NTRレ女side♯2 好きでも無いのに股開くって話聞くけど頭どうかしてるわ

―――お前、頭おかしいんじゃねぇか?―――


 電柱にさっ!恋愛相談聞くって張り紙で書いてあるからさっ!

 藁をもすがる思いで電話したらさっ!頭おかしいって言われたんだけどっ!?

 何なのこの人!このでっかい女の人!


「大体なんかよくわからない理由をこねくり回すなよムッツリエロ女。後、ちゃんと小説のように間違えて好きなやつ以外に股開けよ。テンプレって分かるか?変態女。お前の獣慾でキヨシの剛直を制せよ。そこからが初めてのNTR入門だろ?馬鹿何だから馬鹿らしく股開けって」

 

「ハァ?何で私がキヨシとしなくちゃいけないんですか?絶対に嫌なんですけど?直太君しか認めないですけど?キヨシはアルミホイルとでもやってれば良いですし?」


 どこの世界に鉛筆で【チクりません】てタトゥー掘るような奴としなきゃいけないのか?

 大体テンプレって何?


「お前がキヨシとなんかしなきゃ、オレがざまぁ出来ないじゃん?お前にな。そもそもお前、ナオタとやらと何にも進展してないじゃん。何がバラの高校生活だよ」


 ハァ!?何言ってんの?


「タツ…学生にこれ以上はよせ…」


「し、しし、進展してますし?何言ってんですか?」


「お前、一人で感度100倍絶頂カマしてるだけじゃん?どうしろっつ―んだよ、この物理に犬マウンティング馬鹿」


「タツ…タツっ!」


「ヒロ…室長…その犬を叱るみたいにするのはよせ。彼女として心がえぐれる…」


「じゃあやめろ…とにかく、それで君は一緒の高校に入ったんだね?」


「そうです!私が直太君にメチャクチャにされる筈の高校生活が…始まる筈だったんです!」


「そんな訳ね~だろ。キヨシにだろ?」


「タツッ!」「藤原さん、少し黙って」


 そう、始まる筈だった…目の前の巨大熊女がうるさいから少し端折るけと…高校生活スタートは最悪だった…


――――――――――――――――――――――――


 同じ高校に入った、夢の生活が始まる!

 別のクラスにならなかったのは悔しいが、意気消沈している場合ではない。


 今頃、嫉妬心に塗れた直太君が…私のボディを虎視眈々と狙っている筈!

 しかし…私の計画通りにはいかなかった…何故なら直太君が全く私を見ない…


 それから…例えば陽キャの巣窟と言われるサッカー部のエースだかが声をかけてきた…他にも、考えるのが面倒臭いからより床上手になるべく新体操に引き続き入部したからスポーツ系ハイエナが沢山集まってきた。

 これみよがしに直太君の教室の前までハイエナを誘導した後、直太君の顔を見る。

 

 どうだ!?


 …無表情で一瞥するだけ…なんでぇ!?


 そして1年の半ば、適当にあしらっていた同級生に言われた。

 

『郡さんってあの高校生クイズ大会に出たイケメン高校生クイズ王キヨシ君と付き合ってるんでしょ?格好良いよねぇ♥だったら先輩達に興味なんてわかないよね!郡さんって一途ぅ!』

 

 何故か私の彼氏は、鼻から出る排泄物の集合体、キヨシになっていた。

 私の知ってるキヨシはノン気どころかアルミホイルでも構わないキス王でありデジタルどころか本物のタトゥーを入れようとした狂人であるが…


 高校1年の12月前、いよいよ世間様の流れが私とキヨシに対するラブコールで激しくなり、流石にムカついた私は『付き合ってないよ、アレは頭がおかしい』と否定した。

 そしてキヨシ側も別の学校で『付き合ってないよ、アレは頭がおかしい』とコピペで返されているらしい…アイツに言われたくないんだが!?


 全否定なのに周りは何故か『上手くいってないらしい…』で落ち着いた。ヘリから降りる時の五点着地じゃないんだから何でそんなにダメージを減らそうとするのか?キヨシと私はガチなんだが?


 そんな噂が出回り、イケメンで有名なチャラ男先輩が、同じ肉食界でも、いよいよハイエナから子供為に餌を探す飢えた豹にクラスチェンジし、精巣にいる腹をすかせた子供達の為に?半端ない量の声かけを私に開始してきた。


 それこそ祭りの如く声かけをしてくるので、面倒臭いが100回に1回ぐらい、帰りにデート等を繰り返しているとストレスがマッハになってきた。


『キヨシって忙しいから全然時間取れないんでしょ?だったら別れて俺と遊ばない?あんなクイズなんて暗い事してる奴じゃ無くてさ、今からウチに来ない?』


『いや、いい、あ…じゃあ一瞬だけ』


 行かねーよ、あーでもコイツの親にチクっとこう。アナタのお子さん、精巣に精神を乗っ取られてますよ、再教育するなら今がチャンスですよって置き手紙を書いて速攻で帰った。

 ちなみにクイズは暗くないし、強いて言うならキヨシ如きを王にしたクイズ界に物申したいけど…そもそも私の人生にクイズは関係無いけども…



 ん?アレ?あれぇ?私は気付いた、おかしくない?

 主人公がキヨシになってない?間男がチャラ男先輩…直太君は?


 私は異変を感じ、進捗を確認すべく直太君の元へ向かった。

 すると偶然直太君を見かけた。ウハッ♥

 ついついガン見してしまう…以前からストーカー的行為によりガン見していたが真正面から目と目を合わせるのは久しぶりだ。

 ビートルズ来日の際に『目があった!』と言い張る幻覚を見て奇声をあげ失神する女の気持ちが分かる…コレはカミみ♥(神を見た気持ち)

 

「あー御冷か…チッ…お前さ、キヨシと付き合ってんのに他の奴とも遊んでんだって?そういうマジでムカつくし、おばさんから御冷の話を聞いてあげてって言われたけど…逆に悲しませたくないから今のお前の話が出来ねーんだよ。もうちょっと考えて…」


 シュシュシュしゅごい♥ビシバシ感情を照射してくる直太君に♥堕ちる♥駄目だ、目を合わせていたら…逝く♥


「イッ♥イッて良い?」


「また…またそれかよ!?そんなに話がしたくねーか!?こっちはこっちで大変だっつーのによ…勝手にしろ、おばさんを悲しませるなよ!」


「じゃ♥イクね♥」


「勝手に行けよボケナス!テメーが幼馴染ってだけで吐き気がするわっ!」


 私がガクガクするのを抑えていると離れていく直太君…駄目♥やっぱり直太君しか考えられない♥


 何とか…何とかしないと…

 そして私はバレない様にストーカー行為を開始した。


 何やら直太君が忙しいとか言っていたが…

 どうやら私の最愛の幼馴染・直太君に告白したクソ女・相馬梨花という女らしく、それが直太君の男友達の幼馴染らしい。

 そしてその男友達の井口誠也は直太君に告白した幼馴染のクソ女が好きだとか…。


 どうやら直太君は相馬梨花の告白を断ったらしい。そりゃそうだろう、私がいるんだから。

 直太君は相馬に、幼馴染だからお互いの距離感を見失っているだけ、俺はその友達だからよく見えるだけ、もう一回しっかり幼馴染を見てやってくれと。

 何やら、もうちょっと素直になって話し合いを…とか言ってたそうだ。

 その話を聞いて直太君自身も、もう少し素直になって束縛してくれたらなと思ったけど…


 …おかしくない?そこに私の存在が1ミリも無いんだけど?

 私は気付き、そして吐きそうになった…直太君がもしクソ女と付き合っていたら?

 他の女としていたら…オエエエエェェぇ!?

 

 この直太君間男作戦は欠陥だ!何故気付かなかった!?

 もし逆の立場だったら気が狂う!何とか!何とかしないと!



 1年の2学期の終り…直太君のクラスを覗く…


「ゴメンね…セイヤに新谷君…結局、私…2人を困らせる形になっちゃって…私…何ていったら…」


「ゴメンな直太…俺が勇気が無いからこんな事に巻き込んでしまった…お前だって色々大変なのに…本当にすまなかった」


 直太君がニコっと笑う…やだぁイケメン♥


「良いんだよ、良いんだ。俺は幼馴染と上手くいかなかったけどさ…それをリカに相談したのも悪かったと思う…それでリカが自分に重ねて同情しちゃったんだから世話ないよな…俺こそごめんな。でも、俺と違ってシンヤとリカの想いが叶ったと思えば…俺の昔の幼馴染への想いは報われると思うんだよ、ありがとな」


 直太君以外の2人はありがとうって言いながら泣いている…んん?

 幼馴染?私?上手くいってない?何で?たまに私に対してあんな嗜虐的な事してるのに!?


「格好良い事言うな?ナオタは!結婚式するんだったらお前にスピーチしてもらうからよ!」


「いやいや、オレそういうの無理だよ(笑)」


 ケタケタ笑う3人…私を置いて青春してるの?

 ねえ?何で?直太君?

 私の所の主要な登場人物…キヨシ…チャラ男…以上…


 さ、差別か?いや区別か?何か?


 私にとうとう怒りという感情な芽生えた…コレはおかしい。

 私はいつだって直太君に鎖の繋がった首輪とかで引きずり回して良いのに何もしてこない…

 

 私がムッとしていると3人が教室から出てきた…

 

「何だよ…御冷か…今は良い気分だから放っといてくれるか?」


 何が良い気分なの?家犬だったら死ぬレベルの放置仕掛けといてそんな態度…


「睨むなよ…2人もいるんだ…今日はお前と話したくないんだ」


「郡さん…何でそんなに新谷君を目の敵にする…ヒッ!?」


 このクソビッチ!私の直太君に色目使った挙げ句キープ君にするつもりか?キープはマネーとお酒だけで十分だ!貴様になにか言われる筋合いはないと思いっきり睨む。


「うるさい!(勝手に彼氏とどっか)イけ!直太…(君に手を出すこの)リカだっけ?ゴミクズ…(羨まし過ぎて)ムカつく…」


「だからいいかげんにしろよお前!俺はともかく相馬は関係ないだろうが!」ドンッ!


「ハンッ!♥」


「新谷君!暴力は駄目よ!?」「ナオタ!落ち着けって!」


 直太君に突き飛ばされた衝撃で…イッた♥

 

 去っていく3人を見ながら思った…自分のポールポジションが見えない… 

 私達同年代はカーレースの始まりのようにフワフワしながら…それでも同じ青春…高校生活が始まった筈だ。

 スタートした時…私は何処にいて直太君は何処にいたのだろうか?


 自分でも何言ってるのかよくわからないし、答えが見えない…正解が…そして極秘に2年のクラス名簿を見た時…最後のチャンスが来た…直太君と同じクラス…多分…コレが最後の…チャンス…


――――――――――――――――――――――――


「と、言う事なんです…最悪、この1年が最後のチャンスとか思ってきました…どうすれば…」


「ほら、やっぱり頭おかしいんじゃん、キヨシにも言われてるじゃん」


 三者三様、難しい顔をする。今、デカい人が何か言ったが無視する。


「脈が…無いわね…色んな意味で。」

「コレは…難しいな…完全に嫌われている所がな…」


 そ、そんな…無理!?無理って!?

 しかし、デカい人がなにか言った、


「いや、まだ方法がある…全てを覆す作戦…それは『変身ヒロインだったから仕方なく』作戦だ…つまり全部陰謀で理由があったから…ということにする…」


 変身ヒロインって何?


「タツ…おま…」

「またまた…焦土作戦みたいな事考えるわね…でもまぁ良いわ。面倒臭いからそれで行きましょう」


 今面倒臭いと言われましたが!?

 それと同時に虹色の光とキイイイイイインと小さく高い音がした。


「小説で見たわ…妄想性障害っていうのかしら…多分…貴女はそれ…例えば貴女は好意を持たれていると思いこんでいるけど、直太君は全く貴女に興味を持ってないどころか憎んでいるわね、認めなさい。後、藤原さんが今生きてるのは幻で、本当は車椅子で、崖の前にいるわ、諦めなさい」


「違う!妄想じゃないです!ちゃんとお互い好きあって!好きあって…」


「何だと!?オレは今、一人がけソファーに座っているが車椅子なのか?それに崖?」


「そうよ、今のままなら間違いなくフられる。認められないなら信じるしかないの…なら…妄想を現実のものにする!それが人間の力よ!強く引き込み激しく巻き込む!直太を狂わすのよ!どうせ妄想するなら変身しなさい!後、本当の藤原さんはヒロ・イソロクという旦那がいるのに戦場で死んだと勘違いして他の男に股を開いたわ、ヒロ・イソロクが五体が動かない貴女を車椅子に乗せて崖に向かっているわ、死になさい」


「へ、変身して…私の…世界に巻き込む…現実に…直太君を…」


「なん…だと…?ま、待て!ヒロ!何かの誤解だ!オレはそんな筈はない!死んだと思ってない、嘘だ!タツじゃない!待ってくれ!身体が動かん!」



「そうね、不知火に頼み込んで…貴女を変身ヒロインにするわ…それで今までの事を全部有耶無耶にしなさい!想像を!妄想を叶えなさい!後、藤原さんは崖から落ちて死んだ、崖の下は尖った石だらけだからガード不可」


「分かりました!私は…変身ヒロイン…直太君は間男じゃない…私を貶す…悪…それも弩級の…」


「ヒロ!待て!ヒロ!落ちるっ!尖っていては受け身が取れない!ウアアアアっっ!?!?カッアッ…」


 私の斜め前のソファーでデカい女の人か泡拭いて気絶した、色々漏らしている…この人は…何なの?

 でも変身ヒロイン…ありかも?…


「見なさい…この藤原さんを…洗脳の効かない彼女も想像だけで勝手に死ぬわ…それほど想像力とは尊いものよ?さぁ始めましょう!NTRを!…まぁ誰が誰からするのかよく知らないけど…」


 私は…生まれ変わる…想像だけで…もう一度やり直す…



「つまり…イクエちゃん…どういう事だ?俺は今、完全に置いてかれたけど?何でタツは失神して漏らしてんの?」


「つまりヒロ室長…この小娘も藤原さんも両方、ドがつく馬鹿って事ね…そもそも探偵じゃないわね…」


 こうして私はある意味、悪魔の計画…『コールド★プッシャー』が始まった…

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