第4話 勇気を出して告白するのよ!②

 告白しようと決めた日の朝、あたしはママと織子おりこに「ね? 髪型、変じゃない?」とか「スカートの丈、いいかな?」とか、いろいろ聞いた。髪型は最近、二つに分けて結んでいた。毛先をちょっと巻いている。前髪、変じゃないかなあ。

「かわいいかわいい!」

彩香あやかちゃん、かわいい!」

 二人に「頑張って!」と応援されて、家を出る。うう、緊張するなあ。


 今日は弘樹ひろきくんとお弁当をいっしょに食べる約束をしている。

 ベンチに並んで座って、お弁当を食べる。

 弘樹くんのお弁当いつもおいしそうだなあ。お母さんがお料理上手なのかな? いいなあ? あ、違う違う。あたし、好きって言わなくちゃ!


「彩香?」

「あ、うん!」言わなくちゃ!

「大丈夫?」

「うん、あのね」頑張れ、あたし!

「うん」

「あたし、弘樹くんのこと、好きなの!」い、言えた!

「え?」

「弘樹くんのこと、好きです!」

 弘樹くんを見たら、顔が真っ赤になっていた。いや、たぶん、あたしも赤い。緊張するよお。


「……どうして僕なの?」

 って、え? 何その質問。何て答えたらいいの? えーとえーと。

「あのあのね、あたし、弘樹くんの顔が好きなの!」

 あたし、何言っちゃってんだろ? そうじゃなくて。

「か、かお?」と弘樹くんは怪訝な顔をして聞く。ああ、これ間違い、いや間違いじゃないけど、好きなのはそこじゃなくて。

「あたしの好きな顔なの、弘樹くん。特に横顔が好き!」

 って、授業中ずーっと弘樹くんの横顔を見ていることを思い出して口にしてしまう。ああん、横顔は好きなんだけど、そうじゃなくて。

「それからね、弘樹くん、優しいから!」と言う。よ、よかった言えて。弘樹くん、優しいんだもん。


 あたし、そのあと、何を言ったのか、よく覚えていない。ともかく最後は、真っ赤になっている弘樹くんの手をぎゅっと握って、顔をじっと見て「ね、つきあって?」と言った。そしたら、弘樹くんは「うん、いいよ」と言ってくれた。そこだけは確実。


 心臓、爆発する!

 ああ、でもよかった! 告白して。

 ママありがとう! 織子もありがとう!

 あたし、初カレが出来た‼

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