っていった。


婆さんは俺のことを拾ってくれた。その婆さんは家がなかった。今にも崩れ落ちそうな廃墟の中に毛布と水晶と机と変えの衣服が置いてあり何というかホームレスという言葉がよく当てはまりそうだった。


「なんだい最近の子は静かだね。赤ん坊ってのは泣くのが仕事だと思ってたんだけどね。」


なんのことかはわからないがこの婆さんは最近も赤ん坊を育てていたことがあるのだろうか・・・?


まぁそれはさておき今日はもう疲れた。精神的にも。俺はぐっすり眠ることにした。






~◇◇~(視点変化)アイリス・ヴァーチェ


最近よく赤ん坊を拾うようになった。この世界は弱肉強食。捨てられてる赤ん坊なんて山ほどいる。儂も年を取ったなと思うことは増えてきたがまさかこんなところまでもか、と感じる。


「あの子のせいかの~」


儂はつい最近まで一緒に暮らしていたあの子のことを思い出した。魔法の才能が有りその才能を腐らせないように努力もする。そんな子と暮らしてたもんじゃあ子供が恋しくなる。この子はどんな子じゃろうか。そんな楽しみを感じながらも子供と暮らせることを楽しみにしていた。


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